共通はかなり良かったが、個別で失速した感じは否めない。玲というわがままだけれど気持ちの良いキャラを生み出した功績はでかい。 主人公がイケメン金持ち女性経験豊富設定は新鮮だった。
以下、各ルートクリア時にそれぞれ感想を記載
攻略順:花純→紫子→瑠璃→マリーカ→透子→玲
〇共通
モテモテスーパーお金持ちの主人公が、多くの女の子たちと一緒に暮らすことになり、さらに仲を深めていく…とスーパーお金持ち以外はよくあるハーレムものでしかないのだが、主人公は女遊びが激しかった過去があったり、それゆえか結構女性関係に達観していたり、ヒロイン達もそこまで恋愛的な意味で主人公に矢印は向いていなかったりと、プレイしている感覚としては意外にハーレム感が無い。
個人的にはハーレム感無い方が好きなので良かった。
今のところは想像よりも大分面白い。
テンポが良く、ヒロインも皆魅力的。玲とかマリーカとか、もっとうざいキャラになりそうなものだが、そうならない絶妙なキャラ付けになっている。物語のストレス感もちょうど良く、花純の借金関連とか面倒事は起きたりもするのだが、解決も早いし有能アピールが鼻に付いたりもしない。私は全くストレス無いお話も張り合いが無いと思ってしまうタイプなので、ストレスはあるが長引かせないこのゲームのやり方はかなり好き。
ギャグも激しかったりはしないなりに、適度ににやけられるような作りでホントに読み進めやすい。
共通は6時間半くらいかかっていたが、あっという間に感じられるほどさくさく読めた。
ヒロインはみんな好きだが、共通部分だと玲がお気に入りで、自分に正直で気持ちのいい奴だし、演奏会を弦が切れても実力でねじ伏せる感じがかっこよかった。強いて言うなら紫子の見せ場があまりなかったので、紫子については個別に期待したい。
一緒に暮らしているのもあり、ヒロイン間でも結構仲が良いのも好き。特にマリーカが瑠璃に懐いているの良い。瑠璃ルートでマリーカいっぱい出てきて欲しい…。
個人的には主人公の達観具合も好き。非童貞の落ち着いた主人公好きなんだよなあ。
真面目な考え方のお話みたいなのも意外と多い作品で、花純を助けたときの、貧乏側からすると見返り無しでお金を受け取る方が怖いという話とか、紫子は努力家であるという話とか、度々考えさせられる。
引用だと思うが、貧乏とは恥じることはないものだが、それほど誇らしいものでもない。という言葉もなるほどなあと思わせる。
ホントに今のところ面白いので、このまま個別も面白いまま駆け抜けて欲しい。まさかの2ndOPも良き。
〇花純
無味無臭過ぎる。ライターさんは恐らく共通とは違うのだろう。一気に失速した。つまらないという程では無いけれど、面白く感じる部分も特になかったので、本当に味がしないストーリーだった。
渚のキャラが共通と違うのも結構気になり、何かずっと表面で話しているような、気持ちが全然入っていない、人間味の全くないキャラに見えてしまった。達観はしていたが、人間味はあったのに。
そのせいか花純ちゃんがホントに悪い男に捕まってしまったかのように見えた。
瑠璃先輩の立ち位置は良かったと思う。悩みごとの相談は基本瑠璃先輩だったので、この人が大体解決していたような気もする。
瑠璃先輩が良かっただけに、他のヒロイン全く出てこないのは気になった。透子は一応出てたけれど、他の面子ってまだ一緒に暮らしてるんだよね…?いつの間にか女子寮じゃなくなったみたいだった。
先輩には跡を継ぐことをやめてもらって、自分の夢に付き合ってもらうという結論は、先輩の重荷にならず、それでいて一緒に幸せになるみたいな花純ちゃんの理想からもまた少しずれている気がして、終わり方も少し首を傾げた。素直に支援してもらってパティシエとして大成して恩返しの方がいいのでは…?社長夫人パティシエでも全然いいと思うのだけれど。
お金の大切さを知っている花純ちゃんだからこそ簡単にお金を手放す道を選ばせることにも違和感ある。
そのうちまた後悔して悩みそうな気がするなあ。渚は僕が選んで、僕は幸せだよとか言いそうだけれども。
お金の格差でいくらでも面白い話に出来そうだと思っていたけれど、ちょっと期待外れだったのは否めないルートだった。
〇紫子
花純ルートよりは味がしたけれど…うーん。
学校祭時の二人のからかい合いのようなやり取り、ダンス時の会話などは良かったので、私は共通部分のライターさんはやっぱり好きみたいだ。
結構政略結婚みたいな雰囲気に近い、打算もあるような告白だったはずだけれど、ルート入るとしっかり恋人関係ですよ。相手が好きですよみたいな雰囲気で始まるのが違和感あった。
