愛が二人を分かつまで
非常に秀逸な兄妹モノ。
死すら受け入れるほどの二人の愛、もとい二人の世界は、深月という3つ目の「愛(または呪い、あるいは祝福)」によって決定的な別れを迎える。そしてそれぞれが別の道を生きる。彼らは生涯報われなかった愛を傷として抱えていくのだろう……が、人は大なり小なり、傷、それも忘れようのない、見ないふりをしているだけの傷を抱えているもので、彼らはある意味でこの別れを以って真に一人前となったのかも知れない。
それに、彼らの愛は確かに報われなかったが、生きることを至上の命題と考えるなら、むしろ3つ目の愛によって救われたと考えられる(慧も最後にそのようなことを言っていた)。二人だけでは打開し得なかった状況を深月の愛が打開したことになる。つまり、この作品は、報われない愛を描きながらも、ただやるせないだけでなく、最高の愛の賛美歌となっているのではないか。
私は、本当にこの作品に感動した。店舗で購入するかⅠ時間ほど悩んだが、買ってよかったと心の底から思う。