はっちゃけた一作。Augustの親父の部分が全開といった印象。やりたいことを全力でやってると感じるので読んでいて気持ちが良く、これが大図書館のおもしろさだと再認識できた。
各ルートごとに出来がバラついてる。おそらく最も本腰を入れて制作されたのは白崎ルートと筧(ハーレム)ルート。これがAugustの遊び心満載のルートで、読むのが楽しくてしかたなかった。
俺は『大図書館の羊飼い』に歴代最高得点をつけ最高傑作の一つに挙げられるほど好きだ。今作をプレイしながら俺はなんでこの作品がこんなに好きなのかと考えていたが、ある一定の答えを今作で手にすることが出来た。図書部の関係性が俺の理想だったのだ。距離感の取り方とかも上手いんだが、ボケとツッコミが上手いので最高に楽しい。6人にそれぞれ役割があって、それが信じられないほどにうまく回っている。そういう関係性は見ているだけで脳内麻薬がダラダラでるくらい気持ちが良い。居心地がよくてずっと見ていたくなる関係。だから俺が一番好きなのは図書部を中心に回る話で、個別ルートに入るだけでそれだけで少しがっかり感がある。キャラ配置という点でこれほどうまく出来ている作品は記憶に無い。
図書部最高!そう言えるのが本作の素晴らしいところであり、この唯一無二の関係性をつくりあげたことが、また本作を唯一無二の作品に仕上げている。
余談だが、これだけ褒めておいて90点なのはルートごとに完成度がバラついているからだ。あと、色彩がものすごく良くなった。前作よりパステル調になって明るく光入れてるのが、キャラクターの独特な色彩とマッチしてる。研究を重ねたあとが見えた。Augustを応援したくなるのは新作を出す毎に洗練されていくところがあって、成長を期待してしまうところよね。そういう意味でも夏野イオさんにはものすごく期待してる。キャラデザでは既に夏野さんは完成しているように思うから、一度夏野さんの作品を見てみたい。ただ、今回べっかんこうさんの身体(特におっぱい)のラインがものすごくいい。顔の内側に髪が流れるデザインが嫌いだから、そこが引っかかるけど、べっかんこうさんの身体の描き方はすごくいい。
あと、つぐみとさよりの姉妹丼問題は忘れちゃいけない。あれはエロゲー主人公の罪をあばいたような話。セックスさせるために主人公の人格を捻じ曲げたようにも思えるし、男だったら仕方ないようにも思える。さよりのセックスが見たいというニーズからあれが生まれたのか、さよりなら筧に惚れるという必然からあのシナリオになったのか。ユーザーの都合でキャラが捻じ曲げられるのは最もおもしろくないことだと思ってるので、さよりの話には首をひねった。