ErogameScape -エロゲー批評空間-

gripeさんのピュアソングガーデン!の長文感想

ユーザー
gripe
ゲーム
ピュアソングガーデン!
ブランド
PULLTOP
得点
72
参照数
102

一言コメント

突っ込みどころは多いがヒロインは魅力的。いろはルートは普通に面白い。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

攻略順に記載
共通
淡々とイベントをこなしている感じで、キャラに人間味等をあまり感じず、
あまり面白くなかった。
そのせいかキャラに魅力もあまり感じることができなかった。
ハーモニクスの設定もほぼ出来上がっているところから始まってしまうので、
音をいっぱい集めるところから始めたほうがおもしろかったのでは?と思ってしまう。
タイムトラベルというかタイムシフトの設定にも突っ込みどころが多すぎる。
こんな行き当たりばったりでたまるかと思う。送る側も迎える側も対応がおかしい。
いろはの通常衣装が十分アイドル衣装に見える等、細かい突っ込み点も多い。
VR技術だけでも十分な舞台装置なのに、タイムトラベルとか未来予測とか
作品に対する肉付けが多すぎるのも印象がよくない。
とはいえ、ピュアソングガーデンが始まって崩壊、OPの流れはちょっとわくわくした。
また、音楽を題材にしてるだけあってか、音楽は良いし、Emoteをはじめ演出は凝っている。

玖音
共通よりは会話のテンポも良く読みやすかった。
恋愛描写も玖音を可愛く見せることが出来ており、見ててほほえましかった。
後ろから抱きしめるCGの奏多くんイケメン過ぎて笑った。いいぞもっとやれ。
本筋自体は正直あまり面白くなく、前夜祭本番も茶番かつご都合主義な感じが強かった。
ただ、ココナツの話は普通にいい話で良かったと思う。
ココナツの方がよっぽどこれまでやってきたことの結果が出てたので、
やっぱり前夜祭をもっといい感じの表現が出来ればなあ…と思ってしまう。
共通に引き続き大企業がこんな行き当たりばったりのプロジェクトを
学生主導でやるわけないと思ってしまうので、主人公たちでしかできない理由が欲しかった。
親の話ももっと膨らませても良かったと思う。ルート入ってから結構短いし。


共通からそうだが、身内でもない人に会社の内情知らせ過ぎて気になってしまう。
本当なら身内だってダメなのに知り合いの学生に知らせまくってる大企業の重役…。
VRハザード解決プログラムのテストで失敗したら謹慎は意味不明では?
本番じゃなかったよね?とバックログ確認したけどやっぱりテストだった。
一体何のためのテストなのか。
また、律さんが言ってたようにVRの反乱にも見えることが起きると考えると、
玖音ルートでのVR反対派の意見はかなり正しい気になってくる。危険だわこの技術。
未来の情報を話してはいけない設定だけど判定ガバガバなのも気になる。
主人公も律さんのお世話する以外何もしていないので、蚊帳の外な感じが強く、
律さんとすずで勝手にVRハザード直してた印象でしかない。
恋愛面も特に良くもなく、なんかくっついたなあって感じだったので、
なんかくっついてなんかエッチしてなんかすずと律さんがやってたら終わったルートだった。
そんなにストレスもないけど特にいい点も見当たらないお話だった。

明日歌
まず、これまでやったルートより明らかに文章が読みやすくなったなと思った。
好感度は主人公からも含め最初から高いが、より意識するきっかけみたいなのは
結構わかりやすく描写されていて、好印象。
他ルートで主人公の音楽に対するトラウマ的な部分に触れないから、いろはルートだけかなと
思っていたら結構ちゃんと触れてきたのには驚いた。むしろこのルート用の設定か。
明日歌の上目遣い立ち絵が可愛い。ジト目もいいし、立ち絵のレベルが明日歌は高い。
いろはがいなくなる時、これまでのルートだとすごくあっさりだったが、
このルートだと結構ドラマチックだし、意味のある消え方になっていてよかった。
最後の明日歌のステージにも繋がっていたし、これまでの2ルートよりも丁寧な構成だと感じた。
いろはを筆頭に他のヒロインやサブキャラにも役割があったのも良かった。
あと明日歌可愛い。適度に甘えてきて適度に照れてくるの強い。
ここまで良かった点ばかり挙げてきたが、変な音集めるのが好きな設定とか、父親が偉い設定が
まるで生かされていないのは気になった。

