陰鬱で残酷な選択を強制的に迫る胸糞悪いシナリオは面白い。人は選ぶだろうけど個人的にはすごく好み。
大きな不満点がひとつ。
「この島ヴァイオレンスすぎだろ...。」
久末と八椚が島の権力者なのは分かったけど
殺人・監禁・銃の所持・戸籍の偽装とやりたい放題。
いやこれ「島の権力者だから誤魔化せる」ってレベルじゃないですから。
てかそもそも主人公と小夜の現状って
公的機関に相談すればなんとかなる話だよね。
みんな1X歳の未成年で学生なんだからさ。
なのにみんな「権力者には逆らえない」と諦めてる。
その部分にどうしても違和感を感じてしまう。
一応舞台は現代日本のはずなのに。
(正確にはカジノが合法化された近未来の日本)
なので本作の舞台は[架空の世界の架空の日本]か[近未来の架空の国]
みたいな現代日本とは違う舞台にした方がよかったように思う。
あまりに舞台が法治国家の体をなしていない。
上記の不満点を除けば概ね満足できる作品だった。
陰鬱で残酷な選択を強制的に迫る胸糞悪いシナリオは面白い。
主人公の決意や頑張りが実は誰かの掌の上だったり、
とにかくこれでもかとばかりに理不尽な悲劇が襲ってくる
シナリオは独自性どころか唯一無二の魅力がある。
人は選ぶだろうけど個人的にはすごく好み。
で、こんな理不尽な世界観でどうやってキャッチコピーの
「──ハッピーエンドを、約束しよう」を達成できるんだと思ってたんですよね。
ただ「玖々里と夕桜どっちも見捨てない」を選択した後の
「諦めずに足掻き続ければ現状を打開できる」という信念のもと、
ハッピーエンドに持っていく展開はすごくよかった。
決してご都合主義ではない、一縷の望みを必死に掴みとっていく様は
残酷な世界を見せつけられてきたからこそのカタルシスを感じられた。
またこのメーカーの特徴である回想もプラスに働いていたと思う。
各キャラの思想信条や行動原理をしっかりと描くことで
シナリオをより重厚なものに仕上げていた。
回想を挟むことでテンポが悪くなるというマイナス面も
今回はあまり感じることはなかった。
最後に、多くの人が指摘してるけど誤字脱字含むバグが多すぎる。
1回通しでプレイすればまず見つけられるようなバグが大量に残っている。
まともにデバッグやってないんじゃないかと思うレベル。