プレイ本数が少ない私には至高の作品でした。ボロ泣きして醜態晒しながらプレイしました。本当に・・・本当に感動しました・・・
久しぶりの長文感想ですので、昔書いたような感じじゃなく、その上昔以上にお目汚しになってしまう事を先にお詫びしておきます。
【coda】部分についての感想メインになるかと思います。発売からあまりにも時間経過してますので、今更感全開でございますが・・・
まずは本作【WA2】。『WHITE ALBUM』の名前に恥じることなき名作であったと思います。『WHITE ALBUM』の流れを受け継ぎ、進化させた作品。
素直に楽しめたと・・・そして感慨深い作品だったと・・・心の底からそう感じております。
万人に誠実であろうと・・・雪菜とかずさを悲しませないようにと・・・一番正しいと思われる答えを知りながらも、踏み外す春希。
自分の倫理観を飛び越え、一見すると短絡的とも思える選択を続ける彼とそんな彼を想う雪菜とかずさ。
そんな三人の織り成す三角関係の物語とその結末。とても優しくそして残酷な物語・・・
何を間違えた・・・?どこでボタンを掛け違えた・・・?
その原因は『三角関係になる状況を作ってしまった事』であると同時に、
それは果たして間違いだったのだろうか・・・?
答えはきっと否でしょうね。
そのどうしようもない事実と向き合うまでに、約5年間という時間が作中で流れたわけですが、誰が一番悪かったのか・・・?
三人ともに責任があるのは間違いないかと思いますが、この点については多分ユーザーによって意見の分かれる所かもしれませんね。
春希・・・?それとも雪菜・・・?かずさ・・・?それとも三人同じ度合い・・・?
この感想を見てくださっているあなたはどこに該当しますか?もちろん正解なんてありません。
でも・・・それでも・・・私は・・・もし答えを一つ出すのなら『雪菜』と答えます。
『introductory chapter』『雪が解け、そして雪が降るまで』『coda:かずさエンド』からそう判断しました。
せつな自身も作中で述べた通り、彼女の最大のミスは『かずさの春希への想いの強さ』を、そして『春希のかずさへの想いの強さ』を・・・
【甘く見ていた事】
付属時代の『雪菜の春希への想い』も間違いなく本物です。だがそこに先に挙げた2つの想い程の強さはなかった。
これはあくまで結果論に過ぎません。ですが先の2つの想いには【生まれ故郷を・・・家族・・・友人を・・・環境を・・・捨てても成し遂げる】
そんな覚悟があった。雪菜にはこの覚悟はありませんし、恐らく生涯彼女が持ち得ない感覚でしょう。自身も作中でその様に納得してますし負けを
認めてます。
そしてあの文化祭の瞬間・・・彼女は『二人』でいる事を望んでなかったのですから・・・雪菜の行動【告白】は『かずさの行動【キス】』が
引き起こした二時的産物であったのは否定しませんが、それでも踏み込むべきではなかった。
雪菜の想いは愛する人、そして自身を取り巻く家族や友人へ分散して向けられる。
しかし、かずさは自分の想いを愛する人にのみぶつける子供じみたことを躊躇なく実行する。
まさに大人の恋と幼稚な恋ですね。合理的なのはどちらか・・・それは『大人の恋(雪菜の恋)』でしょう。
では想いが重い(強い)のは・・・?
それは『幼稚な恋(かずさの恋)』だと私は思います。
この点は『coda:かずさエンド』『coda:雪菜エンド』の成り行きを見れば明白ですね。
数年前、『introductory chapter』のみをプレイした時、私は『春希』が一番悪いって思ってたんです。
どちらにも良い顔してふらふらと・・・自業自得・・・って・・・(苦笑
でも、今回は印象がガラッと変わりました。
だって彼女たちは知っていたんです。どちらかが引かないと春希が傷つく事を・・・
それでも結局彼女たちは主張した。自分を・・・
恋をしたのですからそれは当然でしょう。
でも、だからこそ悲劇が起きた。
本当に身を引くべきだったのは誰・・・?
かずさの想いを・・・春希の性格を・・・そして春希の想いを知っていたのは誰・・・?
想い合う二人に割り込んだのは・・・?
私の考えは鶏が先か?卵が先か・・・?の理論かつ感情論での書き込みで説得力に欠けるのは承知してますが、
これこそが・・・言っても詮無き事こそが『WA2』の姿だと思ってます。
雪菜の中学時代の苦い経験からくる焦りである事は共感できますが、自身の望んだ『三人でいる事の意味』
を短絡的に考えたのは雪菜であったのは否定できない事実です。
誤解のない様に今言っときますが、ちなみに私は雪菜嫌いじゃないですから(笑
皆さんは・・・『coda』のどのENDが好きですか・・・?私は『春希崩壊(浮気)END』が一番好きなんです。
理由は、一番痛みが少ないから。付属時代より三人がもっと傷つき、その後の人生の糧となる対価を三人がそれぞれ得たであろう事が予測できる結末。
かずさは恐らく『春希の子供を』
雪菜は『春希を』
春希は『かずさとの決別を、そして雪菜を・・・』
『coda』は、雪菜END・かずさENDも残酷でそして同じように優しい・・・
雪菜ENDは一見すると・・・幸せなのかもしれません。
かずさは恐らく、春希を忘れることはないでしょう。
身近にいればいるほど、忘れることは難しいでしょう。
それでも縁は切れない。世界で孤独に生きるのはかずさにはもう無理だから。
母の病気を知り・・・今のままでは一人で生きることになるかずさには
縋るものは雪菜・春希以外にないのですから・・・
あれは選択したのではなく、選ぶことすら出来ないかずさの悲しい結末・・・
それでも親友の絆だけは取り戻した。良かったのかどうかは私には測りかねる感じですが(苦笑
かずさENDは、ある意味これだけが完結せず先を匂わせる終わり方でしたね。
物語の先を・・・丸戸さんはどんな風に思い描き、あえて書く事をしなかったのでしょうか。
絶対療養の曜子がその体を推してまで娘に伝えなければいけなかった事。
「子供の側にいる必要があると思ったら、
何を置いてでも側にいるべきものなのよ」
と作中では書いてましたね。
「小木曽雪菜さんの、こと。あの後の、彼女の事」
「あなたたちにとって、
いずれは受け止めなければならないことだから」
「覚悟して、確かめなさい」
例えば作中に起きたあの事故に絡むのでしょうか?それとも精神的な崩壊でしょうか?
