私は楽しめた。酷評されている部分はよくわかるが……
今作で七作目。
前作のレビュー時にも書いたが、やはり今作も発売日に購入してしまった。これ程酷評されている作品に高得点を書くのも気が引けるが、シリーズをプレイし続けていた身としてレビューしたいと思う。
特に今作は発売前から個人的にかなりの期待があった。まず第一の理由としてはキャラクターの設定・ビジュアルが本当にほぼ一新されていたからである(男性キャラ除く)。お気に入りだったキャラクターが消滅するのが寂しい反面、武田家など正直飽きが来ていた設定の一新には「よくやってくれた」との思いが強かった。
そして注目すべきもうひとつは武田家に始まる分岐シナリオであろう。信玄が活躍していた戦国の最盛期からなんと大阪の陣までを描いているという。細かい話は後述するが、このシナリオへの力の入れようはかなりのものであったと思う。
いざ購入し遊んでみると、戦極姫3を初めてプレイしたときのようなワクワクがあり、やっぱり好きなのだと自覚したのだ。
もちろん大量のバグについて弁護はしない。アップデートしない状態では城に籠城することができず、とても遊べるものではなかった。私はゆっくり遊んでいたので経験しなかったが、ゲームクリアができない不具合まであったというのだから驚きである。ただ純粋にゲームとして面白かったのでこの点数にしたことに留意されたい。
以下ネタバレ含む細かいレビュー
<シナリオについて>
初めに言っておくと武田家と大友家、上杉家しかプレイしていない。偉そうに面白いとは書いたが周回はきつい笑
ただ武田家を分岐も含めてクリアした後では徳川家のシナリオも気になって仕方ない。
まず大友家について。一番好きなキャラクターであった立花道雪がリストラされている時点で気が狂いそうだっだが、どうしようもない当主に振り回されながらも「大友家になくてはならぬ存在」として颯馬が描かれ、活躍するシナリオはなかなか良かったと思う。当主によって引き起こされる面倒ごとをほぼ全部背負わされる颯馬の立場や苦悩を理解し、懸想を胸に秘めながらも支えてくれる高橋紹運もいいヒロインであった。その二人が過ごせる時間を作るため、名もなき家臣たちが身を粉にするシーンも見どころだったのではないだろうか。
上杉家はこれまた好きなキャラクターだった上杉謙信が脅威の変貌をとげた。これまで(特に3~5)とほとんど同じ人格であった彼女の変貌は、前作の北条氏康も思わせ、新鮮であった。
と、まぁ淡々と綴ったが、実際にレビューしたいのは武田家である。これが個人的に本当に良かった。というのも戦国中期から終わりまでを描いており、きちんと時間の経過が描写されているため、真田幸村編まで分岐すると主人公の颯馬が歴史に名を残しているのである。武田家では当主たる武田信玄をはじめ、名だたる家臣たちに囲まれながらも「頼りになる後輩」として武田家を支えていくシナリオであり、分岐で武田家が滅びると十勇士編となって天下人となった豊臣秀吉に、真田信繁や十勇士たちと共に穴山小助として仕え、徳川家康との争いに身を投じていくシナリオとなる。この架空キャラクターである十勇士の一角としてシナリオに落とし込んだのも上手いと思う。今亡き武田家で自分だけ生き残ってしまったことに対して苦悩しながらも生き続けなければならない颯馬に惹かれていく十勇士の面々と真田信繁。いずれも颯馬を救う存在となりうるのだが、ここで真田信繁を選択することで真田幸村編となり、大阪の陣へと物語は進んでいく。この武田家だけでおそらく今作のシナリオボリュームの半分ぐらいは費やされており、感慨深くなるシナリオだった。
<キャラクターについて>
やはりキャラクターが刷新されているところを一番評価したい。どうせこんな性格でこんな背景があって~~と予想できてしまった前作までとは明らかに違う。良くも悪くも、といった変更なのかもしれないが制作の方々には感謝したい。
これだけキャラクターがいて絵師も複数なのだから好き嫌いはあるだろうが、お気に入りも見つかるはず。個人的には北条氏康がツボだった。格好良すぎる!笑
新しいキャラクターが登場する度ワクワクし、先入観なく颯馬との絡みを楽しめたと思う。
<ゲームパートについて>
これも大きな変更だったと思う。戦極姫が戦極姫たる肝の部分であり、非常に重要なポイントである。
戦闘において横移動が可能になったというのは自由度が増した分ややRPG感が強まったといえなくもないか。慣れればどうということはない。
野戦と攻城戦が一体となったシステムとやらは上手く機能していたかは謎である。ゲームが進んでこちらの兵力が有利になると結局敵は籠城するので、いちいち野戦の雰囲気で敵陣深くまでキャラクターを移動させなければならないのは苦行であった。いい案があるわけではないが、この野戦と攻城戦が上手いこと作業にならずに天下統一まで楽しめたら、と切に思う。
前作であまりにユニークキャラが無双していた部分は改良されたと思う。モブでも使える人材は使えるし、ユニークだからといって戦下手ではモブに普通に負けるようになった。
このゲームパートはある程度領地を広げるまでが一番歯ごたえがあり、どこに誰を配置させるか? などじっくり考えて楽しめたと思う。内政面は相変わらずあまりメリットを感じず、楽市楽座だけしていてもどうとでもなるので、そこらへんは改良できる気がした。お金やコストの割に旨みのあるコマンドが少ないのだ。内政キャラに光を与えるためにもぜひ!
<総評>
マンネリ化を感じていた4~6に比べ、今回は新鮮に楽しめたという意味でこの点数をつけた。信者だなんだと言われるかもしれないが、贔屓しているわけではない。今ならバグもだいぶ落ち着いてきているので見捨ててしまった人はもう一度やってみてほしい。
上から目線のつもりはないが、改良しようと製作側があれこれ試みてるのがわかり、挑戦的な姿勢もファンとして嬉しい限りである。次作も買う。願わくはまたレビューするときに他の方々と一緒に普通の得点をつけられればと思う。バグがあるまま出し、酷評だけされるのはもったいないことだと思う。