やっぱりこのルートでも渚のキャラの違いがどうしても気になった。花純ルートとは違い、女の子相手の免疫が無いような振る舞いで、童貞なの?と言いたくなるような感じ。一歩引いていた渚くんはどこへ…。
告白時に紫子さんが、渚に興味があったのは安定感があったから。といったことを言っていたけれど、このルートの渚君は体も壊すし、安定感からは遠くなってしまったなと思う。ドギマギしすぎてて、学際での二人のやり取りを、この渚君はとてもじゃないけど出来なさそう。
ただ、このルートは二人とも将来設計をきちんとしようとしているのは好感が持てた。
花純ちゃんルートの最後は、そんなに簡単に立場捨てて大丈夫なのかと思ったのもあり、人の上に立つ経験をしておこうだとか、上に立つものとしての勉強をしていたりだとか、最後の留学の話だとか、将来のために学んでおくべきことをしっかり学ぼうとするのは良かった。
まあ留学自体は、最後にぽっと出てきた設定で、なんだこりゃ感あったけれど。渚が感情を表に出せていない話もそうだけど、最後に畳みかけすぎて、話をまとめるために無理やり出してきた感がすごかった。もっとルート入ったころからその感じ出しといてくれ。
また、紫子さんは単純に可愛かった。男を駄目にする系の女ではある。渚くんが頑張れる人だったから良かったけれど、滅茶苦茶に甘やかしてしまったりするタイプの人だよな。しかもえっちに積極的。強い。有栖川みや美さんのささやきボイスは強い。本当に強い。
個人的には恋人にはなったけれど、利害関係の側面が強く、そこからしっかりと恋人になっていく…みたいのが見たかったので、最初からラブラブなことが、結構残念なルートだった。後、昔紫子にそのままだと良くないよと諭してきた先生の話が出てこないことに違和感。
真面目なだけじゃないみたいな話は一応あったけれど、もっと主軸になるかと思ったのになあ。
〇瑠璃
結構良かったのではないでしょうか。きちんと面白かった。やくざの抗争だけは正直あまり楽しくなかったなという印象だけれど、それ以外に文句は特にない。
何より渚くんの性格が違和感無かったのが嬉しい。やっと見たかった渚くんだ…。
展開に驚きとかは無かったけれど、会話がテンポ良く進んでいき、他ヒロインも多く登場して瑠璃との仲をからかわれたり、応援されたりと言った場面が多く見られたのも良かった。
共通でのイメージ通り、マリーカも良い働きをしていたし、せっかく一緒に住んでいるのだから他ヒロインも出て欲しいよね。
紫子先輩もきちんと親友としての役割を果たしていたし、姿を見られている久美さんが多めに出てからかってくるのも良かった。
瑠璃先輩があまり正解っぽいムーブをしないので、そこが嫌だという人もいそうだなと思ったけれど、個人的には瑠璃先輩も普通になりたい等身大の女の子なんだよという側面が強調されている気がして好きだった。このルートの渚くんならそんな瑠璃先輩も支えてあげられるし。
恋愛感情の強まって行き方も前2ルートよりも自然に見えた。瑠璃先輩からの再告白も良かったし。
突出していい部分があったわけでもないし、やくざの抗争は正直いまいちだったけれど、共通と同様に日常がテンポよく、安心して読み進められた。こういうのでいいんだよ。
〇マリーカ
おまけシナリオだとはわかっていたけれど、それにしたって短い…。
ただし、案外良かった。幼い恋心、けれども真剣な恋心に、大人側が真面目に答えを出すという展開は王道ながら大好き。
マリーカが渚を心から好きだという気持ちも、渚がマリーカを大事に思う気持ちも、あのシーンからしっかり伝わってきた。
また、久美がいい味出していたのも良い。夢とはいえ、普段から久美もマリーカのことをしっかりと大事に思ってそうで安心した。
生涯のパートナーが家にいると聞いた時の、あうぅぅみたいなボイスが可愛すぎて、これだけでも価値はあったように思う。
〇透子
本筋の展開は正直イマイチ。共通からの積み重ねと、渚と付き合ったことによる透子の成長披露のルートとしてはきちんと面白かったという印象。恐らく共通とライターさんは一緒だと思うが、ずっと言ってる渚のキャラがブレていない事、他のヒロインが積極的に関わってくることが良く、文章も読みやすいのですいすい読み進められ、ストレスは無い。
単純に透子のキャラが良いし、渚と恋人として距離が詰まっていく様子が良かったため、透子の親の会社経営にかなりストーリーが割かれていることが不満だったのだと思う。そんなことよりイチャイチャが見たい状態。
