ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。時間は流れ万物は流転する。そんな永遠ではない学園物語。
安定の森崎亮人さん。森崎フォロワーは垂涎の一作。まあ、ライター二人いますけど。
いなくなる人もいれば新しく来る人もいる。人はいろんなことを考える。面倒くさいことも多いし、うまくいかないこともある。いいことだけではないし、報われない結果に終わることもある。そんな当たり前の現実感に嘘をつかずに前向きに捉えて、シビアながら暖かさを含んだ世界観をつくり上げる森崎さんのいつもの一作と言えるが、”学園”という世界でそれをやったことの意義は大きいように思う。バットエンド症候群ではなく、厳しい現実に直面したとき直向に最善手を打ち続けた結果として得た結末はHappy Endと言い難いものになっている。それをバットエンドと呼ぶのは勝手だけど、ご都合主義の安易なHappy Endの100倍この結末を好ましいと思う。まあ、ライター二人いますけど。あと玉城さんのシナリオがどこなのかよくわからない。エロだけ書いたようにも思えるし、ルートを担当してるようにも思える。玉城さんの作品をやったことがないのでそもそもよくわからない。
ともあれ逃げ道として、あるいは夢の空間として二次元を求める人には薦め難いが、女の子が超超超カワイイのでキャラゲー好きには薦めたい。
あじ秋刀魚さんの演技がずば抜けてた。外人が日本語をしゃべる感じの微妙なニュアンスをかわいくデフォルメしてカタコトな日本語が混じったセリフを非常にうまく表現していた。遠野そよぎさんも相変わらずの高水準の演技をしていた。セリフのタメとイントネーションでうまくキャラの印象を表現していた。キャスティングがうまくハマってる。あと、EDの曲がものすごい好み。
気に入らなかったのが二つ。まず、キスアトという言葉の使い方。セックスのときにやたら言わせてたが正直寒い。だれかの注文か提案だったのか知らないが、無理にセリフを入れてるように感じられて一気に冷める。「キスの後の物語」的な意味だと勝手に思ってたキスマーク程度の意味しかほんとうはないのだろうか。ダブルミーニングにしたかったとしても個人的にあれはない。Hシーン自体はいいテキストだけにもったいない。二つ目がグラフィック。色彩はいいのだが、原画が良くない。良くないというか幅がありすぎる。お尻から太腿にかけてのラインが極端過ぎるまどか先輩のグラフィックが象徴的だが、嘘をつくにしても見てて異常とすぐに判断出来るレベルのものはやめてほしい。