そこそこ楽しかったですが・・・なんだか作り手の頑張りが空回りしてしまった感じですね。色々とチャレンジ精神に富んでいると感じたので高めに評価しました。
冒頭はドタバタとしたノリと、個性的で魅力的なキャラのおかげで、作品にのめり込まされましたが、
読み進めていくと、無駄な雑学話や、萌え一切なしのつまらないギャグ話などで、退屈な部分も多く目に付いた作品でした。
しかし、
主人公に声を付けて、大げさなツッコミを入れる事で、より客観的にドタバタ劇を楽しむことを重点を置いていたり、
一本道の話に所々選択肢があるだけのありきたりな作品ではなく、イベントそのものを「ストーリースティック」という小イベント群の中から選んで、読み進めるゲームシステムなど、
「他のメーカーとは違うものを作りたい」という創意工夫みたいなものは非常に強く感じられて、工夫の成果はどうあれ好感が持てました。
シナリオは、「ストーリースティック」での小シナリオ選択・・・つまり「共通ルート」がかなり終盤まであるのですが、目当ての女の子との恋愛の進行具合にグッと来るものが少なく、色気のかけらも無いギャグイベントや、雑学的なシナリオが終盤のスティックにもあったりと、「萌え」と「笑い」「雑学」のバランスがかなり悪い感じがしました。
ヒロインそれぞれのシナリオ自体は十分「並」レベルだと感じたのですが、
そこに行き着く途中に無駄な小イベントが多く、読んでいる遊び手の気分が盛り上がらないまま、告白→エッチシーンへと流れてしまうので、魅力的なキャラが非常に勿体無く感じられました。
全体的に、
萌えを楽しむには無駄なギャグ話が多く、
ギャグを楽しむには無駄な雑学が邪魔でテンポが悪い。
長々と雑学を楽しむには遊び手を物語に引き込むシリアスさに欠ける・・・。
そういった、様々な要素が半煮えのまま放り込まれているような、そんな統一性の無さが失敗の要因だった気がします。
あと、御剣町サイドで遊ぶと王子にホラれるBADエンドが高確率で出るのですが・・・あまりにも気分が悪く、他の笑えるイベントでも、王子がらみの話は見れなくなりました(泣)
せっかく「普通に楽しんでもらおう」と、作ったシナリオまで楽しめなくしてしまうようなエンディングというのは、かなり問題ありなのではないでしょうか?
今回はスタッフの方々、暴走し過ぎた感じですね。
ただし「手を抜いた失敗作」と「頑張った失敗作」とでは、その失敗から得るものは全然違うと思います。
作品からスタッフの頑張りは十分伝わりますし、次回作は期待したいと思います。