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hina4160さんの天ノ空レトロスペクトの長文感想

ユーザー
hina4160
ゲーム
天ノ空レトロスペクト
ブランド
GLacé(GLace)
得点
87
参照数
309

一言コメント

楽しい時をずっと過ごしていたい、将来の漠然とした不安、そんな学園生の想いがテーマとなっていた

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

シナリオの核としては過去・現在・未来を包括する時間、そしてそれらを特徴付ける思い出を中心に、作品全体として重要なファクターとなっている、またサブ的要素として自身が住む場所の郷土愛。
自身が考える将来のことなど、学生の時に誰しもが一度は考えうる事柄が各ルートのテーマとなっていた。

それでは各ルートの感想を記載していくことにする。
ひまりルートは今作では一番ギャルゲーらしい展開となっていた。主人公とは共に掃除部を立ち上げた仲であり、共通ルート後半の神社の危機を経て主人公への好意を実感する。
その後は主人公の気を引くために料理を作ったり、デートに誘おうとするなどの所謂テンプレ的展開となる。(ちなみにひまりは料理が壊滅的に下手なのだが、この属性久しぶりに見た気がする・・・)
その後のシリアス展開は将来を決めかねていたひまりの想いにより世界がループする・・・という超展開が待っているがあまりよく覚えていないので割愛。
冒頭の通り、シリアス展開に入る前の日常シーンはギャルゲーらしくキャラの掛け合いもそこそこに楽しめたのだが、話が破綻しているわけではないのだがシリアス展開が唐突に始まり、そして割とあっさりと解決しそのままエンディングとなるので全体としてみるとよくわからないことになっている。
ただひまりのキャラ自体は気に入ったのと日常シーンは楽しめたのでまぁそこそこの出来だと感じた。


しのんルートはひょんなことからしのんがオタクだということが主人公に露呈してしまい、イベントやアニメの鑑賞、ゲームを一緒にプレイするうちに告白へと進むことになる。
その後は主人公と初めて出会った場所でありしのんにとっては大事なゲームセンターであるシエロ・シエスタの経営難により閉鎖の話が出てきてしまう。それを解決するため、しのんが元いた土地の神であるシノヱが現れることになり条件付きで解決をするという取引を持ち掛けられるという展開になる・・・
ひまりルートと同じような感想となってしまうのだが、日常シーンはよく出来ているのだがシリアス展開がどうにも・・・詳しい内容は割愛するが、しのんが主人公に何もいうことなく勝手な行動をするという展開があるのだが、私的感覚となってしまうがこのような展開はあまり好きではないので見ててあまり面白いものではなかった。(シリアス展開自体はひまりルートよりは筋が通っていたので完全に好みの問題なのであしからず・・・)
しのん自体は最初から主人公に好意MAXの犬っ娘後輩でありおっぱいもデカかったので気に入った。(ルート序盤でおっぱいも見せてくれるし)また秋野花女史のボイスがハマり役といってもいいくらい合っていたのもポイントが高い。(余談であるがCGにもなっていたコスプレのエッチがなかったのが残念でならない)


深澄ルートは共通ルートで謎があるキャラであり、それらの解答も示される。
深澄自身はミステリアスでクールなキャラであるが、恋を知るために主人公とデートをする際に気を引くためにわざと転んで下着を見せてきたり食事の際に大食い挑戦に惹かれているのを恥ずかしがって隠したりするなど共通ルートでは見れなかった不器用な姿が非常に可愛かった。
そして主人公の好意を明確に自覚し、告白をするのだがその際に「自身と恋仲となるメリット」なるものを纏めたプレゼンを行うのだが、これが個人的には今までプレイしてきたえちげ史上最高の告白の仕方で可愛く思えて正直ここだけで元が取れてしまう。(個人的に)
シリアス展開では冒頭の通り深澄の正体が明かされるのだが、ネタバレになるので一応割愛。とにもかくにも深澄は一途に主人公のことだけを想ってくれるのと最高の告白を行ってくれたため大満足である。(また余談であるが深澄の寝巻立ち絵とエッチがなかったのが残念、濡れた制服の差分があるのだから寝巻の方もあってほしかった)


アマホシルートは本作品の集大成といった感じのルートであり、他のルートで判明した事柄や登場したキャラなどがシナリオに関わってくるので最後にプレイするのをおすすめする。
他ルート同様、日常シーンは個人的にはよく出来ており、アマホシの可愛さや恋心を堪能出来て面白かった。アマホシの神様だと言いつつ非常に子供っぽい振る舞いなども個人的には可愛く思えた。
・・・シリアス展開は前述の通り、他のルートの事柄なども扱っているのだが正直上手く扱えているとは思えず、ごちゃ混ぜ感のほうが強くなっており展開にあまりついていけなかった。そもそも他のルートの事柄のことが出てくるということは既に知っている事柄について再度説明されているようなものにもなっている。(ある程度簡略されてはいるが)


4つのルート全てに共通しているのは楽しい時をずっと過ごしていたい、将来についての不安などが重要なファクターとなっている。しかし当然のことながら人間は時間を止めることは出来ない。悩みながらも作中の人物は自身の生き方、将来のことを考え、答えを出す。この辺りの将来の悩みについては私も共感出来たので、プレイしていてあまり違和感がなかった。(登場人物に共感出来ないとプレイするのが苦痛になるし)
またキャラもメインヒロインの4人全員気に入ることが出来たのもよかった(大抵1人か2人くらいしか気に入ることがないので)し、声優の演技やイラストも高水準だと感じた。

タイムピースアンサンブルやおに禁2など色々香ばしいメーカーではあったが、個人的にはよく出来ている作品だと思ったので興味のある方は是非手に取ってもらいたい。