今までとは少し違った部分もありましたが、tone work’sの本質は同じだったと思います。とても素晴らしい作品でした。
ここのブランドの一番の強みは「出会いから結婚までの普通の恋愛を丁寧に描く」ということだったと私は思っていたのですが、今作ではそれまでの安定していた土台の部分に「SF要素やサブヒロイン」という今までにない新しい要素を取り入れるという挑戦的なものになっていました。
プレイ前はわくわくした気持ちがありましたが、「今までの良い部分が無くなったらどうしよう」っていう不安な気持ちがあったのも事実です。
しかし、プレイしてみると「不安とか馬鹿だったな」っと過去の自分を笑ってしまうくらい素晴らしい作品に仕上がっていました。
tone work’sは問答無用で信じられるなって...もう、感謝の気持ちでいっぱいです。
本質をしっかりと維持しつつも新しい部分を取り入れる、これって凄く難しいことだと思いますがこの完成度の高さは本当に凄いと思いました。
どの作品にも言えることですが、“何を求めているか”で大きく印象が変わってきそうな内容になっていました。
詳細は下の方に書きましたが、私は全体的にかなり楽しめたので良かったなっと思います。
音楽、CGは使うシーンやクオリティ全てが文句なしの最高クラスでした。
シナリオ、キャラも全体的に高水準でメインだけじゃなくサブにも十分に力が入っていたと思います。
いやぁ~今回も登場人物達の人生をしっかりと見させていただきました。
この人生というのも、“どの視点”で見るかで様々な捉え方ができてとても面白かったです。
それでは以下、各ヒロインの感想になります。(かなりネタバレしています)
〇新谷 灯華
センターヒロインだけあって共通√から主人公にかなり絡んできて謎がいっぱいな女の子でした。
かなり個性的なのでね、好き嫌いの差がけっこうありそうな印象でした。
まあ...私は猫のような彼女が大好きです。
面倒臭い感じのヒロインが大好きなので余裕で惚れちゃいましたね。是非、振り回されたいです。
明るく元気で普段は本音を隠している彼女が時折見せる弱さがたまらなかったです。
共通√では主人公、灯華、うぐいす先輩とのすれ違いっぽい描写が好きでしたね。
うぐいす先輩が告白されているところを見てしまい、主人公にも好意がないと分かってしまったときの二人の会話、距離感なんか最高で、その後の江ノ島の海岸で飛ばされた原稿を必死に集める灯華の姿がほんと大好きでした。
「大切な原稿なのに、集めなくていいとか...それでいいわけない!」
「ちょっとフラれたくらいで...バカじゃないの!」
「だいたいぃ...私、まだ読んでないんだから!」
「完成したら読ませてくれるって約束したでしょ?したよね?した!」
「だったら...」
「私との約束まで無かったことにしないでよ...」
「約束...ちゃんと守ってよ...」
はい、この時点で彼女の全てを守ると心に決めました!
今まで友達みたいたっだのにいきなり女の子っぽくなるとか...こういうのは一発で惚れます。
さて、彼女の個別√ですがヒロイン同様こちらも好き嫌いの差がありそうな印象でした。ちなみに彼女を守ると誓った私は...好きでした。
なかなか挑戦的な内容で彼女の内面に急接近するんですがコンセプト的にはやはりメインなんでしょうかね。
灯華の過去が想像してたものよりも重かったですね。
彼女の心を徐々に開いていく感じなんですが、こういうのって1~2回デレたら大丈夫!ってイメージがあるんですが...さすが猫さん、最後まで振り回されますww
いやぁ~めんどうくせぇーwたまらないっす!大好き♡
アフター編からは過去とのやりとりが頻繁にあるのですが視点変更が多いので理解しやすいのが好印象でした。
過去の自分とのメールがなかなか面白く、不思議な気分になりました。
展開もハラハラするような感じになっていてクリックが止まらなかったです。
注目したいのは綺麗な一枚絵、これがいいアクセントになっていました。物語を彩り、彼女の魅力を最大限に引き出していたと思います。
共通√から彼女が映る一枚絵は美しいなっと思っていましたが、ラストの月を背景にした再会のシーンは本気で見惚れてしまいました。
あと、Hシーンも大変よろしかったです♡
ENDの流れも“最後まで新谷灯華らしい”っていう感じで私は好きでした。
彼女は唯一無二でセンターヒロインとして相応しい存在だったと思います。
構成の問題でどうしようもないですが、アフター編(現在)の方の灯華と主人公の絡みがとても少ないです。
サービスくらいのレベルで良かったので結婚式などのシーンやそれっぽいものが連想される一枚絵があったりしたら個人的には嬉しかったかなっと思いました...これだけが心残りです。
〇日紫喜 うぐいす
彼女の個別√がこの作品の中で一番のお気に入りでした。
それにしても...ここのブランドからは全く想像できないかなり攻めた内容になっていたのでびっくりしましたよw
スクール編は卒業式あたりが好きでした。ここではアフター編をメインに書きます。
途中からは彼女が亡くなるっていう展開が想像できていたのにもかかわらず「なんで俺、こんなに泣いてるの?」って自分でも不思議なくらい感動しちゃいました。
主人公が共通√から“彼女に好意を寄せていた”っという事実と“それまで積み上げてきた二人の時間”が後の展開に響いてくるんですよねぇ。
やっぱり“見せ方”が上手いんでしょうね...幸せだったのに「いきなりシリアスかよ!やめてくれよ!」ってなるような展開でもここまで感情移入させられるとは思いませんでした。
丁寧に作り込まれている日常シーンにどれだけ“価値があるのか”ってことを考えさせられましましたね。
