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gripeさんのそして煌めく乙女と秘密^5の長文感想

ユーザー
gripe
ゲーム
そして煌めく乙女と秘密^5
ブランド
ねこねこソフト
得点
72
参照数
44

一言コメント

Hシーン多めの半抜きゲー。カオスギャグになり切れなかったのが惜しい作品だが、流華ルートは抜群に良いので、 これだけでもプレイする価値はあるかも。流華とユリの立ち絵モーションがとても可愛い。女装部分には期待してはいけない。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

各ルートクリア時にそれぞれ感想を記載

攻略順:しづ花→紗織→寧々→流華→ユリ


〇共通

ギャグ特化なゲームなのはすぐに理解したけれど、男バレだけはもう少しちゃんとして欲しかった。
無理あり過ぎ女装主人公という発想は面白いけれど、結局バレてはいけないのでどうするかと思ったら、
簡単にバレて、黙っててもらう。ヒロインも簡単に了承するばかりなので、
男が苦手な子しかいないのに、なんでそんなに簡単に許してくれるの?としか思えない。

主人公も、決して女慣れはしていなさそうなのだが、パンツ見えたり胸見えたり、
そういうことに全く動じないのはどういう精神状態なのだろうか。

キャラが面白くてハイテンションなのは良いのだが、それも振り切っていないので、中途半端感。
ちょくちょく面白いシーンはあるものの、すごい面白いということもなく。
決してつまらなくはないのだけれど、凄く楽しい部分も見いだせていない感じ。


〇しづ花

しづ花からの、痴女的アプローチから始まる成り行き恋愛という感じ。
しづ花さんはそこまで出来るなら、男性恐怖症じゃないんじゃないかな。
鉄男だからそこまで出来たということだけれど、部活の成果が出ていたということなのだろうか。

とにかくシーン数が多めで、これって抜きゲーだったのか…と思わされた。
そのためか、シナリオは程々に、えっちシーンがいっぱい挿入されるつくりだった。

鉄男は共通で見せていた女性への動じなさはどこへいったのか、誘惑されるままに暴走してしまって、
共通とのキャラの違いを少し感じてしまった。
掛け合いの面白さ自体は共通とそこまで変わらないので、そういう違和感は無かったのだが。

目的が何なのかわかんなくなっているような、しづ花のネットへ質問する様子は可愛かった。
あの流れでとんでもないアプローチを繰り返しながら処女でいて、ネットする様子が見たかったな。


〇紗織

最初からお互いに好きみたいな状態から始まるので、早々に始まる特訓と言う名のいちゃいちゃ。
沙織は跳ねるとか、文章みたいな話し方になる、分かりやすい男性恐怖症の症状があるので、
治っていく過程は分かりやすかった。ホントにえっちしてくとだんだん治っていくのには恐れ入った。
荒療治すごいね…。

紗織のキャラクターが面白いからか、しづ花ルートよりも面白く感じた。
やっていることはそんなに変わらないけれど。
内緒の同棲生活は、まあちょっとドキドキする感じもあってよかったと思う。
終わり方も良い。しっかりと紗織の夢を叶えてあげる鉄男はいい男だ…。


〇寧々

唯一ルート入るときに男バレしていないヒロイン。なので男バレについては少し期待していたのだが、
特に何事もなくバレて、そのまま恋人になってしまったのは残念。
これまでのルートのようにえっちな特訓をして男に慣れる流れ。代り映え無し。
先生であることも、特に生きていなくて、強いて言うなら友達の結婚式に行ったくらい。
ギャグも他のルートより控えめで、ストーリーの楽しみ方は見いだせなかった。

ウェディングドレスに憧れている話が最初にあって、友達との結婚式でより憧れ、
最後みんなからのお祝いで仮の結婚式をし、EDは本当の結婚式という構成だけは綺麗だった。


〇流華

ちょっと他ルートとはレベルの違う面白さだった。数段上の面白さ。油断してた。
会話の軽快さや、単純にやり取りの面白さがもう全然違い、読ませる文章になっている。
シリアスもきちんと面白いのに、ギャグセンスもあり、Hシーンも結構えっちで、隙が無い。
お互い調子に乗ってえっちなことがエスカレートしていき、そのままお互いに惹かれ合う流れも、
意外と自然で良かった。お互い煽り耐性が無いので、ヒートアップしてしまうのも違和感ない。

