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ghostsさんのくのいち飛鳥 ~吉原遊郭奇談~の長文感想

ユーザー
ghosts
ゲーム
くのいち飛鳥 ~吉原遊郭奇談~
ブランド
アイル
得点
50
参照数
4781

一言コメント

あるぇ?

長文感想

くノ一ものということで、拷問でいたぶられたり、誘惑で情報を収集したりする類のエロを激しく期待していたものの、肩すかしを食らった感が強い。薄い、薄すぎるよっ!代わりに濃くなっているのは、権謀術数と怪異渦巻くスタイリッシュ忍者アクション、と、純愛という色合い。

評価できる要素はある。例えば、和風なインターフェースを始めとした、「江戸」な雰囲気は、統一感が出ていて良い。絵師や背景も頑張っていると思う。戦闘シーンなんかもちゃんと描かれていて、悪くはない出来だと思う。この手の時代劇ゲーは、「これ、ホントに時代劇?」という、らしくない物も多いけど(まあ実際、硬派な時代劇物という物語形式が求められるケースは少ないってのはあるだろうけど)、このゲームは、ちゃんと江戸江戸してると思う(形容が下手でごめん)。

でも、こうした長所が、自分の望んでいたものすべてだろうか?いや違う。

寝取られ!寝取り!強姦!拷問!もっと、ハードな展開が来なきゃ嘘だろう。だって18禁ゲームなんだから。一般ゲームじゃ『ない』んだから。くノ一なんだから。
ましてアイルはその手の暴力表現までガツガツ描くブランド。それが、なぜエロシーンを薄くする必要がある?

このジャンルにおいてユーザが求めているものを、メーカーが微塵も把握できていない。

スタイリッシュ忍者アクションとしても方向性は、別に否定しない(そもそも、あるソフトの『狙い』がマジョリティの関心を引く物かどうかは、基本的にこのレビューでは評価しない。18禁ゲームは、ジャンルや物語や性的嗜好において、大衆に迎合することにこだわってはいけないものだと思うので)
狙い、つまり、このゲームが力を入れている要素―百合、純愛、怪異、戦闘、権謀術数―に対しては、ケチをつけるつもりはない。
・・・が、その狙いを達成する方法は、駄目だ。上のような要素は、ここは声を大にして言いたいところだが、ハードなエロあってこそ活きるものであるはずだ。そこのところでミスをしているため、かなり減点。-50点。

あと、「くのいち飛鳥」に限らないことだが、テキストの冗長さが気になる。もっとテンポよくパンパン読ませて欲しい。文学的表現が出来るのは十分分かったから。シナリオライターには、これは小説ではなく、ゲームだということをもっと意識して欲しい。心理描写には、もっとモノローグを声優にしゃべらせるとか、臨場感の出る、ゲームならではのことが出来るはず。その文章力は、そういう所に集中させて欲しい。