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gonさんのZODIAC ~後編~の長文感想

ユーザー
gon
ゲーム
ZODIAC ~後編~
ブランド
ACT-ZERO
得点
57
参照数
1182

一言コメント

前編の様な駆け足ではなく、今度は展開がゆっくりだったという印象。前編の終わり方に光るものを感じたが、どうやらそれは錯覚であったのだと痛感。自身の見る目のなさに失望した・・・

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 前編とは逆に、後編はシナリオの展開がゆっくりしたモノに。背景の説明とかその辺りに対しての説明もあるので、分かりやすいといえば分かりやすい。ただ、バトル中の描写はあまり面白いものではない。何だろう、躍動感がない?みたいな感じ。うまく言えないんですが・・・

 物語の後半はテキストに少々、自己満足的な正義感・贖罪意識の描写が色濃くなり結構胸焼けする感じ。凄く偽善的な?と言えばいいのでしょうか。うまく言えなのですが「うわ~、心に響くんじゃないの?この文章?」という姿勢がテキストから感じ取れてしまうぐらいといえば分かっていただけるでしょうか・・・

 結末もイメージしていたのとは全然違う。良い悪いは完全に別物として。前編をプレイされた方の中で1500円捨ててもいいと思える方には推奨。前編プレイの時点で見切りをつけた方は多分勝ち組。前編終了時に期待が少し膨らんでしまった私には手痛い結果に。多分、前編やった方で買わない方もいると思うので、ここからネタバレ。もし、前作やって、こっちやる予定のない方は気になるようでしたらどうぞ。大した事は書いてません。















 まずは・・・

 選ばれた12人の中の生き残りはらせん(てんびん座・みずがめ座・かに座)・すぐる(しし座・おうし座・おひつじ座)・ミルク(いて座)・音子(さそり座・おとめ座)・明日(ふたご座)。そして前編の伏線だった聖(やぎ座・うお座)。
 ※戦闘参加者は12人と思わせて、実は13星座に倣った13人です。

ここで前編の最後の伏線に絡む部分ですが、主人公の聖について。

 ◎聖の中には別人格【始平堂元であった人格を色濃く残した人格】が存在する多重人格設定。
 ※これは始平堂元の転生とはニュアンスが違うとの事らしい。よく分かりませんが・・
 ◎ちなみに聖の中の別人格は蛇使い座のファクター。
 ※始平堂が過去に有した能力。聖の人格が表層にある場合は、ファクターにも分からない。



 主要人物の身体に対しての負の因子と願望。

 ◎らせん・・・アルビノではあるが、概ね健康。しかし母が病気。願望は母の延命。

 ◎すぐる・・・癌。全身に転移している為、もう余命わずか。願望は延命。

 ◎ミルク・・・成長が人より遅い。願望は、生き長らえるというより肉体の束縛から解放。

 ◎音子・・・HIV。願望は他者の身体に宿り延命。

 ◎明日・・・筋肉のない身体(虚弱体質)、よって長生きできない。理由は両性具有ではなく無性という特殊な生まれが原因。生命体の終焉の形という事らしい。願望は普通に生活する事。

 ◎聖・・・多重人格。願望は戦いを終わらせる事。


 負の因子は肉体に依るものと精神に依るものと2種類に別れるということらしい。そして最後まで自らの願望に忠実だったのは、ミルクと聖の別人格のみ。

 こんな感じで前編の伏線の一番主だったところと後編での追加分といったところですかね・・・


 最後に残るのは、聖とらせん。もちろんラスボスは聖の別人格。ラストは2人仲良く死にます。(はさみで身体を突き刺します)救われる人物はいません。感動させようとしたのは二人の最後の死んでいく中で交わした会話。
 ※後編の途中かららせんの中で何かが引っかかっているという、伏線じみた描写があったんですが、それがこの最後のシーンに関係していた様です。
 
 た・だ・し・・・ 思わず鳥肌が出るような、甘いというか、よくもま~こんな文章書けるな~と変な感じで感動する内容。多分何のことか良く分からないとは思いますが、あまりにも酷かったので記念に挙げときます。

 ら「・・・・・っ・・・・・一緒に、いくから・・・・」
 聖「―ら・・・・・せん」
 ら「・・・・・・うん。ご、ごめ―」
 聖「ありがとう」
 ら「っ! ううん・・・・・私こそ、ありがとう」
  2人を貫くのは、カンケールの刃だった。
  2人を包むのは、アクアリウスの優しい光だった。
 聖「辛い思いさせて、ごめんな」
 ら「守ってあげられなくて、ごめんね」
  らせんのリブラが、2人の命の重さをあわせた。
  天秤はもうどちらに傾くこともなく、2人の思いまで支えていた。
 聖「それと・・・・・・さっき、言えなかったことがあるんだ」
 ら「なに?聞かせて」
 聖「好きだよ、らせん」
 ら「・・・・・・聞こえないよ」
 聖「好きだ。好きだ。好きだよ、らせん」
 ら「・・・・・・ん・・・・・ぅん・・・・・」
 聖「初めて会ったあの日から、俺の心はずっと君に奪われてた・・・・・・
   だからきっと、操れなかったんだ。
   俺の方が、恋に操られていたから」
 ら「馬鹿ね・・・・・・でも、嬉しい」
 聖「本当?」
 ら「えぇ、私もあなたを好きになったわ。
   あなたに出会えて、とても幸せな気持ちのなれた、
   本当よ・・・・・・あなたが、私の初めての恋」
   嬉しいよ―

   ありがとう―
    ―愛してる―

 くさい言葉が出てくるのはよくある事です。そんな事は分かってます。しかしながら、これでは感動よりも驚きの方が勝った結果に。今時、「恋に操られていたから」は使わないだろwwどこの三流恋愛小説だ?ライターのセンスに脱帽、物語の最後の一番の盛り上がる所が印象弱すぎです。悪い方の意味で感動した。無駄な労力使って本文引用したがここだけは最後にどうしても言いたかった・・・