ヤンデレとは何かを垣間見れる作品(一部曲解もあるが)
ヤンデレを題材にした作品というのは非常に少ない。特にその中でも真に病んだ愛を楽しむことができる作品となればそれこそ数本あるかないかである。蓋しヤンデレはその性質上破滅的な方向へとかじを切らざるを得なくなるため題材として扱いにくいのだろう。
この作品はヤンデレにおける「異常なほどに愛される」というポイントをしっかりと抑えており、他作品では味わえないヒロインからの深い愛を楽しむことができるため、ヤンデレ作品として合格点を与えたい作品。愛情と性行為がセットになっているところも評価点。
微妙な点として主人公が愛される理由が全く語られないため、愛されることに理由がなく、物語に入り込めない方も多いと思うが、少なくとも作品中で偏愛:重愛:狭愛されることに偽りはない。
薬や自傷、監禁が出てきたりするもののいわゆるメンヘラ一辺倒にならず、主人公が好きで好きでたまらないという描写が多くなされていることがヤンデレをうまく表現できていた要因だと思われる。
粗はたくさんあるため超名作とは到底言えないがヤンデレを一時でも楽しませてくれる貴重な作品。
東條静香
とにかく主人公が好きな事実上のメインヒロイン
主人公を好きになった理由:意中の相手が受け取ってくれなかったバレンタインの贈り物を主人公が受け取ってくれたこと。
主人公を好きになった理由に関してはほとんど後述の島野光希と変わらないレベルであるため、キャラクターとしての魅力は薄いが、当ヒロインはいわゆる監禁担当で主人公の洗脳等、最も常軌を逸した行動に出るキャラクター。エンディングは2種類あるもののどちらも主人公に強烈なトラウマを残すバッドエンド。
水原涼子
とにかく主人公が好きな幼馴染ヒロイン
主人公を好きになった理由:幼馴染であること
主人公を好きになった理由に関しては自己保管する必要があるが最も主人公に対する好意に理由があるため、キャラクターとして最も魅力のあるヒロイン。一方で破滅的な部分があり、自傷、オーバードーズなど最もメンヘラ要素が強いのもこのヒロイン。エンドは2種類、両者ともバッドエンド。キャラクターが良かっただけに純粋にハッピーエンドがあればと思えるヒロインであった。
島野光希
電波でスケベなヒロイン
主人公を好きになった理由:タロットカードで主人公が運命の相手だと出たこと。
上記のとおり最も主人公に対する好意に理由がないヒロイン。そのため、ヒロインとしての思い入れに欠けてしまうキャラクター
一方で性には最も貪欲でエロく、奇人の域までは立ち入っていない電波であるため、可愛げがないわけではない。またヒロインの中では唯一主人公に明確な危害を加える描写がないためある意味善良さのあるヒロイン。
エンドは2種類あり、1つは電波が極まってしまうバッドエンド。もう一つはバッドエンドしかない本作品において唯一無難なエンディングを迎える。
ハーレムエンド
監禁担当東條静香主導でヒロイン3名によって主人公が監禁されるルート。本当に主人公を愛しているのか疑問が残る内容であり、あまり評価はできなかった。
どのルートでもいえることだが終盤に行くにつれて好きなはずの相手(主人公)に危害を加えたり命を奪うこと、苦しめることに抵抗がなくなっていく傾向があるので(すべてのルートではないが)ヤンデレとしては評価できない部分も散見された。愛しているから危害を加えることもあるだろう恐怖を与えることもあるだろう、しかし愛する相手が苦痛に顔を歪め許しを請う姿を喜ぶ姿に愛はなく(ヤンデレではない)仮に描くにしても何か物語上のフォローがないとヒロインはただの狂人である。
さらには、主人公が早々にヒロインを異常認定したり、受け入れるべきことを受け入れなかったりとヒロインらをとにかく「おかしい」と持っていく展開は疑問を感じる部分があった。
ヤンデレとして曲解が感じられる部分もあったが、ヤンデレの深い愛を向けられる楽しみは十分得られる作品であるため、ヤンデレゲーとして私は合格点をつけたい。内容をより練りこんでキャラクターを掘り下げたり破滅だけを答えとしないヤンデレゲーとなっていればよりよくなったと思います。