どことなく「蟲師」をい彷彿させる絵と物語。
制作された時期が近いためか、漆原友紀の「蟲師」に似ている点がけっこう見られました。
主人公2人のうちのミメイは、ボブカットと和装と男言葉が、狩房書房の淡幽に似ていましたし(途中体の一部が真っ黒になるところも)、夜刀のほうは一人だけ洋装というところと、幼少時に人ならざるものと触れることで、片目が人間のものではなくなった、という点がギンコと似ています。生い立ちなんかもそうですね、八束→夜刀と名前を変えたところなんかも。
その他の人物も、「蟲師」に登場しても全く違和感ない人物ばかりです。特に渡し舟の家の親子は、「沖つ宮」に出てきた海女の親子にそっくりでした。
時代背景は明治中期~後期あたりでしょうか。まだまだ江戸時代までの服装や建物が主流ですが、電話や電灯といった文明の利器が静かに浸透している時代の境目。妖怪や鬼といった幻想が存在できた、最後の時代と言えるかもしれませんね。
物語自体も、「蟲師」の「天辺の糸」「籠の中」「沖つ宮」「鏡が淵」「やまねむる」「鈴の雫」「眇の魚」などを思い出させる内容でした。ですが、それが悪いというわけではありません。一昔前の日本の、自然豊な舞台で、人ならざる怪奇なものを題材とし、雰囲気を重視した物語とすると、自然と似たようなものになるのでしょう。
すぐに物語の雰囲気に引きずるこまれ、短いながらも非常に良く纏まっていて、終わった時は満足感でいっぱいになれる作品でした。