本編については大体の予想はしていたけれど、外伝の「アセント・デリ」は良い意味で意表を付かれました。
「ファタモルガーナの館」については、このFDを含めた感想を以前2万字以上書いたので、本編についてはもうほぼ書く事はありませんが、本編前日譚にあたる外伝「アセント・デリ」は前情報が無かったので、FD本編より繰り返して読んでる話です。
ミシェルとノエミ、貴族の令嬢として生まれ育ち、肉体の変貌によって捨てられた境遇の2人。共通する部分がありすぎるがゆえに互いを理解したが、しかしその「変貌」が無ければ分かり合うことがなかった2人。天使の肉体を得てしまったミシェルだからこそ、素性を全て捨て去った「イメオン」であったからこそ友人となれた2人。
何一つ自分のことを語らなかったからこそ育まれた友情…… なんとも切ない気持ちにさせられました。
ジョルジュ兄さんがノエミと結婚してれば、もしかしたら別の結末がありえたかもしれないのに…… ひょっとしたら義理の姉となったノエミと意気投合して、女性でありながら分かり合える存在を得たミシェルは、肉体の変異は起こらず、環境が変わったノエミは病気にならならず、幸福な未来があったかもしれないのに。その場合はミシェルの母親は心を壊さず、父親もジゼルに手を出すこともなくなるだろう。
ああでもそうなったら、モルガーナ一人だけが亡霊としてあの館に漂い続ける事になるのか、なんというジレンマ。