親との関係の修復も結構あっさりだったし、問題解決も結構あっさりだったし。何で久美がライナーを追い詰められないのかはよくわからなかった。久美さんもしかしてあまり有能じゃないの?そんな感じで突っ込みどころが多かったのもあまり良くない。
恋愛面で見たとき、個人的に幼馴染は意識し合う理由がきちんと必要だと思っているが。この作品は意外ときちんとしている。
パートナーが必要で、恋かはわからないけれど、相手としては今は透子が一番適任→一緒には居たいし、嫌では無いからOK→婚約したという意識をきちんと持つためにも、親に言う勇気を持つためにも関係は持っておきたい→関係を持ったら何か一気に意識してきた。
この流れは相手を意識する流れとしては結構綺麗だと思う。一線超えるって結構なことだと思うし。
今までの透子の様子から、渚を好きだと思ったら一気に甘え始めるのも解釈一致で、とても良かった。いい幼馴染カップルだと思う。
個人的に透子の見た目が非常に好みなのもよかった。コートの立ち絵可愛い。
文章は読みやすく恋愛面も良く、印象は決して悪くないというかむしろ良いが、本筋はノリきれなかった。瑠璃先輩ルートの印象にかなり似ている。
〇玲
とにかく玲が気持ちのいい奴で、ずっと玲が引っ張って行ってくれるこのルートは見ていてずっと爽快だった。最後に取って置いた自分の判断は正しかったなと。
最初から最後まで自分は音楽で成り上がる!の気持ちで一貫しているのが本当に良かった。ズルじゃない程度には何でもやるし、施しも受ける。それでも相手へのリスペクトは忘れないし、周りのおかげでやっていけているという気持ちも強い。
普段からそれなりにわがままだけれど、それでも叶えたくなる相手ってのはこういう人だなあと思う。
渚もきっちりとサポートに回るので、滅茶苦茶相性が良いと思う。元々好き好き!って感じじゃなくても息はかなり合っている感じだったし、あれだけ息が合っていて、付き合っているという立場があれば、お互い好きになるのも必然で、そこの距離の縮まり方も普通に良かった。
結構大変なコンクールに渚を付き合わせることになったけれど、それに見合うレベルに教え方が上手で驚いた。
きちんと共通ルートで人に教えることを学んでいて、それを生かしている姿がまた玲というキャラがきちんとしていることを感じられて、より好きになった。
本筋としてはとにかくコンクールの練習に終始していたので、意外な展開とかそんなものは無かったけれど、そんなの関係ないくらいの玲のキャラの良さと、渚との相性が良くて会話が楽しいことでずっと楽しめた。
あと声も良いね。夏野こおりさんホント好き。
最後のヴィオラは、化け物武器を実力でねじ伏せるバトル漫画みたいで笑った。こういうの玲は似合いすぎるだろ。
〇Episode 0
エルヴィラ母さんとの馴れ初め。
元々知り合いでもなんでもなかったのか。それは少し勘違いしていた。
色々追い詰められていたエルヴィラを癒してくれた恩人に報いるため、息子として渚を立派に育て上げ、そして巣立つのを見届ける。
エルヴィラさんが本当に立派な大人だったんだなあと感じさせてくれる良いエピソード。
お話としてはラストでなくても良い気はするが、タイトル回収は良い。
〇全体の感想
一番好きなキャラ:玲
共通ルートは結構面白いと感じたけれど、個別ルートで失速した感は否めない。
玲、瑠璃ルート辺りはきちんと面白かったけれど、その二つも共通ルート並みではあったものの、超える程では無かったかなと。
紫子、花純ルートは渚のキャラが違うことがとにかく気になったし、そうでなくともお話として他ルートより大分いまいちに感じた。
主人公のキャラ付け、背景が結構珍しいこともあり、主人公が共通から気に入っていたので、よりキャラが変わってしまったルートが気になってしまったなと思う。にしてもキャラゲーでイケメン金持ち女性経験豊富はホントに珍しい…と思う。
結果、まあまあ楽しめたけれど、おすすめしたりする程では無いという感じ。
ただし、玲というヒロインに会えたことは感謝したい。このゲームの中で一番好きどころか、エロゲーのヒロインとして広く見てもかなり好きな方だと思う。
キャラは結構好きなのもあって、FDをこの後プレイすることが普通に楽しみな程度には好きな作品ではある。
妙に暗躍していて、親の仇でもあるらしいライナー関係とかは処理出来ていないので、この辺りFDでやってくれたりするんだろうか。