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haisyaさんの景の海のアペイリアの長文感想

ユーザー
haisya
ゲーム
景の海のアペイリア
ブランド
シルキーズプラスDOLCE
得点
90
参照数
2621

一言コメント

これは・・・マジで面白いわ

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

素晴らしい作品だった・・・最後あっさりしすぎていたのが悔やまれるくらいに


最大の鍵はアペイリアであり主人公であるということを書いておこう



まずバトルについて
面白い!!の一言
主人公のデザイアの進化過程
まずヘマを踏んで下着ドロ(これでも十分強い)

デス・ゲームで大ピンチから特殊アイテムでデザイアを絶剣に進化させることにより襲って来る集団を圧倒(伝説開始)

ルートに入ると絶剣さらに強化された

これだけで主人公無双じゃねーかと思うあなたは甘い
確かに他を寄せ付けないが抜け道はあり苦戦はします。(裏もある)
体験版やってるならデザイアに説明はいらないだろう。しかしあえて書く

デザイアはこのゲームにおける魔法だ。しかしコストは己が魔力ではなく自分の持ち物ないしこの世界にあるものを対価として使用するものである。それが希少であればあるほど強力なデザイアを使うことができる

例:声(歌)を対価にした場合:君が代=小石 オペラフルコーラス=隕石が落ちてくる といった感じだ

主人公の対価は液体・・・ただの液体じゃない『精液』なのだ!これが絶剣を絶剣たらしめる所以である
つまり誰もまともに扱えないような性能の武器で主人公は戦っているということである。

つまり主人公が戦いの中で支払ったコストは:勃起・オナニー・射精である(カウパーもコストに含まれる)
そんなことをすれば社会的に終わりである・・・しかし、『それが快感だ』と言い切った。
つまり究極の変態であり絶倫であるということだ。

語りはこのくらいで

何故この二人が鍵なのかについて触れていこうと思う
アペイリア:霧島零一が作り出した感情を持ったAIでありアペイリアネットワークの管理AIである。しかし権限があるというだけで出来ることは割と限定的である。そして研究所と観測者いう組織に狙われている。感情を持ったAIは人と変わらない。つまり技術的特異点(シンギュラリティー)ということである

アペイリアネットワークとは何か:アペイリアが作られた時に同時に作られたネットワークのことである。物語の根幹に大きく関わってくるというよりは根幹そのものといっていいだろう。そして完全没入型VRMMO【セカンド】を作る際に使用された超高性能ネットワーク。進化するAIといっても良いのかもしれない

研究所:アペイリアを狙っている組織所長のシンカーと秘書のブックマンを基準になかなかの変人揃い。スポットは主にこの二人に当てられていた。この二人の正体、目的については書けない・・・重要な部分だから

観測者:アペイリアを狙い、タイムリープを起こしている存在。そしてセカンド内部にウィルスを発生させる

ウィルス:セカンドをデス・ゲームに変えたウィルス。セカンドの中心地の湖に陣取って大量にいる。攻撃すると増える・・・量子と同じ性質を持っている。通常手段では倒せない

霧島零一:主人公であり絶剣、アペイリアを作った本人。タイムリープしていることと観測者の存在に気がつく
ここから物語が始まる

基本目的はアペイリアを救うことと同時にヒロイン達を救うことである。
なぜヒロイン達を?というのはこの作品は何度もタイムリープをするからである

時間を遡る中でヒロインに不幸が起こる。それを回避すること、その条件を見つけることで物語が進行していく。それはヒロインによって違う
しかしタイムリープした記憶はある点来ると忘れてしまうということ。これでは繰り返しになってしまう。そこでメールが送られてくる。タイムリープしたという証拠が書かれたメールである
それを元にヒロイン達を助けていく。それによって助けた時間軸と助けられなかった時間軸が生まれるということ。
この部分は並行世界論、多世界解釈になるのかな・・(自分はこの辺にyu-noを感じましたww)
ひとつの時間軸から分岐するから大きく変わるのかと思っていたら共通部分が必ず存在する。それがアペイリアとアペイリアネットワーク生まれるということ。分岐にもつながりがあるということ
さらに言うなら行き着く時間がタイムリープする日時のさらに前でもこの繋がりは消えずに起こるということ
ここまで来るとアペイリアの制作は絶対条件となっているということになる。その都度狙われることも含めて・・・

これを繰り返しアペイリアを守り助け、景(ヒカリ)を手に入れる物語となるわけだ

人もAIも生きているということ、それを曲げずに通した答えの行き着く先・・・楽しい話だけではなく結構世知辛い話ですよ・・・

一人では行き着くことのできない場所、その解を見つけるために何度も繰り返す・・・ぶっちゃけ先に心が折れます
それでも気づくことができた。可能性のある未来を探し出すことができたそれはとても大きな進歩だといっていい。

同じであるのに違うものが焦がれた想いもまた自分の違う部分なのだろう・・違う自分と認めた上であり方を否定する・・・それはとても難しい事である


臆病でありながらもちゃんと目を見開いて見ることができる勇気

自分をねじ曲げてまで敵対し、最後までそれを貫き通した意志の強さ

そして命の重さを知っている

そのどれが欠けてもあの終わりまでは到達できなかった

最後に

最後が駆け足過ぎてもう少し書いて欲しかったよー