とにかく説明が小難しくて専門用語を連発するちょっと変な作品ですが、オカルティズムとサイエンティシズムを組み合わせるとどのような物語になるのかという視点で見ると楽しい。しかし・・・壮大な世界観を超限定的な場所でのみ使用する というのも某ライターさんと被るといいますかw
小難しい というのはプレイすればすぐわかることで、
まぁとにかく多種多様なジャンルのものが入り乱れているわけですが
魔術と宗教・信仰と政治・国と科学・機械と魔法・量子と魂魄・武術と人の心etc.
思想概念という共通項を教えられなかったら、この多様なものとそのバランスに度肝をぬくところでした。
暗号プロトコルやハッキングの描写をしつつ、魔術を紐解く なんて
一見すると仰天モノですよね。
それを一様にバランスよく描いている。
1つ1つには奇抜さもなければ、魅力的な発想というものもありませんし
誰かがやりそうな範疇内という意味では、使い回しのコズミックホラーというべきものですが
(こういう体系をクトゥルフと言うのは、他の方のレビューで初めて知りましたが)
全部ひっくるめて難を感じさせずに、纏めてきたこと。
それがこの作品の凄さ でしょうか。
風呂敷の広げ方畳み方がうまいというべきか、
深層世界や心理世界といった1個 もしくは、2個ー3個を多面的に深く掘り下げるお話は往々にありますが
これだけ手広く浅くを軸にしたものは実際にはなかなかお目にかかれません。
まぁうまく纏めているとはいってもシナリオ大筋に限った話であり
個々ではかなり怪しい部分も見られます。
例えば、ifの存在のアンチテーゼとされる運命論ではパラレルWは起こらない だったり
精神昂揚の理屈として、戦闘に行きつく理由がわからない。
願うことで善にも悪にも傾くというデミウルゴスならば戦闘した直後に世界安寧を願うとか無謀な気がしますし、
プロレマへの精神複写の時点でそれって本体じゃなくクローンへのリンクだよね 等々・・
一番不明瞭な点を挙げるなら、『薔薇』を使う理由がまったくないことでしょうかw
作品次回予告のフレーズでも度々言葉として使うにも関わらず、軸と関係がなさ過ぎて
薔薇の存在意義そのものが不明だったりします。
大筋のまとめに影響はなく、
針孔を突っつく真似をしても評価にならないので
これは些細な要素です。
強いて気になる点 とするならばこういうところかなと。
唯一マイナスにした点は、終盤での戦闘シーンによるものです。
オリジナルアレンジも含めた作品上のオリジナリティがどれほどのものかが
評価での1つの重要な点でしたが
全体的に小難しさも相まってそれが判断しにくいところではありました。
よって、そういった難解な内容を全て捨て去って見ることが出来る
終盤の魅せの部分でどう魅せてくれるかでその度合いを判断しようと思った結果、
仲間全員でボスに向かいボスにたどり着くまでに1人また1人とそれぞれの敵と相見える
というありきたりなパターン +この手法があまり好きでもないものだったのでマイナス。
シナリオを咀嚼しながら読み進めるにはなかなかに面白い作品ですので
そういう嗜好がある方におススメ。