伏線回収ゲー、伏線回収は綺麗ではない。キャラゲー寄り作品。
得られる情報の量が多いので先が読めてしまい、伏線回収時に得られる驚きや感動がなかった。
シナリオに関しては可もなく不可もなくという無難な作りであっさり終わる。終章に共通部分を作ることには、正直もっと作りこめなかったのかとガッカリしました。ループもの特有の絶望感や緊張感がなく、日常を普段通りに過ごしアポカリプス直前にも関わらず念を置いた行動をせず楽観する姿を見てきているので主人公を応援しようとする気持ちも沸かず、いざ解決した際にも達成感も感じないなど余韻を得ることは出来ませんでした。
情報量が多く先が読めてしまうこと自体はよくあって、それに騙され実は!という展開が伏線回収ゲーないしループものの作品に求めていたがあまりにも素直なまま終わってしまったのでミステリものとしても楽しめず、町に文字がないと判明!BGMキャンバスをぶち破れどーん!「おぉ!………それで?」と作品の盛り上がる部分を盛り上げきれない部分が多々あり、情報はもっと絞り重要な回収時の盛り上げや騙しを盛り込んでほしかった。なんならそのあと主人公がユネにプレゼントしたものが懐中時計で文字がない設定はどこに?となるのも作り込みが甘いなと感じたポイント。全体的にBGMも普通のものが多く印象が薄い。
HPのあらすじをダークな雰囲気にするのであれば、シナリオ自体ももっとダーク寄りにしてもよかった。あまりにも楽観的なループもの。終盤怒涛の伏線回収で驚きの連続が待っているかと思ったが、想像を超えるものは出ず伏線が回収されただけの展開にかなり落胆した作品。ただ絶望感を増し過ぎてしまうとサクヤ側を描きたい方面へ向けることが出来なくなってしまうので、あくまで自身の好みのシナリオでなかったというだけの話。
半面キャラクターは非常に魅力的で生き生きとしておりヒロイン全員が好きになれた。1人1人の賢明さに胸を打たれ、可愛さに惚れ、どちらかといえばキャラゲー的には評価したい。ゲームの構成上ヒロインのルートに割ける時間が少ないにも関わらず、ヒロインの独自性やギャップなどが短い文章で伝わりやすく表現されており個別に対しての短さを感じさせない素晴らしいキャラクターになっていました。ただスチルの構図は似通ったものばかりな点はガッカリポイント。
シナリオは好ましいものではなかったがテキスト自体は非常に読みやすく、読む手が止まらず最後まで駆け抜けられたゲーム。かなり飽き性の自身が長尺のゲームをここまですんなり終わらせるのは珍しく、ビジュアルノベル初心者の方にはおススメしやすい作品だと感じました。
総じて無難な出来のキャラゲーというのが自身の感想。面白くないのではなく、これだけ高評価なゲームなだけに何か尖った部分があると思っていましたが非常に素直かつオーソドックスで誰にでもおススメできるゲームだったので面を食らってしまった。