白いカーネーションの花言葉、私の愛は生きている。
一言感想で書いたことが全ての作品です。
物語のキーになるのは「臓器移植」という現実の世界においてもかなりヘヴィなものです。当然話もそうした死生観がメインです。
ですがその他にも「天使」という超常的な存在もあり、その点を非常にうまく融合させています。天使の存在を単なるご都合主義にせず、奇跡にも確たるルールが定められており、人の努力が足りずに奇跡を為すには不適合となった場合には、やはり奇跡は起こりません。
そして私が非常に好きなのがこの2体の「天使」たち。2人とも明確に顔は描かれず、かつ性格もつかみどころなく神秘的で、声も抑揚が少ないために、その「特異」さが際立っています。
人間的な親しみはあるようでなく、ないようである。まさにミステリアスな「人ならざるもの」。天使には性別がないので、2体とも当然そうなのですが、カブリエルは「彼女」、サマエルは「彼」と表現されます。2体とも身につけているのは純白のワンピースのような服ですが、体つきも少女のようですが、精神性で女性らしさをもるのがガブリエルで、そうではないのがサマエルなので、あのあたりの違いでの呼称の差でしょうか。
特に好きな2体の天使の中でも、作中もっとも好きなキャラがサマエルです。こういう神秘的で中性的なキャラは私のどストライクです。
章ごとに主人公が変わるという構成も面白かったです。一般のゲームの主人公らしいのは3章だけで、4章中3章が女性主人公の視点で書かれるという点でも、非常に珍しいですね。
1章:優等生の少女
2章:地縛霊の少女
3章:行動力のある青年
4章:俊英の女医
という具合です。
この作品はネタバレをしてしまうと感動が減ってしまうので、是非興味を覚えた方は実際にやって欲しいのですが、一言感想のところの「私の愛は生きている」という言葉が示されるシーンは、本当に心が震えました。
この話に触れて、母の日に贈るカーネーションは、色によって意味合いが変わるということを知りました。
母に手渡すならば赤いカーネションを。ピンクでも良いかもしれません。花言葉はそれぞれ「母への愛」「女性の愛」。
亡き母の墓前に捧げるならば、白いカーネションを。花言葉は「私の愛は生きています」