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hidamalarさんのアマツツミの長文感想

ユーザー
hidamalar
ゲーム
アマツツミ
ブランド
Purple software
得点
81
参照数
588

一言コメント

高水準のグラフィック、練られたキャラの人物像

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

特筆すべきはグラフィックの水準の高さとキャラの作りこみの二点。
ほたる、こころ、愛の三名は非常に複雑なパーソナリティをしているが、それを魅力的に描き出すことに成功している。それらは三名の演者の好演があってのことであるが、変な人であるが一貫した信念のある人間像をライターが提示できているからである。セックスがコミュニケーションとして成立していることは特に評価したい。お互いの愛情を確かめる行為であり、また高めるためのセックスになっている。セックスもまたいちゃらぶの一つであるということを理解した脚本だった。
言霊という抽象的な設定を都合よく利用した点がなんとも言いがたい。設定重視の作品ではないため都合よく使える設定を用意するのは構わないが、あまりにも都合よく使いすぎたきらいがある。
言霊を命に変換可能であるという設定をわかりやすく説明するならば、言霊は身体や魂と分離したエネルギーであるということだろう。誠は言霊という余剰エネルギー持って生まれ、そのエネルギーを最後に命に還元しほたるを救ったというイメージが最もわかりやすい。しかし、このイメージでは矛盾が生まれる。ほたるが持っている言霊をエネルギーに変換することでほたる自身を救えなかったのかということだ。最も、この矛盾が仮に生じていたとしても問題はない。なぜならば、二人から一人になったほたる、彼女こそが作品のテーマと呼べる部分だからだ。天津罪、分離した人格の統合、やりたいことを最後まで楽しく見せられたことに敬意を表して締めとする。