幸せってなんだろう?なにをもって幸せとするか、それは個人の価値観による。世の中には様々な形の様々なサイズの「幸せ」がある。幸せなんて所詮は本人の気の持ちよう。どこにでも転がっているような小さな幸せだって、それは幸せで間違ってなんていない。これはただそれだけの物語。
幸せってなんだろう。精神的に幼かったあの頃私も良く考えたりした。無駄なことをグルグルとループした。考えても何をもって幸せと定義するのか、なにも判らなかった。だから競争社会の中で幸せなんて人それぞれ持って生まれた素質だと決め付けた。普遍的じゃないものなんて意味が判らなくて、漠然とした幸せなんていうものはいつもブラウン管の向こうだった。
恵 「……結局、人それぞれだから
他人は違うから干渉するなということですか」
冬子 「違う違う。人それぞれ違うから、
それぞれが意見を出し合ってみろってことよ。
……人は摩擦しあいながら生きていくものだから。
そういった行動の縮図が学園生活だから」
そんな小さな世界の中で自分は他者との競争意識を強くした。比べる事を覚えてしまった。まず他者と自分を比べた。能力や境遇をみて、自分はこういった場所が相手よりも優れている。こういった場所が劣っている。ひたすら比べた。例えば高級住宅に住んでいるセレブ等をテレビでみて羨ましくなり、なぜ自分の家には金が無いのかと嘆き、容姿端麗な人をテレビで見かけては羨み妬み。所詮、他人と比較してみた結果の優越感で 「幸せだ」 だのと感じているだけなんてちゃんちゃらおかしい。
当時は面白い物ではなかった。でも今になってみると、それでも今よりは楽しかったのかも知れないと思えた。学生時代という物に思いを馳せると、何かダイヤモンドのように綺麗に輝いていて、ああ、あの頃に戻りたいなどと弱気になってしまう事も多々あった。
でも別に大人になったからって、なにかができなくなったわけじゃない。
秋代「甘えや愛情が当たり前のような世界だから
だからこそ、手に入らなかった人間は嫉妬する
あるのが当たり前って思えすぎちゃうからこそ
人は不幸になるのだと思う。
―――無くて当たり前、そう思えば、大丈夫」
秋代「答えを代弁して貰う人間が変われる筈なんてない
それは結局、変わった気になってるだけ
人は、自分の足で立つものだと思うから
なんて、私は思ってしまう」
彩 「……この世界には、弱い人がたくさんいて、
一人ではどうしようもない人が救いを求めてて
あたしだって、けー君が傍で励ましてくれたから、
たくさん頑張れたし、不安に負けずにすんだし
ねえ、けー君、私は、人間の幸せって、
周囲の環境がつくるものだと思ってる。
私は本気でそう思ってる
人って、とっても弱くって、
皆で助け合わないと―――、
どうしようもなくなっちゃうから」
彩 「頑張ればね、なにかが変わるかもしれない。
もしかするとそうなったなにかが、
変わってるのかもしれない」
変化は些細なことかも知れない。でも個人の心の内では気持ちの持ちようで世界はがらりと色を変える可能性を常にはらむ。幸せとは本来そういったものなのかも知れない。
『ねえ、生まれてきたらね、恵
色んな物に躓いて、色んなトコで歩けなくなって、
もしくは、はじめから、どっかずれてても
きっとね―――大丈夫、大丈夫、だから』
泣いた 笑った 叫んだ、その"今"の連鎖が僕なら偶然の上に生きてきた。そして「今」の僕に会えたなら悲しみよ、苦しみよ、痛みよ、気持ちよさよ、ありがとう(RADWIMPS 「夢見月に何想ふ」)
前に進めなくなった人は自分の内にある心を変える努力を少しずつしてみよう。
そう、これはただそれだけの物語。
視点を変えるというのはなかなか難しい。でも不可能ではない。自分ももっと幸せになれるのかもしれない。そう思わせてくれた。
他人と比較し優越感によって幸せを感じる。この事に執着していたのだなぁと痛感させられた。
恵 「あるはずですから幸せというか、そういうものが。
俺にはそれしか、言えませんけど。
もし時間が戻ってもそこで―――」
「一見つまらないように見えても
すっごく綺麗なものは転がっている
学生時代をそう思えたように、
大人だって、きっと、色々楽しいもの、
転がってると思うんです
見つけようとしないから、
見つからないだけだと思うんです
悪いことより良いことを探す。
つまらないと思い込まない。
楽しいことを探し、笑顔を忘れない
―――そうすれば必ず、
楽しいこと見つかると思いますよ」
10年後にはきっと、せめて10年でいいからもどってやり直したいと思っているのだろう。 今やり直せよ。未来を。10年後か、20年後か、50年後からもどってきたんだよ今。
なんて言葉を思い出した。
幸せなんて本当はとても些細なことで、気持ちの持ちようで、そこらへんに転がっている。そういった物なのかもしれない。
上手く言えないけれど、小さなことにでも幸せを感じられる心に自分の持つ心を変えてしまえば、その人はとても幸せになれるのだと思う。短い人生、いつでも笑って、楽しく幸せに暮らせるようになる。そんなものなのかもなと。なにも難しい事なんてない。見ようとしていないだけで「幸せ」の可能性なんていくらでも転がっているものなんじゃないのかなって。前に進もうとする努力だって、他人を思いやって背中を押す努力だって、それがちょっと滑っていたって決して無駄なんかじゃない。きっとそれだって小さな幸せに繋がっている。幸せを幸せと認識するのは自分自身の心であって他人の評価なんて一切関係無い。
面白かったです。
心に響きました。もう琴線に触れまくり。久しぶりにエロゲーでゾワゾワっと心が震えた。
本当はもう少し点数あげたいのですが千夏シナリオのスーパーナチュラルな要素が不必要だったよなというか、空気違いすぎてプレイしていてぶっ飛んだので多少マイナス判定。
柏原美空
「とくいなんです元気を出すことが
だってそっちの方が
―――幸せじゃないですか」
そうだ、まずは元気を出そう。そこから始めてみよう。
それだけでも、ひょっとしたら、世界の見え方というのは、少しだけ、ほんの少しだけ変わってくるのかもしれない。
何かいい物語があって、それを語る相手がいる。それだけで人生はわりと捨てたもんじゃない。
今なら胸を張って言える。
私は誰の人生も羨ましくなんてない。