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gluttonykingさんのDies irae ~Interview with Kaziklu Bey~の長文感想

ユーザー
gluttonyking
ゲーム
Dies irae ~Interview with Kaziklu Bey~
ブランド
light
得点
90
参照数
1849

一言コメント

ベイに惚れ、萌え死ぬだけのゲームかと思っていましたが違いました。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ベイが好きな自分にとっては最高の作品。
そうじゃなくても満足いくだろう作品でした。
「またベイに会える」ということだけで嬉しさで胸いっぱいな気分でしたが
それを一度冷静にさせて、改めて彼の魅力を考える機会を与えてくれるような作品です。

ベイはクラウディアと関わるうちに自分の生き方と彼女の生き方を重ねていく。
ルートヴィヒが言うように、俗に生きることはひたすら貪り続けることであり、結局その手には何もつかめず虚無しか残らない。
自分で己のあり方を奪っている。それは否定出来ない事実であり、ベイ自身も認めなくてはいけない真実である。
しかし、それでも彼は「知らねぇよ」と、それを認めず、押しのけようとします。
ベイは自分が好んで俗に生きている、これからもそうあり続けたいと願う。
「俺は違う――残り続ける!」
この一言は道理に適ったものではないけど、感じる説得力の重さに心臓を射抜かれた気分です。
「男には譲れないものがある」と言いますが、まさにそれが彼の生き方を象徴しているのだと思います。
同時にこのプライド、信念が彼の最高の魅力なんだなと改めて彼の魅力を再認識しました。 ベイ最高なんだな。

そんな感じで己のあり方に忠実に突き進む、ベイの猛進さに惚れ惚れしたり、
何かと裏目に出てしまうベイの不器用っぷりや残念さに萌え死ぬゲームかと思っていましたが、
この作品の魅力はこれだけではありませんでした。

クラウディアというどこか空気の読めない抜けてるクソ女の全てを包み込むような溢れる母性、
そしてベイに対しての良き理解者であろうとする様は天使です。天使。(とか思ってたらほんとに天使になった)
彼女の輝きにひれ伏し涙するばかりでしたが、彼に怖気づくこと無く、ぐいぐい迫る彼女と
それに対しやきもきする彼のやりとりはとても幸せな空気を作っていたと思います。