抜きとシナリオは両立しないのかもしれない
シナリオを期待してプレイするには代償が大きすぎるゲームです。完全に抜きに特化しており、普段この手のゲームをしない人なら、抵抗感はすごいと思います。一番びっくりしたのは、お互いのケツの穴と口をホース的なものでつないで、そいつらに下剤を飲ませるシーンです。よーわからんという人はそのサンプルCGが公開されているので、よかったら見てみてください。これ以上はあれなので言いませんが、このシーンは抜く抜かない以前の問題だろうと思いました。嗚咽が止まらなかったです。他にも、ヒロインを殴り倒したりするシーンやヒロインが圧死するシーンなどグロ要素も多彩で、一応フィルターがあったので、それを利用しましたが、なんとも言えない気分になりました。リアルでは不可能だからこそ(もしかしたらあるかもしれませんが)2次元でやってやろうという意気込みを感じました。さすがに、グロシーンで抜いている人はいないと思いますが。良いか悪いかはさておき、抜きという面で見ても、とてもマニア向けの作品だと思いました。CGの枚数は圧倒的なので、作り込みは半端じゃないです。
本作はシナリオがいいと言われていますが、正直な話、抜きゲーとして見たらの話だと感じました。本作の核心が見えてくるのはシナリオを8割ほど消化した後のことです。それまで、永遠とアブノーマルでフェチなシーンを見させられます。あんまりそういうシーンが好きでもないので、ほどほどにスキップしました。プレイは多岐に渡りますが、凛音のプレイはとりわけすごかったなあという印象です。むち打ちのシーンなんて誰に得があるんだとか思いました。すごい悲鳴もうるさくて、ダブルショックでした。後半部分も、プレイの連続とまではいきませんが、やはりアブノーマルな面は根強いです。シナリオ的な謎も少しは出てきますが、大前提として、抜きなんだなという印象です。エロ無しでは話が進みません。
確かに、メインのシナリオは悪くないです。しかし、そこに至るまでの道のりは長く、険しく、汚いです。そんな道を必死に歩いた先が、このシナリオなのかと考えると、肩透かし感がすごいです。めっちゃ勉強したのに、テストの点数は平均点より+10点くらいだったみたいな感覚です。労力とあっていない感がすごいです。いわば、本作のメインシナリオはサプライズです。抜くことを目的にしている人からすれば、作品の価値は「抜けるかどうか」という点に置かれます。ですから、シナリオは二の次です。あろうがなかろうが、すごく抜ければそれでいいはずです。そういう思考の元で本作のシナリオは評価されています。つまり、期待していない部分が思いの外よかったので、評価されているに過ぎないのです。よくある話だと思います。逆に、シナリオを期待している人にとってみれば、「抜けるかどうか」など些細なことです。見たいのはストーリーであって、エロではないからです。確かに、序盤のプレイシーンもシナリオ的には欠くことのできない要素かもしれませんが、シナリオを期待する身にとっては、結局、性的行為の連続なので、興味も薄いです。繰り返しますが、本作のメインシナリオは決して悪くありません。しかし、そこに至るまでは、シナリオを期待している人にとっては、あまりに長過ぎます。この結末はあくまで抜き目的にプレイした人がサプライズで驚く仕掛けであり、シナリオを目的にした人にとっては、やっとたどり着いたという達成感をもたらすものでしかありません。
もっと言えば、抜き目的の人にとっては、抜けるシーンがあるので、ゲームに熱中もできます。そこから、途中に出てくる伏線にも興味が持て、本作を楽しくプレイできる道筋的なものがなんとなくできてきます。ただ、そうでない人は、アブノーマルなシーンを色々耐えなければいけません。それも結構挟まってくるので、本筋を気にする以上に、そこで手一杯になる危険があります。もうこのシーンはいいよ的な気持ちになる恐れがあるのです。つまり、道中に熱中できないのです。ゲームに入り込めていないので、ゲームを楽しむというスタートラインにさえ立っていないとも言えます。絵が合わないだとか、話がつまらないという次元の話ではなく、描写的な部分です。ここを慣れろというには無理があるでしょう。つまり、最初から、評価する人と評価しない人は決まっているのです。シナリオの合う合わないではなく、世界観や描写が最初から合わない人にはとことん合わない作品だからです。言ってみれば、どんだけシナリオがよくても、ホモな話は無理みたいなことと同じです。他の作品にも言えなくもないことですが、本作ほどそれが色濃く出る作品もそうないと思います。これは抜きとシナリオを両立させたための副作用的なもののように感じます。シナリオを良くしようとすれば、エロが削られ、エロを増やせば、シナリオが破綻しかねない。そんなジレンマを考慮すれば、本作はそれなりにノーマルな層にも受けが狙えるよう完成した数少ない作品だと思います。少し、抜きゲーで、シナリオが良いと呼ばれる作品が少ない理由がわかった気がします。
したがって、シナリオがいいという安易な言葉に乗ってプレイすると激しい後悔や徒労感を生じかねない作品だと言えます。新たな性癖に目覚められるきっかけになるかもしれませんが、シナリオに期待してプレイするということはあまりオススメしません。ただ、よく構成されたゲームだということは断言できます。アブノーマルな方は挑戦して見てもいいのかもしれません。