いろは
明らかに先にやった3人のルートに比べて力が入っている。尺も長いし。
VRハザードでの障害の様子が一番わかりやすかったり、いろはが未来へ帰ることへの説明が
丁寧だったりで、この辺りまで共通にして欲しかった。
2回目のVRハザードや、ハザードの収束率の上昇等、イベントも随時用意されていて
飽きないよう工夫がされていて、普通に話として面白い。
全キャラにきちんと役割があるし、みんなで何とかしようとしている感じが伝わってくる。
このルートだけ明日歌のお父さんに対して主人公が嫌悪感抱いているのがちょっと不思議。
律ルートと雰囲気が違いすぎるのが原因か。
いろはに対する態度で嫌いになったんだから、矛盾があるほどではないが、違和感はあった。
律ルートよりよっぽど律さん謹慎処分されそうだと思うけど、意外と大丈夫らしい。
やっぱり律ルートでの謹慎は違和感がある。いろはルートだと余裕がないから許されてる?
付き合ってからはラブドールの性なのか、性欲旺盛すぎてえっちさが他ルートと全然違う。
それに対する周りの反応がいいギャグになっていて、正しくエロゲしていると思う。
未来予測もこのルートだとそこそこ上手く使えていて、好印象。
未来の情報伝えすぎじゃないか等のがばがば感も、あのラストであればそんなに気にならず、
そんなにダイバの人みんな優しいことあるかなとは思うが、いい落としどころだったと思う。
共通ルートでうーん…ってなっていたことを考えると、信じられないくらい面白かった。
あと個人的にこのルートの玖音はしっかりお姉ちゃんしてて大好きだった。

すず
帰りたくないいろはを未来へ帰すことですずルートへ。
直前にいろはルートやっているから、罪悪感がすごい。寂しさもすごい。
他ルートでいろはがいなくなった時はあまり何も思わなかったので、改めていろはルートが
良かったからつらい気持ちになるんだなといろはルートの良さを再認識。
いろはルートで言われていた通り、いろはが帰った方がVRハザードの修復には良いらしい。
多少強引ではあるものの、ヒロインとの距離の詰めて行き方は今までで一番良かったかもしれない。
いろはに捨てられたと感じたすずと、主人公の昔話がリンクするのも構成がきれい。
高性能だが、生まれたばかりなのもあり人間の感情の機微がいまいちわからない感じも
上手に出せていると思う。
付き合ってから、ドール素体をもらってからと段階を経てデレていくのも良かった。
短い尺ながら付き合ってからも絆が深まっていく過程は丁寧だった。
VRハザードの収束等、本筋の話はいろはルートの方が盛り上がるような見せ方になっていたが、
恋愛面についてはこのルートが一番丁寧だった。

未来いろは
いろはルートのアフターストーリー。正直必要なかったのではと思ってしまった。
尺も短いし、とりあえずハッピーエンドにしてみましたという感じの話。
過去の人を未来に呼んだり、最後にまた時間移動での情報の取り扱いががばがばに。
まあセンターヒロインで締めたかったのかなと思う。

総評
共通をプレイしている時はキャラに魅力も感じず、ストーリーもあまり面白くなく、
文章が読みやすいわけでもないと思ったので低評価に落ち着くかと思ったが、
律ルートはちょっと微妙だったが他の個別ルートではきちんとヒロインを
魅力的に描けており、いろはルートはストーリーもしっかり面白かった。
根本の設定に突っ込みどころが多いので、そこに目を瞑る必要はあると思うが。
終わってみればなんだかんだそれなりに楽しめたゲームだった。