とても素晴らしい作品だと思った。
友人に勧められてやってみたが、これほど素晴らしい作品もあったのかと、2005年に帰りたい気持ちになった。
軍事、戦闘機、エロゲとくれば主人公が戦闘の末、世界を変える――のような物語を想像しがちだが、この作品はそれとは違う。まさしく戦争を描いた作品であった。
勝てるわけのない戦争。駆り出される未熟な少年兵(作中は予備学生)。それなのに戦い続ける主人公たち…その姿を見ていると悲しい気持にもなりました。主人公たちも始めから勝てないことは解っている。しかし、だからこそ、戦う彼らはまさしく戦うために戦っていたのでしょう。
そして萩野社の心境の変化も面白かった。
最初は戦争を通しての主人公、萩野社という少年がレーダーでのボギーが敵で有るのと同時に人であるということを確認した戦いの軌跡と言ってもいいのでしょう。
これは主に、若菜、加奈子、美樹がヒロインでしたね。
次に、萩野社は殺しというものを考え始め、人の死にこの戦争の矛盾を感じ始めた。
こちらは夕紀と圭子
最後は関西にわたり、この戦争の二つの勢力を見、そしてこの戦争の始まりと言える円経済圏理論の再提唱。それによる戦争の終わり――まぁ、実際には終わってはいませんでしたが、トシとクーが語っていましたし、終わったのでしょう。
そう言った主人公の変化が解るのがかなり面白い手法だったと思います。
そして、ここからは完全に私の趣味で在り、ゲーム評価と全く関係は無いのですが、この作品の中核ともいえる円経済圏理論というのは、とても面白いものですね。
確かに、これさえあれば日本を含めたアジア圏はアメリカ・EUに次ぐものとなると思います。しかし、ゲーム内でもそうであったように、これは無理でしょう。なぜならばこの理論では分割するべく事柄が多すぎた。国だけでなく、政治や軍事などの切り離しなど、それは到底できません。なぜならばそれで損をする腐れ野郎どもが多すぎるためです。
国の将来のためには良いかもしれませんが、腐れ野郎どもはどうしても10年先の安定より目先の金ですし。そもそもこの理論は独立精神が強い。今の日本はぶっちゃけアメリカの保護下ですし、そうなると、これを行うと、あっさりと日本は北に滅茶苦茶にされるでしょうしね。
ですが、こういった理論を創り、実際に文章に起こす。これは並みの人に出来ることではないでしょう。作者様万歳ですね。
と、言うわけで多少大げさかとも思いましたが95点という私の今までのゲームでは最高得点をつけさせていただきました。