工藤啓介さんの本気が感じられる作品
止めるタイミングが分からなくなるくらい上手い話の引き方と、
巧みな演出が続くため最初から最後まで面白かった！
終盤の怒涛の展開の連続、伏線回収も鮮やかで天晴。
何より物語冒頭では理想主義の甘ちゃんだったミリィが、現実を突きつけられて葛藤し、
立派な為政者へと成長していく過程が丁寧に描かれてて良かった。
自分は、氏がシナリオを担当した創作彼女を良しとしていない側だったのだが、
このアントリをやって少し考え方が変わった。
今作も創作彼女同様、古今東西のいろんな作品から持ってきたと思われる要素を
ごちゃまぜにして作品を作っている感は拭いきれないのだが、
今作は創作彼女と違い、既存のものを混ぜあわせた中にも氏のメッセージ性を込めて、
作品を独自のものへと昇華することに昇華しているように自分は感じた。
(アントリはジュエハを大元にしてガンダムSEEDを混ぜて料理した感じがする)
特に、ミリィの行動原理などには確かに氏が作品に含みたかったであろう強いメッセージ性を感じた。
（創作彼女に氏のメッセージ性がなかったかというと勿論そうではないのだが、
自分は創作彼女を読んでいて自然とメッセージ性が頭に入ってくることはなかった）
創作彼女の登場人物よりも今作の登場人物の考えていることなどが分かりやすかった点も
自分が今作を評価している要素の一つである
(創作彼女は逢桜とか何考えてるか分からない点が多々あった)
この人がちゃんと面白いものを書けることがわかったので、氏の次回作にも期待したい。