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gggrrrさんの天使憑きの少女 ~Related with ”Present for you”~の長文感想

ユーザー
gggrrr
ゲーム
天使憑きの少女 ~Related with ”Present for you”~
ブランド
Nail
得点
95
参照数
201

一言コメント

白いカーネーションの花言葉、私の愛は生きている。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

一言感想で書いたことが全ての作品です。

物語のキーになるのは「臓器移植」という現実の世界においてもかなりヘヴィなものです。当然話もそうした死生観がメインです。

ですがその他にも「天使」という超常的な存在もあり、その点を非常にうまく融合させています。天使の存在を単なるご都合主義にせず、奇跡にも確たるルールが定められており、人の努力が足りずに奇跡を為すには不適合となった場合には、やはり奇跡は起こりません。

そして私が非常に好きなのがこの2体の「天使」たち。2人とも明確に顔は描かれず、かつ性格もつかみどころなく神秘的で、声も抑揚が少ないために、その「特異」さが際立っています。

人間的な親しみはあるようでなく、ないようである。まさにミステリアスな「人ならざるもの」。天使には性別がないので、2体とも当然そうなのですが、カブリエルは「彼女」、サマエルは「彼」と表現されます。2体とも身につけているのは純白のワンピースのような服ですが、体つきも少女のようですが、精神性で女性らしさをもるのがガブリエルで、そうではないのがサマエルなので、あのあたりの違いでの呼称の差でしょうか。

特に好きな2体の天使の中でも、作中もっとも好きなキャラがサマエルです。こういう神秘的で中性的なキャラは私のどストライクです。


章ごとに主人公が変わるという構成も面白かったです。一般のゲームの主人公らしいのは3章だけで、4章中3章が女性主人公の視点で書かれるという点でも、非常に珍しいですね。

1章:優等生の少女
2章:地縛霊の少女
3章:行動力のある青年
4章:俊英の女医

という具合です。

この作品はネタバレをしてしまうと感動が減ってしまうので、是非興味を覚えた方は実際にやって欲しいのですが、一言感想のところの「私の愛は生きている」という言葉が示されるシーンは、本当に心が震えました。


この話に触れて、母の日に贈るカーネーションは、色によって意味合いが変わるということを知りました。

母に手渡すならば赤いカーネションを。ピンクでも良いかもしれません。花言葉はそれぞれ「母への愛」「女性の愛」。

亡き母の墓前に捧げるならば、白いカーネションを。花言葉は「私の愛は生きています」