普段ボイスが流れきる前に、文章読み終わったら進めてしまう派なので、先輩のセリフが「…」なのは
ちょっときつかった。とはいえいいキャラ付けにはなっていたと思う。
きちんと声が出るようになったこともわかりやすかったし。

演劇の内容も良く。何か普通にうるっと来てしまった。銀色のBGMが悪いよ…。
最初のスタッフロールが流れるタイミングが、そういえばこのゲームねこねこソフトだったと
思い出させてくれた。ねこねこソフトはEDに入るタイミングがずば抜けて良いメーカーだったわ。

生徒たちにバレるという要素を入れることで、女装に意味があったのもよかった。
正直他のルートだと女装ものである意味はほとんど無かったので、少しでも意味が出るのは良いこと。
好きな相手に対してまっすぐに頑張れる鉄男の良いところがEDに生かされているのも良い。
演劇が終わった後の流れも短いながらよくまとまっており、普通に感動した。

他ルートと違い、最初から演劇を成功させるという目標があり、そこへ向かいつつ、どんどん先輩との
距離が縮まっていく様子が飽きさせないルートだった。
ちなみに立ち絵の首振りモーションは可愛い。E-moteじゃない良さがある。


〇ユリ

流華ルートよりは結構落ちるけれど、普通に面白かった。
唯一全員に、学校から去ることを伝えるルートで、その結果特訓を急ぐことにするルート。
前半はみんなと特訓して、ユリがやきもちを焼き、ユリと特訓するの繰り返し。
これは他ルートと違う流れで面白かったのだが、一線超えてからはユリとしか特訓をしなくなっていくので、
他のルートとあまり変わらない流れになってしまったなあという気持ちだった。
後、鉄男のキャラが結構違う。特に突っ込みが顕著。とはいえ突っ込みのキレがあるので
面白くなっているのだが。。

それでも他ルートより特訓の成果は出ていたらしく、ユリ以外も男性恐怖症を一番克服出来ているルート。
みんな結構簡単に解消出来るみたいなので、各ルートのえっちな特訓はいらなかったんだろうなあ本当は。

みんなとこれ以上仲良くなって欲しくない、ずっと自分と一緒に居て欲しいという気持ちと、
こんなんだから自分が邪魔になってお兄ちゃんに迷惑をかけるという気持ちの板挟みになるユリは、
面倒くさい感じもありつつ、結構あるあるな悩みだよなあと思う。

ユリは男性恐怖症というよりも、人付き合いが苦手という感じだったので、最後に自分の正直なわがままを
友達みんなに言える姿は、なんやかんや成長できたじゃん…と嬉しくなった。
子供っぽくても一緒にいたいならそれでいいじゃない。終わりはねこねこらしく、いいまとめ。

すぐ嫉妬するタイプのヒロインは面倒くさいと思う事多いのだけれど、ユリは声のおかげかそんなに
面倒くさいと思うことはなく、いい塩梅だった。というか本当に声が合っている。
あとカリカリは可愛い。本当に可愛い。


〇全体の感想

一番好きなキャラ:流華

とにかく流華ルートがずば抜けて良い。これだけのためにやる価値もあるんじゃないかと思う。
Hシーンが多く、特に流華、ユリ以外のルートは抜きゲー感が強い。
流華、ユリもHシーンは多いのだが、話の内容がえっちだけに寄っていないので、キャラゲーの体は
保っている。

正直しづ花、紗織、寧々ルートは出来が良いとは言えず、ギャグで面白い箇所はあったりもしたけれど、
基本的にはえっちしているだけで、割と退屈なシナリオだったと思う。
とはいえ、全ルート終わり方だけは綺麗だった。そこは流石のねこねこソフト。

個別に入ると共通のわちゃわちゃ感が薄くなるのは悪いところ。もっとカオスギャグ特化で良かった。
とはいえ流華ルートは良かったので、カオスギャグだったら流華ルートは無いと思うと複雑だが。
また、女装については流華ルート以外ではまるで生きていないので、もっとなんとかならなかったのか。
女装バレも適当で、せっかく可愛くない女装主人公という唯一無二の設定なのだから、しっかり生きていたら
全然違うものになっていたと思う。面白く出来そうな設定だけどなあ…。

流華ルートがすごく良かったのもあり、つまらなかったとは言えない作品だが、流華ルート以外で
結構ダレたのはそう。もっと笑わせてもらえるつもりだったので、期待仕方が違ったかな。