世界観の良さ、BGM、キャラはフリゲの中でトップクラス。「生きた証」「境界」という言葉にピーンときた人はどうぞ。
前置きとして、このシリーズの信者かと問われたら間違いなくYESと答えます。
今思えばプレイから大体1年経ったので思い出しながらレビュー。
ネタバレは極力控えました。
●シナリオ
非常に良かったです。最後の方はボロ泣きでしたね。
設定自体は少し暗いが(前作も前々作もそうですけど)、読後は「美しいストーリーだった」といえます。
少し無理のある設定がありますが、ある程度フォローできていると思います。
キャラに魅力を与える手法として思考がぶっ飛んでいたり、変な口癖をつけたりとありますが、そんな強引な手法ではなく一人一人の役割がしっかり定まっていて良かったです。キャラに共感できる作品は世界観に浸れるのでいいですね。
●絵、BGM
本の挿絵のようなグラフィックが雰囲気と合っています。欲を言えばCGはもう少し欲しかったですね。
シナリオ上立ち絵が要らないので仕方ないなとは思います。
BGMは前作前々作同様素晴らしいとしか言えない。終末系にはピアノが合いますね。
サントラ即買いして落ち着きたい時にループしています。
●システム、演出、テキスト
このゲームの数少ない欠点としてロードバグがあります。致命的なものではないので流せるレベルではありますが。
シナリオ上演出は全体的に弱めです。ただラストの「あとがき」は良演出。
テキストは少しくどいですが読後だとこれが癖になりますね。ちょっとしたジョークが入り交ざって人を選びます。ただ小説とADVを足して2で割ったテキストなので小説をよく読む人には少しきついと思います。
ADVしかしない人にはわかりやすいと思いますけど。
●シリーズものとして
サークルサイトでは「続編ではなく新作」と書いてある通り、前作と世界観を共有しているだけでシナリオの繋がりは割と薄い印象です。
考察したら前作の謎が少し解ける……といったレベルですね。
前作プレイヤーには物足りなさがあるが、新規には優しいつくりになっていると言っておきます。
●総評
フリーゲームの中でも個人的に名作なのにいまいち知名度がないのが悲しいです。
まあこういう作品は自分で考察するだけでも楽しいし、有名にもなってほしくないといった微妙な気持ちもあります。
ロードバグはともかくテキストが人を選ぶ+小説的には少し間違っているので少し減点。
新作への期待を込めて90点といったところです。
あとキャラのその後、あの世界がどうなっていくのか、今後の展開が楽しみすぎていつも制作日記をチェックしていますが、ここ2ヶ月更新がなくて少しさみしいです。