また、ここではサブキャラや別ヒロインも盛大に絡んでくるのも良かったです。特にきらりさんが最高に輝いていました。
彼女が病院で主人公への気持ちを語るシーンは辛かったですね。
「キミと一緒にいられるなら、限られた命が縮もうと構わない」
「無為な生に殉じるくらいなら、意味のある人生を送りたいと、そう強く願った.....」
「いつか、キミは私を月のようだと小説で書いてくれたね」
「私が月だとするなら、キミは太陽なんだ」
ここからプロポーズへと続くんですが
「あなたの...人生に限りがあるのだとしたら...」
「その残りを、全て俺に下さい」
「結婚、して下さい」
ここでの二人の気持ちを考えたら胸が苦しかったです。
うぐいす√の何が凄いって彼女が亡くなった後に軽く流して「はい終わりー」ってならないことだと思うんですよね。
よくある後日談ではなく“SF要素”が上手く絡んできてしっかり作りこまれているんですよ。
普段だったら長すぎるとダレたり感動した気持ちが冷めちゃったりするんですが、ここでは後日談ではなくフィナーレへと続くための物語の一部になっており“抱いた気持ち”をしっかりと維持しながら...いや、高めながら最後まで駆け抜けることができるようになっていました。この流れは御見事でした。
主人公がうぐいす先輩を生かすために決断し行動する姿はたとえエゴと捉えられるものであったとしても好きでしたね。
その人にとって何よりも大切なものってあると思います。私は人間らしい考え方だと思ったので好印象でした。
演出もずるかったですね...日記のところなんかは涙が止まらなくて読むのが本当に大変でしたよ。
そして月を見上げながら龍恋の鐘と二人で写る一枚絵が素敵なラストシーン...こちらがとっても最高で、そこからのENDの入り方が超超超大好きでした!!
「あの小説の2人は、あの後どうなるのだろうか」
「ようやく再会した2人だが、その後は読者の想像に任せる形で終わっていたね」
「はい。あれ以上語るのは蛇足だと思って」
「よければ、教えてくれないか?あの小説の結末のその後を...」
「少し、長い話になりますよ?」
「それなら大丈夫だ」
「時間なら...これから、十分にある」
「...そうですね」
「じゃあ、ゆっくり話しましょう」
「ああ、そうしよう」
大きな大きな月の下、失ったはずの物語が...
─今、もう一度動き出す。
いやぁぁぁぁ~まいったww
ここでENDが流れるだろう!って分かっていたのにもかかわらず叫んじゃいましたよ。
朝方で眠気があったんですが、全て忘れてめっちゃ拍手しちゃいましたね。
それに『With Tomorrow』という曲がまじで神なんですよねぇ~最高に気分が高まりました。
出会い、別れ~そして新たなスタートっと完成された一つの物語でした。
「月」や「小説」が彼女と主人公を繋ぎ、二人の歩んできた道程になっていたんだなって思いましたね。
スクール編での何気ないシーンですらアフター編に取り入れられ、描かれることで最高に輝くものになっていて、この先に続く二人の未来が素晴らしいものになると“心から信じる”ことのできる素敵な終わり方で大満足です。
はぁ~大好き♡
〇佐倉 雨音
静かな女の子なんだろうなーっと思っていたのですがかなりの中二病、ゲーマーで衝撃でした。
彼女の個別√は物語の核心に迫る内容になっていてSF要素てんこ盛りなのにもかかわらずtone work’sらしさ...“ブランドの色”がかなり出ていたなっと私には感じられました。
スクール編はSNSやゲームなどの今の時代に合わせた日常シーンに和んだり、ベーグルを食べる姿がひたすら可愛いなって思ってたんですが...後半からは一気に本編の核に迫っていきびっくりしました。
アフター編で語られる親子愛の美しさにはとても感動しましたね。
自分好みな展開なのは分かってても想像よりも引き込まれてしまい...両親二人から「雨音、結婚おめでとう」っと言われたときはかなりやばかったですね。
そして主人公も二人の気持ちをしっかりと受け継ぐっと...素晴らしい。
「幸せにするよ、俺が。絶対」
「過去に戻りたいとか、歴史を変えたいとか...」
「そんなこと絶対に思わせないよう、一生大切にする」
「だから、俺と明日、夫婦になろう。ずっと一緒にいよう」
「俺たちの出会いは、永遠の運命で、一生失われることのない、永遠の誓いを結んだんだから」
っとかかっこよすぎてシビレましたね。
一番最初に彼女から攻略したので初っ端から大変でしたw
後の方にすれば良かったなっとちょっぴり後悔しましたね... まあ、新作はこういうのも込みで楽しいっていうのもあるのでここは前向きに考えます。
そしてENDでのメッセージカードの演出がほんとに最高で曲の『After Rain』と合わさり幸せな気分になりました。
また、この曲の歌詞がとっても優しい気持ちになれる素晴らしいものとなっているのでクリア後に見ることをオススメしたいですね。
いや~後半の方から好みの展開の連続でやばかったのですが最後までしっかり堪能させていただきましたよ。
「これだよこれ!こういうのが見たかったんだよぉー!」って感じになっていて大好きでした。
エピローグのヨセミテフォールズでの月虹を背に家族三人で写っている一枚絵は中盤くらいからはあるだろうって勝手に信じていたんですけど、ENDが流れたときは「あれ?もしかしてないのか?」ってちょっと不安になっちゃいました...まあ、最後にしっかりありましたね。
アフター編の後半からとても感動して最後まで泣いていたんですが、その分とても清々しい気分になりました。
未来へと踏み出す勇気をもらえるような素晴らしいお話でした。大満足です!!
