Ever17が「記憶を消してもう一度やり直したい」ゲームなら、この作品は「記憶が続く限り二度とプレイしないゲーム」と言える。
カンのいい人は気付くと思うけど三角関係の、メタ作品。
そんなこと言ってネタバレになるんじゃねーのと思われるかもしれないけど、少々のネタバレなんてこの圧倒的技術・演出力の前では些細なことにしかならないだろう。それに単にギミックでプレイヤーを驚かせることがこの作品のキモではない。また業界大手のニトロプラスじゃないとここまでできなかった、いつもインパクトを与えているメーカだからこそここまでの冒険が「またやらかしたよw」なんて一言で済まされたのかもしれない。攻略サイト防止、割れ防止に斬新な手段を取ったりと遊び心すら感じる新鮮味があるのもポイント。
演出の為にゲームを破壊するまでやることやっちゃってたり。些細な会話が実は後になって凄い重要だったり、聞いてるかいないかで震えあがるような感動があったり(ヘアピンだけは気を付けとこう)、また正攻法ではたどり着けない場面まで細かい演出が容易されている。全て上で言ったようなメタ演出・テーマのためにかつて無いほどに徹底されていて、そのどれもプレイヤーが「ゲーム」ではなく「キャラクターという人間」を相手にするためのものだった。だからやり直しは効かない。何度もやり直せるはずの仮想世界に一度きりの選択を迫られることによってゾっとするまでの、今までにないゲーム体験ができた。
跋扈しすぎてウンザリすらするメタものとは作品の次元が違う、だから評価せずにはいられない。もしやるならフルスクリーンでやろう、ホラーゲーム的楽しみもできる。
とにかく今あるものを斬新な手法で魅せたのは衝撃的、ついレビューも力が入ってしまった。
Ever17が「記憶を消してもう一度やりたいゲーム」と言われてるのは有名だが、この作品は「記憶が続く限り二度とプレイしないであろうゲーム」である。良くも悪くも。