主人公のことを理解して許容できる人なら好きになれる作品。そうじゃなければ凡作以下の感想になるかも。
個別に突入するまでは主人公である絢斗がずっとウザく感じた。
不満点こそあれど、話の展開は上手く、熱い場面はちゃんと熱いしで
最後まで面白かった!!絢斗は確かにウザいんだけど、
読み終えてみるとこのウザい主人公だからこそ
出来た、この物語だと妙に感慨深くなるものがある。
面白いけど、主人公がウザい←主人公は戦争を嫌っていて、
日常を脅かされることに恐怖を感じている。
ヘラヘラした性格なのもそれを表に出さないように、
そう振る舞っている
…わけではなくて、ただひたすらにウザい。
共通の間は本当にずっとヒロインに、
ストーカーまがいのコミュニケーションを
図ろうとするし、空気読めないし、
寒いギャグ飛ばすし、突拍子もない行動取って
周りに迷惑かけるしで本当にずっとウザい。
だけど、個別に入って今までは戦争のことを、
対岸の火事同然に考えていた主人公が、
自分も戦争の一端に巻き込まれ、
渦中の真っ只中にいることを自覚し始め、
守りたい存在が出来始めてからは考え方も変わってきて、
最後にはヒロインのパートナーを務められるだけの
器量がある存在に成長していったのが良かった。
※読み終えてみると主人公がウザいのも全て計算し尽くされた上での
シナリオ構成だと思うし、完全にライターの術中に嵌ってるなあと思った。
以下、各ルート感想
・ましろルート…主人公と触れ合う事によって過去のトラウマを振り切り、
最終的にはトラウマを克服しつつある状態まで改善。
戦火に赴くましろと、ましろにとっての
帰って来ることができる場所となるため、
ましろを信じて、ひたすら地元で臥薪嘗胆な日々を過ごし、
彼女の帰りをずっと待ち続けた絢斗と彼女の関係性が良かった。
「行ってらっしゃい」「行ってきます」
・お志乃ちゃんルート…過去のトラウマが原因で戦争嫌いだったお志乃ちゃんが、
こういうキャラクターでよく見られる、
「トラウマを克服し、過去を振り切って前に進む」
というタイプの成長をせずに、自分にとって嫌なことである
戦争の象徴である軍から抜けて、主人公とともに
平和な日常へと戻っていく展開が良かった。
「軍の皆は命がけで頑張ってるのに、
自分だけ軍から抜けて幸せになっていいのか」と問うた彼女に、
「守りたい存在があるからこそ軍の皆は頑張り甲斐があるんだ」と、
絢斗が志乃の決断を汲んで返すやりとりが好きです。
・ナナミンルート…ナナミンの家庭環境の話や、
ナナミンがメンヘラになってしまった理由が語られるけど、
どっちかと言うと、ナナミン本人の話よりも、
失踪した小夜子さん周りの謎を追うのがメインになっていて、
あくまでナナミンの話がオマケ程度にしか
描かれていなかったのがちょっと寂しい。
その代わり、シナリオの核心に迫る話の構成になっている。
・環さんルート…自分たちに迫る驚異を取り払うため、
区隊長と班長と共に行動をする展開になるのが、
暗部に探りを入れていくようなお話で良かった。
ラボに誓い区隊長たちと行動をしていく過程で、
今まで主人公に対して冷たく接していたと
思われていた母親の愛情に気付かされる部分が上手いと思った。
・小夜子さんルート…他のヒロインのルートで起きていた
未解決な謎の答え合わせがちゃんとされて、
そこからさらに話が発展して終幕へと向かう話の作りが良かった。
小夜子を通じて絢斗と絢斗の母親の
バックボーンにもスポットを当てて、
作品を構成する設定周りにちゃんと深みを持たせていたのが好印象。
クライマックスに続く、今までに提示されていた謎の答え合わせ、
お約束盛りだくさんな熱い戦闘パート、主人公が決起して一人前の
男になるまでの一連の流れは非常に良かったです。
個人的には、随所に古今東西のあらゆるロボットが出てくる作品から
持ってきたと思われるパロディがふんだんに盛り込まれていたのがライターの
ロボットへの愛を感じて好印象でした。
※OPまでは約5時間かかりました。