二人では抱え込めないかなりの内容であると私は思いました。日本を捨てたと言っても
後悔がないというわけではなく、ですがある程度の内容であれば春希で乗り切れるから曜子の必要性がないはずでしょうから。
「小木曽雪菜さんの、こと。あの後の、彼女の事」
「あなたたちにとって、
いずれは受け止めなければならないことだから」
「覚悟して、確かめなさい」
この部分からそれなりの内容であることは推し量れますが、あんまり創造しないようにしました。
考えると、悲しくなるので・・・(苦笑
逆に救いは、雪菜が歌うビデオレターですね。
~【closing chapter】より~
雪菜
「あなたを好きでい続けるために、
歌の方を嫌いになったの」
「もし歌えば、必ず、この学園祭のステージが・・・
みんなで練習した毎日が、最後の24時間が蘇る」
「けれどね・・・わたしの記憶は、
その楽しかったところで止まってはくれないの」
「お祭りのあとの、夜のこと。
あなたにも隠してた、醜い自分の正体のこと」
「期末試験のこと、旅行のこと、コンクールのこと。
かずさと、春希くんと、私の三人で過ごした、
楽しかった『ふりをしてた』日のこと」
「そして、あの・・・
三年前の、誕生パーティのこと」
「必死で耳を塞いでも、目を閉じても・・・
それでもまだ記憶は止まってくれなくて」
「卒業式のことが・・・
空港での、かずさとの別れのことが、
すごく鮮やかに蘇ってくる」
「そんなことばかり続けてたら、
わたし、あなたを嫌いになってしまかうかも・・・
憎んでしまうかもしれなかったから・・・」
「わたしがまた歌えるようになったその時・・・
そこには、あなたのことを嫌いになってる
わたしがいるかもしれないのに?」
「わたしはやっぱり、あなたのことが好き。
だから、あなたが好きなままのわたしでいたいんだよ」
「だから・・・できないよ。
もう一度歌うことなんか、できないんだってば・・・」
彼女は歌った(歌い続けた?)のだから。
歌は彼女の悲しい思い出を呼び起こす。
歌は自身と向きあう為の・・・そして前に進む意志の表れでもある。
そしてメッセージを込める為の手段でもある。
雪菜から二人へのメッセージは・・・
『POWDER SNOW』
今は側にいない大切な人を想う歌。
きっと春希へ・・・そしてかずさへ・・・
二人を想い続けてる意志の表れ。
そして二人の事を大切に想う人の・・・
そして二人が想う日本に残した大切な人の・・・
幸せを願う歌であるはずなのだろうから・・・
恐らく曜子の病気の事を雪菜は知ったのだろう。
家族大好きな雪菜には自分の悲しみなど比較にならない衝撃だったのかもしれない。
~【雪が解け、そして雪が降るまで】より~
全ての人の幸せを願うのは。
周りの人の幸せを願うのは。
・・・三人の幸せを願うのは。
-なんてね・・・怒った? かずさ。
けれど、間違ったこと言ったつもりないよ?
お互い、なりふり構っていられないもんね。
好きな人と結ばれて。
愛に満たされて。
そうして初めて祈ることのできる願いなのだから・・・
作中で雪菜はこのように自身の心境を述べている。
彼女は願った。三人の幸せを・・・
その後の雪菜に大変な事はあったのかもしれない。
絆が戻るのは喜びだけではないはずなのに動いた・・・
好きな人とは結ばれてはないが、
きっと「愛に満たされて」いるのだろうと私は思う。
そうであって欲しいと願う。
このENDこそが小木曽雪菜という人物の良さを最大限に表現できたシナリオだろう。
一番大人だったのは・・・一番優しかったのは・・・一番苦しかったのは・・・
それは雪菜であったのではないだろうか・・・
私にはそう思えてならない。
どうしてこうなるんだろう・・・?
それは三角関係だったから・・・最初からボタンを掛け違えていた。
そして掛け違えが予想以上だったから・・・
人間性からして三角関係から無縁でなければならないはずの三人の悲しくも優しい物語。
私はこの作品が大好きです。プレイできて良かったと心よりそう感じてます。
旬が過ぎ、この感想を読んでくださる方が居るかは分かりませんが最後までお付き合いいただいた方、本当にありがとうございました。