Augustはこの作品を作ったことを誇りにしていいと思います
一言で偉そうなこと書きましたが本当にそうとしか言えない。
Augustはこの作品を作ったことを誇にしていいと思います。近年稀に見る良作。
エロゲに何を求めるかは人それぞれだと思いますが、物語の『質』という点では文句無く100点。
満点なんて評価をつけるのも本当はあれなんですがこの作品・・・
①世界観が確立し、かつその設定が生かされている
②キャラの個性も確立し、見事にそれを表現している
③演出も①、②を壊さず、非常に上手に魅せてくる
④画質、音楽が①~④を支える高品質
とまぁ非の打ち所が無い。大抵①~④のどこかが欠けるのが常なんですがね。
以下、細部にわけて感想を述べると・・・
・世界観
空に浮く都市なんてなんともメルヘンですが、この作品ではちょっと毛色が違いますね。いつ落ちるかもわからない不安定な空中都市で、貧困に喘ぎながら人々が精一杯生きているというなんとも泥臭い設定。でもこの設定があるからこそ、終始暗い世界の中、懸命に生きる主人公やヒロインの姿に説得力があるんでしょう。
・キャラ
各々の設定がしっかりしているせいか、非常に感情移入しやすい。詳細は各ヒロインで述べますが、一言で言えばどのキャラも主人公になれる程洗練されているってとこでしょうか。
・画質や音楽等
これは流石の8月クオリティと言ったところ。今までの作品の積み重ねがあったから成せる品質でしょう。特に音楽は作品の雰囲気を壊さず、見事に調和しています。
さて肝心の各ヒロインの感想ですが・・・
・フィオネ
なんともかわいい隊長です。個別ルートに入る辺りで、普段の真面目さとカイムにだけ見せる頼りない表情のギャップにやられた人も多いのでは?
実はヒロインの中でも精神的にかなり弱い方かもしれません。作中にもあるとおりカイムが寄り添うか突き放し憎しみの対象にならなければ、恐らくロクな最後を迎えないでしょう(笑)そういう意味で個人的には、ティアの次にカイムとくっついて欲しいヒロインです。黒羽と戦う話自体はダークなこの世界観の出だしとしてはとても良いかと思います。
・エリス
エリスは本当に綺麗です。発売前でも一番人気だったような。ただ性格は予想出来ましたがかなり自由奔放、フリーダム。言ってることはそんなにおかしくないんですが、世界の中心がカイムなんで周りと激しくずれています。
最終的には一番自己を確立できたヒロイン。これも全て保護者カイムの教育の賜物でしょう。話の筋はどちらかというとジークと牢獄の政治闘争でしたが。
ただ一番エロかった。これは間違いない(笑)
・コレット(聖女イレーヌ)/ラヴィリア
一番のお気に入りヒロインがコレットです。立ち絵の冷めた目つきとキツイ言動が癖になる(笑)
しかし、話自体も一番熱中できました。と言うのも今までの上記二人のヒロインの場合完全に事件=ヒロインの話では無かったからです。
それに対しコレットの場合聖女である彼女を中心に全ての話が動きますので、まさにコレットのための章と言えるでしょう。健気なラヴィリアも可愛いの一言。処刑場のワンシーンに不覚にも感動しました。
・リシア
物語が最高に盛り上がるのがリシアの章でしょう。特にこの章はルキウス、執政公、ヴァリアス、ガウといった脇役が輝いているのなんの。手に汗握る展開をまさか8月の作品で見れるとは思いませんでした。欲を言えばカイムにもっと頑張ってもらいたかったかな。リシアは俺が助けるみたいな(あれでも十分ですし、リシアの独り立ちをテーマに置いているので難しいかもしれませんが)。
・ティア
愛は全てを救う。正にそういった言葉が似合う最終章。そしてティアはそれを体現するヒロインだったと思います。おもしろいのは全てを救うことと誰かを愛することがアンチテーゼになっていること。主人公のカイムは終始そこに悩んでいましたが、そんなことに悩んでいたのは最終的には彼だけだったという話。
愛するから、信じるから、覚悟を決めているから理由はキャラそれぞれでしたが、世界をカイムを、そして最終的にティアを救ったのは間違い無く愛でしょう。
救いが無い様で救いがある、そんな素晴らしいラストだったと思います。
長々と感想を述べましたが、やはり非の打ち所が無い作品です。
勿論各個別パートが短いだとか、メルトさんが攻略できないとか(笑)若干の不満はあります。
しかし、そんなの部分を原点対象に入れる気すら起きないのがこの作品。
今年最高の作品となることは間違いないでしょう。