寒い冬空の中でも、ほんの少しの温かさで癒やしをくれる、使い捨てカイロのような作品
巷では「胃が痛くなる」「切ない」って言われてるけど、
それ以上に心が温まる作品でした。
三人が出会ったから物語が動き出した。
三人が出会ったから運命の歯車が狂いだした。
運命の歯車が狂ったからすれ違いが起きた。
運命の歯車が狂ったから成長し未来へ歩み出せた。
三人が出会うことによって物語が動き出すボーイミーツガールを、
各登場人物の細かな心理描写も加えて丁寧に描いてる作品です。
些細なきっかけにより、何故かすれ違ってしまう人々の人間模様を、
そして、彼らが人間として成長していく様も表現できてるのが凄いです。
主人公の春希くんはicでの裏切りを経て、
晴れて八方美人浮気クソ主人公のレッテルを獲得しますが、
そんな彼もccではヒロインたちを通じて過去と向き合い、因縁を振り払って、
未来へと一歩ずつ前進していくために少しずつ成長します。
（ccは作者の丸戸さん自身が手掛けたルート順を公開していて、
その順番どおりに攻略すると、春希が成長していく様を追うことができ、
より感動できます。調べればすぐ出てくるので、この順番でのプレイをオススメします。）
勿論、ccでは春希くん以外の成長も見ることができます。
そんな成長した彼らが織り成す終章codaでの物語は必見です。
この作品は恐らく、プレイ後に「雪菜派」「かずさ派」に分かれると思いますが、
僕は雪菜派だったので雪菜エンドの終わり方が非常に好みでした。
オタクはこういう展開好きだろうなーってのが読んでて分かっちゃう
かずさエンドも好きですが、僕が求める物語としての終着点は
雪菜エンドの方に軍配が上がるので……。
あと、単純に人間の汚い内心も描けてる、下手したらギャルゲーのヒロインとして
破錠しかけてる悪女な雪菜ちゃんが大好きなので。
最初にもお話しましたが、この物語は何度も胸が切なくなるような展開が出てきますが、
それ以上に、人間の持つ優しさに触れて、心が温まる作品です。
（僕は切ない展開で流す涙よりも、日常シーンで出てくる、
周囲の人達のさりげない優しさに当てられて流した涙の方が多かったです。）
寒い季節の中プレイすると、随所でわずかな温かさを心に感じることができるので、
劇中同様「冬」のうちのプレイを強くオススメします。
本当に、寒い冬だからこそ、な冬にピッタリな作品になっています。
以下、個人的メモ
本編
ic8時間18分
cc26時間22分
coda15時間12分 本編計:51時間52分
おまけ
雪が解け、そして雪が降るまで 1時間34分
歌を忘れた偶像 1時間28分 おまけ計:3時間2分 トータル:54時間54分