〇倉橋 聖衣良
年齢的に仕方がない事ですがアフター編がメインなので全体的に短く感じてしまいました。
短いスクール編が悪いというわけではなく、彼女からの告白シーンはかなり印象に残ったのでアフター編への期待に胸が膨らむような繋ぎ方はとても良かったと思います。
恋愛についてはよくある話なんですが...それがいいんですよねぇ。
小さい頃から育んだ恋心が成就するっていつ見てもほんと素晴らしいものですよ。
ヒロインに悲しい顔は似合わないですね。やっぱり笑顔でいてほしいものです。
努力して報われた彼女とその気持ちに気付くことができた主人公にはこれからはずっと幸せでいてほしいと思いました。
ちなみに、添い寝とプールの一枚絵がとても好きでした。
〇岬 栞菜
とりあえず、かわいいいいいいいいい!
すれ違ったりして恋人になるまでがサブヒロインとは思えないくらい丁寧に描かれていて良かったです。
二人がパートナーとして同じ速度で歩んでいくって気持ちいいですよね。
アフター編からなので仕方がない事ですが、できれば結婚までの過程も見たかったですね。それくらい魅力的なヒロインでした。
お気に入りは告白シーン。とても微笑ましくて眩しかったです。大人なのに子供みたいな青春って感じで大好きでした。
余談になりますが、彼女を迎えに行くために北海道まで行ったときに足湯に入るシーンがあるのですが「もしかしたら“銀色、遥か”のキャラがゲストで出てくるのでは?」って期待しちゃいました。
まあ、普通におばあちゃんでしたね...その後もそんな展開はなかったです。
今までの作品の中でそういうファンサービスみたいなのがあったりしたのでね、ちょっぴり残念でしたw
〇月ヶ洞 きらり
エロい!だけじゃなかったですね。
普段の行動はぶっ飛んでいるところもありましたが、とても優しく他人の気持ちも考えることのできるカッコいい女性でした。
また、彼女の台詞には聞き流せないようなものが多々あり、他ヒロインの√でも主人公への助言があったりで好印象でした。
シンガポールはさすがに笑いましたが、これから先の未来は仕事もプライベートも充実し人生のベストパートナーとして歩んでいくんだなっと想像することのできるお話でした。
〇松宮 霧子
いやいやwこれで35歳はやばいですよw好きです!結婚してください!
バリバリのキャリアウーマンで頼れる上司って...最高ですね。年上の女性がたまに見せる可愛いところってキュンってしちゃうんですよねぇ...結婚してください!
視点変更で彼女が“年齢の問題”などで悩んでいる姿を見れたのがとても良かったと思います。
こういう描写があるとヒロインをもっと好きになれるので嬉しいです。
お気に入りはバーで一緒にお酒を飲むシーン。こういうのほんと憧れますね。
余談になりますが、自分はスーツを着た女性が好きなので現実ではそういう人が多そうな会社に入社しました。
ですが、35歳くらいの女性はみんな既婚者、子持ちですし若いのはブスしかいない!っとなかなか厳しいのが現実です。
エロゲの中ではこういう美人と出会えるのでやってて良かったなっと毎回思っております。
とりあえず、こういうヒロインはどんどん出てきてほしいです。
大変、素晴らしいと思いました。
・まとめ
発表当時から期待値はどうしても高くなってしまっていた作品でしたが、想像以上に期待に応えてくれました。
良い部分は捨てずに新しい部分もしっかり取り入れる、時代の波に完璧に乗り切れていたと思います。
少なくとも私にとっては傑作でした。
メインヒロイン3人はSF要素を上手く生かしており新鮮に感じましたけど、今までの良さもしっかりありました。
誰の個別√をこの作品の“true√”と捉えるかは人によって変わってきそうでしたね。こういうのは面白いと思います。
非常に有意義な時間をありがとうございます。
やっぱりtone work’sさんは“最高”なんだなって、もっと大好きになりました♡