ErogameScape -エロゲー批評空間-

haribotegさんのRewriteの長文感想

ユーザー
hariboteg
ゲーム
Rewrite
ブランド
Key
得点
90
参照数
740

一言コメント

テーマは人が持っている”力” Rewriteが自分に合わないと感じたひとへ

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

個人的にはノベルゲーの中でもトップレベルで好きな作品です。(プレイ時間ですが何週もしてるからです一週40時間くらいと思います)シナリオ展開は序盤の学園ものから徐々に崩れていき、ファンタジ

ー要素が加わり、最終的には世界を巻き込んでいく構成はロミオ的でもあり、keyらしくもある。



このゲームの醍醐味は世界モノとしての顔をチラつかせてからであるが、日常の掛け合いや細かい描写もおもしろい。クラスの中では

はぐれものの主人公天王寺瑚太朗は けが で何年も時間を失っていてそれを取り戻すために普通の高校生のように普通にワイワイ

できるような自分だけのグループを作ろうといろいろなことに手を出していく。自分が属しているグループがどれくらいの人数がいるかと

かどれくらい存在感があるかなどはこの高校生くらいのころでは決して些細な問題というわけではないというのは想像はできるだろう。

だが同じクラスに同じように浮いた存在の吉野がいるが彼は中二病めいたことはしているが、信念があり自己を確立している。ここに

ひとつの対比がある。ゆえに何ももたない瑚太朗は吉野にひかれて、からんでいくのだ。



そしてこの絡みが序盤最高の見所ともいえるだろう。高校生は思慮分別がついてきて大人になっていく年頃だがリアルでも結局楽し

いのはしょーもないことなのである。特に男は。この作品で言うと吉野を台車に乗せて爆走したり、あほな決闘をしたり。このような小

学生みたいなことをしている描写(ヒロインはあきれる描写もありこのころの精神年齢の差が現れている)が逆に、学生らしさがでてキャ

ラが自然に映りそのことが作品自体に信憑性をもたせるのだ。(他の作品で学生の主人公を持ち上げるために完璧マンにして不必要

にかたい言葉を使わせ学生らしさが消え作品全体をも不自然に感じるときがよくある、完璧系として人気の高い車輪のモリケンなどは

学生でないことが多い)このちいさな積み重ねが後の超展開に差し掛かったときにもプレイヤーを離れさせない仕組みになっていると

感じる。



もうひとつ言及したいのが、この作品ではたくさんの フレンド と会うことだ。この作品では瑚太郎は街やら学校やらいろいろなところ

でたくさんの(100人くらい)と会い仲良くなったら携帯のアドレスを交換しアミーゴ!と叫ぶのだ。


(ここからクロスチャンネルのネタバレあり読みたくない人はつぎの段落は飛ばしてください)


ここで思いだしてほしいのがクロスチャンネルだ。主人公黒須太一は作中で自分はほかの人とは交わって生きてはいけないのだと気

づき平行世界から仲間を送りだしていき最後にはひとりになり、過去の思い出だけを頼りに生きることになる。これは瑚太郎とは正反

対である。この差は何が生んだかというとケータイ(スマホ)の本格的普及である。これらの機器を誰もがもつようになり、人がだれかと

常につながっているのがあたりまえの時代になったことで、コミュニケーションの問題はさらに多岐にわたるようになったが、人ととまっ

たくかかわらない孤独な人は極端に減り、クロスチャンネルが出たときに示した問題はほぼ解決されたと考えたのではないだろうか。

新たに人類が抱えている問題を見渡した結果、ひとつの例として環境問題がとりだたされた。しかし、環境問題が最重要なのではな

く、これらを解決していく人が持っている 力 これがこの作品のテーマである。(作中ではこれは見やすいように超能力であったり、魔

物を操るの能力として象徴的に描かれている)



(飛ばした人はここから)


要するにこのフレンドはキャラの掘瑚太郎り下げとともにロミオの考えが変わったというメタファーにも感じたわけです。


さて、瑚太郎はしばらくして心霊体験みたいなことが毎晩起こるようになりそれでオカルトクラブに助けの手をもとめるのですが、そこで

知り合ったヒロインや見知りの顔を引き込んで念願のグループ(部活)を作るわけです。瑚太郎はこのグループで自分のまわりに起きた

怪奇現象(晩に霊が来る、殺意を持った大型犬に追い回される、自分の街にそっくりな誰も人がいない場所に迷い込むなど)を調べつ

つ、グループの絆を深めようとせっせこやっていきます。ですが、ある事件(写真部の生徒が森で遭難する)で休部の危機に瀕し、メン

バー全員で森を探索していたところドラゴン(魔物)と遭遇する。瑚太郎はいままで自分の能力(体を自由に強化できる超能力とオーロラ

というもの操る能力)で危機を乗り越えてきたが通用せず、グループの中にいた能力を使えるヒロインに助けられ、さらに魔物を操るも

のもいたことを知り、これを機にグループは崩壊、ヒロイン全員は姿をくらます。ルチアは例外だが

この後、だいたいは主人公は好感度が高いヒロインを探し、付き添い能力者集団で、鍵を殺そうとするガーディアンか魔物使いで、鍵

を信奉するガイアどちらかについて、地球が生み出す魔物 鍵(一度文明を滅ぼして命のエネルギーにし進化をやり直させる) をめぐ

り戦いに巻き込まれていく。例外小鳥



後はいずれのルートでも鍵に地球を鍵に滅ぼされるか鍵をころして生きながらえるかだが、どうやっても最終的には地球は滅ぶ。

それで、地球文明は滅んでしまうのですが月にもう一人の鍵(篝)が瑚太郎に新しい世界で直接指示を出し、人々を導く役割をあたえ

ます。新しい世界で瑚太郎は本能的に篝の判断に従い、正しい選択をし続け世界の崩壊直前で止め組織が持っていた力の存在を公

開し人々に革新を求めます。人口は激減しましたが、復興を果たし、宇宙に広がっていくのです。



現代では同じように深刻な問題を数多く抱えていますが、鍵は現れませんし、能力も魔物もいません。しかし、解決しなければいけな

いものはほぼ同じです。現代は近代までの科学に対する盲信が見直され、科学だけでは環境問題のすべてを解決することはできま

せん。まして、民族や宗教対立には無力です。現代はこれまでの営みを反省し諸問題に対し新たな答えを求めている時代です。その

答えとしてkeyとロミオが出したのがRewriteというわけです。人が元々持っている、よく話し合い、互いを理解し、協力していことこそ

が、Rewriteの世界の能力や魔物と同じだということです。



この作品はロミオとしてはccやイマと比べて未来への希望が強く、key作品としてみれば泣き要素は少なく、どちらのファンもこの作品

はあわないと感じた人も少なくはなかったでしょう。ですが、現代の問題を色濃く反映したくさんのメッセージがこめられています。アニ

メ化もきまりましたし、もう一度やり直してみる、できたアニメで見てみるなど、ぜひもう一度Rewriteを見つめなおしてみてはいかがで

しょうか?