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ha-belyyaalさんの明日の君と逢うためにの長文感想

ユーザー
ha-belyyaal
ゲーム
明日の君と逢うために
ブランド
Purple software
得点
90
参照数
1063

一言コメント

武士っ娘・ツン萌え枠。我の強い女性陣に消極的な(おそらく失敗したり、状況が悪化したりする事を恐れる─つまりavoidantな傾向があるものと思われ)主人公が振り回される、という構図が貫かれてます。ですので、「女の子は控えめでないと!」という方には鬼門でしょうが、「無能」「軟弱者」「ヘタレ」などと憎まれ口を叩きながら、それでも面倒を見てくれるヒロインがドリームな僕としては、今年最も楽しめた作品となりました。ただ、コメディシーンでの(湯さんが描いたと思われる)ディフォルメキャラ演出が(概ね適切と思うものの)シーン数が少なくて残念…というか、明日香/七海/里佳だけ、とチョイスが偏ってる気が。長文はシナリオについて

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

本作の基本構図は、去るものと残されるものという対比からなっていると思います。
 咲―里佳&小夜
 明日香―主人公
 あさひ―主人公
という風に。
(僕は、小夜→瑠璃子→舞→明日香→あさひ→里佳、という順で進めまして)
あさひルートを終えた後は
「この世界にあって異邦人allogenes」という感覚、
自分と他の人とでは(同じものを見ても)感じる事が微妙に違っている、
そもそも物事の見方が違っている、
自分は(周囲から)理解されていないという感覚
が隠されたテーマなのかな?
(締めの里佳ルートで)
咲も明日香も実はそういう感覚を抱えていた事が説明されるのかな、と
(2人とも天才肌の人物として描写されているだけに)
期待していたのですが…
これでは、咲&明日香とあさひとでは、『向こう』に行く動機が違っているので、
対比関係も浅薄なものになってしまっていると思います。
そもそも瑠璃子ルートが、構造上、浮いていますが…
(舞ルートは、裏・明日香ルートだと感じました)

あと、明日香ルート後日談が、里佳ルートの蛇足感を強めていると思います。
こういうのは最後の締めに(おまけ的に)持ってくるべきものなんじゃないかと。