たにかわたかみシナリオと思われるところは素晴らしく、それ以外が落ちてる印象。紫子、花純ルートは主人公のキャラ像を捉えきれてないと感じられる。
まだ全ルートクリアはしていない。
現状、マリーカと玲をクリア、透子と瑠璃が七章、花純と紫子が六章という進み具合。
全クリアをしてない段階で書くべきでことはわかっているが、早い段階で評価しなければ本作は埋もれると判断したため暫定的な評価になるが書くことにした。それを留意した上で参考にしていただきたい。クリア後に感想は書き直すが、それがいつになるかは不明。
本作は私にとって雰囲気の良いゲームという評価。主人公は紳士的で人当たりが良い。非童貞ということもあり女性に対しておどおどとした様子が全くなく、女性の扱いが紳士的で上手い。まさに王子様といった行動を堂々とこなし雰囲気がある。従来のギャルゲー主人公のおっかなびっくりとした童貞感溢れる女性の扱いに辟易していた私にとって、この主人公は非常に好感の持てる主人公となっている。実際、ギャルゲーの主人公は童貞であることが多いため童貞感があるのは仕方ないが、性への意識が高すぎて辟易していた。その点、経験が豊富な主人公は女性に対する壁が薄いので安心して見られる。この点が学園モノでは異色といっていいだろう。童貞っぽい主人公が嫌いな人にまずおすすめしたい。
また世界観もその分シビアになっている。茶番めいたやり取りが少ないのも魅力。キャラクターが現実離れした性格をしているなどの気持ち悪さもあまりない。劇的な物語はないが、淡々とした日常のなかの何気ない変化に情緒を感じ取れる人ならば十分楽しめる作品となっている。主人公の先の人生を考えるならば、むしろその先の人生のほうが物語性が高いだろう。大企業の経営者となってからのやり取りのほうがよほど起伏の大きい物語に成り得る。だが、本作はそこに注目しているのではない。その前段階の決意を物語としている。
ゆえに本作は決めるための物語だ。人が決断していく様を見届けて自分がなにを感じ取るか。そこに思いを馳せることが出来ないならば、私は本作をあまりオススメすることは出来ない。キャラクターに生身を多少感じられることが本作の最大の魅力。茶番めいたやり取りや現実にあまりいなさそうな性格をしているキャラクターはあまりいないので、そういうものを求める人はプレイするといいだろう。
ただし、ルート毎に主人公像にバラつきがあるので注意されたほうが良い。たにかわたかみさんのシナリオでありそうな部分は安心してプレイできるが、紫子ルートなど主人公が別人になったのかと思うルートがある。ベタベタしない主人公に好感を持っていたのに、人が変わったようにベタベタしていてうっとうしい。主人公像を捉えきれてないライターがいるようで、作品が統一されていなかったところが本作の最大の欠点である。これなら延期してでもたにかわたかみさんのシナリオで統一してほしかったというのが正直な感想。
※共通ルート、透子ルート、玲ルート、島影ルートをたにかわたかみさんとして想定しているが、たにかわたかみさんがどこを書いているかは全く不明。