減点の多くは低予算によるものだと思ってください。本来なら90点以上あげたい作品。 キャラ、世界観、ストーリー、どれも面白かったです。 trueルートまで遊べば、度量の大きな主人公を味わえます。
物語のベースが、私の好きな会社の某作品と同じという点が少し気になりましたが、
そこさえ気にならなければ、恋愛・伝奇モノ、最後は活劇モノとして、良くストーリーが練られていたと思います。
探偵である主人公は、とある事件を追っていて川に転落し、そこで美しい巫女姉妹の裸を見たことから、「一族のしきたり」によって、どちらかを嫁としなければならない、という立場になります。
最初は、狐につままれた様な都合の良い話で「いかにもエロゲだな~」と思っていたのですが、実はこの姉妹には、重大な秘密と使命、そして主人公自身にも大きな秘密が隠されていて・・・という感じです。
物語は全4章で、起承転結で、きちんとまとまっている感じです。
各ヒロインごとに、解明される物語の謎が違っていて、
最低、メインヒロインの鷺宮沙生・姫織の姉妹をクリアした後、再プレイすることで、物語を完全解決できる「trueルート」への選択肢が開かれるという感じです。
ストーリーは面白く、特にtrueルートは漢として、かなりの満足感を与えてくれるのですが、
大手ブランドの大作などと比べると、CG枚数など、作品のスケールに対して、素人目にも予算的に苦しかったのが伝わってくるのが本当に残念です。
シナリオは本当に頑張っているので、異形との戦闘シーンなど、真っ暗な画面でテキストを読むだけでも、面白ければ想像力で補える。という人なら、買ってみる価値はあると思います。
以下、おおまかなあらすじ。
1章はヒロインである巫女姉妹とその母親との和やかな日常と、
物語の舞台となる神社や村、排他的な村人達・・・といった作品世界の案内。
2章に入ってから、この村が抱えている、別の村との確執、一ヵ月後にある謎の儀式の話、行方不明となる村人、主人公が追っていた事件との関わりなど、物語が動き出します。
正直、初回プレイはこの辺り、排他的で感情的な村人の描写や、村長の息子・智則への嫌悪感、巫女姉妹の妹、姫織が村人にイジメられる話など、かなりドロドロしていて気分が悪いです。
しかし、2章終盤で、東京から勝気で明るい、幼馴染みの天才少女、天野心亜が村にやってきて、作品のドロッとした空気を吹き飛ばすと共に、物語の方も、DNA鑑定などを駆使した切れ者ぶりで、村人達の謎、神社に有る大銀杏の実の謎など、「謎を解く鍵」を次々に提示してくれます。
正直、3章はこの天才少女・心亜の見せ場が多く、声優のみるさんのサッパリとした演技もあって、個人的にかなり魅せられました。
そして4章は3章ラストで結ばれたヒロイン別の決着編といったところ。
以下、重要なネタばれです。
この物語は、鬼と天狗、二つの一族の確執が元になっている作品なのですが、
「鬼」である沙生と朱梨はハッピーエンドと呼べますが、
「天狗」である姫織や、人間の心亜のエンドは村人が殆ど死滅してしまう、かなり後味の悪い結末になっています。
特に、姫織のエンドに関しては、彼女自身が暴走し、村人を大量殺戮してしまったことに対して、良心の呵責などの描写がないままハッピーエンド的なラストCGを入れてしまったことが残念でなりません。
状況的には、殺さざるおえない状況だったんですけどね・・・それでも何か欲しかった。
trueエンドに関してですが、物語の終盤、主人公は鬼か天狗か、それとも人間か?という選択を与えられて悩むことになるのですが・・・。
まあ、この辺りは実際見てのお楽しみということで(笑)
個人的な感想を少し書くと「こんな説得力の有るヤリ●ン見たことねぇw」でした(笑)
貴種っていいものだなぁ~すっごく大変そうだけどw
「男の甲斐性は、どれだけの女を幸せに出来るかだ。」という、古風だけど漢らしい満足感に浸らせてくれる、お気に入りの作品になりました。