平坦を絵に描いたような作品
したいことはわかるが、その思想にシナリオがついてこれていない。
過去は変えられないが、そこに至る過程は変えられるという着眼点は良いと思う。
ただ、これは過程の描き方がとても大事になるが、その部分のシナリオが単純に面白くない。
地の文が平坦で、かつヒロインとの会話も特段笑える場面もなく、
展開もひたすら地味であり、本質的な過去を変える過程が、ただの残骸になってしまっている。
ここが致命的すぎた。本質がなければ、見せ場もなくなり、そして意味がなくなる。
加えて、終盤も盛り上がっているとは言えず、あれだけ長い過程を経たのに……
というがっかり感と押しの弱さは否めない。
言ってみれば、小学生が見よう見まねで投げたスライダーくらいのキレしかない作品で、
身の丈にあっていないように思う。
作品の面白さより、自分の描きたい考えを軸にシナリオを練った印象が強く、
倒錯的な作品に思えた。アニメやドラマであれば、動きが加わるので、
ある程度起伏のない展開もごまかしが効いたかもしれないが、
本作はひたすら文章オンリーなので、そこで読ませなければ意味がない。
展開をもう少し起伏あるものにして欲しかったということに尽きる。
何かにつけてインパクトの欠ける作品だった。