「人間の幸せとは何ぞや?」そうプレイヤーに問うてくるような作品
「羊飼い」というキーワードを巡り、様々な人間模様が錯綜する人間ドラマが楽しめた。
シナリオは共通は長いがダレることなく読み切れる面白さでした。
ギャグも好みのもので、馬鹿笑いとまではいかないが、
クスっとなるようなテキストが随所に盛り込まれており度々笑わせてもらいました。
主人公の京太郎は毒にも薬にもならない悪く言えば無味乾燥なキャラですが、重要な場面では
ちゃんと人間臭さを出してくれるので好きでした。京太郎と羊飼いに関することは
読んでいる途中でいろいろと予想が付いて、実際にその通りの展開に事が運びましたが、
だからといってつまらなくなったとかはなく普通に読み味がありました。
ただ、京太郎が自分の過去だと思ってた回想が自分の当時を振り返ったものではなく、
凪のことを離れた位置から見ている京太郎視点のものだったという要素は
劇中で明かされるまで予想もつきませんでした。
各ルートでヒロインと恋仲になるまでの導入も丁寧で、彼女たちの可愛い一面を見せる演出も
良かったので特に展開に疑問を挟むことなくイチャラブが楽しめました。
UIをはじめとしたシステム周りも痒いところにまで手が届くよう配慮が行き届いており、
ストレスフリーで遊べた点も評価が高いです。キーボードコンフィグが弄れると、
左手だけで操作が完結するような片手特化なプレイ環境などを思いのままに作り上げられるので、
遊びやすかったです。
自分は今回は使用していないがゲームパッドにまで対応しているようなのでそこも評価したいです。
サブヒロインがサブとしての存在だけで完結せず、メインヒロイン達と友人関係を持っており、
それが各々のルートに入った際にヒロイン同士を補完し合って相乗効果として表れる作りも好きでした。
以上の点をすべて踏まえて気持ちよく遊べたのでとても満足できました!
ただ、一つだけ不満点を上げるとすると凪を除く各ヒロインのTrueルートまでの導入が完全に
作業と化してしまうのはいかがなものなのかと…。
凪以外のTrueに関してはオマケのようなものだと思うので、
上述した不満は重箱の隅をつつくような感想になってしまうんですけどね。
最後に。小太刀凪のあのキャラ設定はずるいと思いました。設定に強さしか存在しないんですが…。