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gonさんのさくらビットマップの長文感想

ユーザー
gon
ゲーム
さくらビットマップ
ブランド
HOOKSOFT(HOOK)
得点
79
参照数
1942

一言コメント

私にとっては鬼門であったこのブランドの作品をフルコンプする日が来るとは・・・ 今回の件を踏まえ、考えが少し改まった様な気がする。このブランドは大変貴重な存在なのですね。この作品にキャラゲの真髄を見たような気がするのは・・・多分錯覚なのかもww

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

まず最初に記述すべきは、わたしにとってこのブランドは鬼門と言ってもいいぐらい相性が悪かったという事を言っておこうと思います。
 このブランドの作品で私が所持しているのはこの作品以外で、計6本(FDを含めて)と少なくはありますが、それでもこれまでフルコンプする事無く全て途中で散ってきました。理由は途中で飽きるからというのが一番の理由ですが。

 そんな私が今回初めてフルコンプできた。極端な物言いになりますが、それだけこの作品は素晴らしかったのだと思う。

 そもそも、私はこのブランドの低次元なノリ(むしろバカゲー・・・?少し言い過ぎかもしれません)がとても嫌いである。今作品の中でも、その点は全開です。


 作中から引用すれば、

 看護師『先生、先生! ち○こです、大変です、ち○こついてます!!』

 女医『ち○こ? ち、ちちち、ち○こだって!? どうしたらいいんだ!』

 これは私の印象に一番残っている部分からの抜粋ですが、とりあえず落ち着けとツッコミを入れたくなる事はしょっちゅうでした。まさにいつものHOOK節全開です。何故か男の赤ちゃんが生まれない町で、久しぶりに生まれた主人公【史隆】だからの描写というのは重々承知の上で申しております。
 それでもコレは酷いと思ってたのですが、プレイ終了後に少し思う所がありました。

 それはキャラゲ(萌えゲ)っぽい印象の作品でも、シナリオに力を入れるブランドが増えてきた昨今。それは例えば、起承転結をしっかりさせる事であったり、ヒロインの背景に影をつけたりとかが私の中でパッと思いつくところですが、この作品はそんな感じではない。
 ヒロインがユーザーに与えるかもしれないマイナスイメージの描写は一切なく、この物語に趣が置かれているのは日常であり心の機微。(そして忘れてはいけない低次元名な所で繰り広げられるギャグ?)シナリオに盛り上がりがなくとも、それを補うぐらいにキャラ設定がしっかりしていたと思います。下手にシナリオに力を入れるよりも、この作品の様な構成の方が、印象が良いのではと感じてなりません。

 ブランドとしての色を確立しており、わが道を行くその姿勢は潔しと感じるのは私だけでしょうか?
 キャラゲ(萌えゲ)にシナリオは必要か・・・?それはあるに越した事はないのでしょうが、この作品の様な些かパンチ力の弱いシナリオでも十分楽しむ事は出来る。この作品にキャラゲ(萌えゲ)の真髄を垣間見た様な気がします。
 このブランドが業界になくてはならないと今更ながらに痛感させられました。

 ただし・・・

 私がこの様に評価できたのは、原画担当に有名な方を起用したのが一番の要因であったと思います。誤解がないよう記述しておきますが、私は松下さんの絵が嫌いとか言うわけではなく、むしろ好きな絵です。そして個人的に鈴平さんが好きだから印象が良く感じたというのも否定しませんが、複数絵師は成功なのでは?と思います。
 このブランドのノリが合っている方は問題ないでしょうが、私は合わない部類なので、正直フルコンプするのは些か苦痛。ですが、今回の様に複数絵師であれば、ヒロイン攻略の際に、ヒロイン絵が変わるだけで少し気分が変わってフルコンプも無理な話ではない。それにキャラゲ(萌えゲ)の要素は強かったと思います。欠けたピースがはまった様な錯覚に囚われました。私の感じ方は、複数絵師否定派には当てはまらないし、昔からのHOOKのファンには当てはまらないと思いますので、話半分の半分程度に流していただいた方が良い気がしますが・・・!

 そして最後に予約特典の【親友キャラ性転換パッチ】について。残念ヒロイン【宗次郎】ここに誕生!!
 本当に無駄な所に力入れてますねwwやはりしっくりくるのは男キャラでプレイした方であるのは言うまでもありませんが、とても面白いアイデアだったと思います。台詞はそのままで担当声優と立ち絵が変更なので、微妙っちゃ微妙ではありますが【女・宗次郎】が不必要な迄に可愛い点。性格は・・・ ね。置いといて・・・

 まさに松下さんの無駄遣いwwだが、その遊び心は素晴らしい。そう感じました。

 気になる点も少しありますが、それでもシナリオを気にしなければ十分楽しめると思います。シナリオの尺も無駄にダラダラせず適度な長さだった様に思います。私の様にHOOKに見切りをつけた方にこそ、プレイしてみて欲しいと感じる作品でした。そんな感じで今回はこの辺りにしておきます。作品の事にはほとんど触れておりませんが、それでは・・・