体験版は(特に主人公の口調がころころ変わるなど)いまいちな印象でしたが、かわしまりののワード数1万越えということなので、一応やっておこうか、と。愛の一途さが非常に魅力的に描けていると思いますし、小ネタも質量共に感嘆させられる水準なので、バカゲーとして最高ランクの評価を。ネタバレ長文はマキルートが良いと思う理由と恋奈ルートの構造的欠陥について(まぁ、恋奈ルートの展開は体験版段階の伏線からして見え見えなので、ネタバレというほどのことではないかもしれませんが)
恋奈ルートの主題は恋奈と梓との確執で、
3ルートの中で最もシリアスな展開になります。
にもかかわらず、江乃死魔の中核メンバーには、
ハナというバカゲーフォーマットに基づいたキャラがいます。
(恋奈の『八神くんの家庭の事情』みたいな設定も十分バカゲーフォーマットではありますが、
それなりに強いという設定の彼女の場合、それほど問題には感じません)
立場上、登場させないわけにはいかないものの、
弱いくせに前線に立ちたがるハナの
シナリオにおける異物感はラストバトルで最高潮に達します。
対してマキルートは、
(梓の本質については触れられないままなので、設定上の矛盾も表面化しませんし)
基本的におバカなノリで進行しつつも、常に
主人公とマキとのかつての約束の実現というテーマが
底流として流れていて、センスの良さを感じさせます。
普通なら昔のことを思い出してハッピーエンド、となるところでしょうが
そこを一捻りしてあるのも加点ポイント。
あと、このルートは、終盤の愛の絶叫が非常に印象的。
確かにマキは『西遊記』序盤の孫悟空並の暴れん坊なので、
(『西遊記』読んでない方のために説明しておくと、序盤の孫悟空は
武具をせびりに東海龍王の宮殿に押しかけて、
気に入るものが貰えるまで居座り、←如意棒はここで入手
散々恐喝しておいて「邪魔したね」の一言、
西王母の蟠桃を盗んでも、太上老君の金丹をつまみ食いしても、
わずばかりの罪悪感も恐怖心も抱かない、
邪魔する奴は如意棒を一振りしてミンチにする、
という、まさに神も恐れぬ暴君ぶりです。)
さすがの僕も少々引きますが、
萌えるかどうかとシナリオの出来不出来は全く別の要素なので、
(ヒロインとして好きな順は、愛>恋奈>マキでも)
シナリオの評価は、(大差で)マキ>愛>恋奈となります。