乙女シリーズ3作目。今回は天然系主人公。本編70点。主人公パッチで+15点。
ensembleの乙女シリーズ第3弾1作目、2作目はなかなかにクセが強いキャラもいて、賛否評論になるだろうヒロインの言動や、ウザイと思われる敵対するキャラがいましたが、この「桜舞う乙女のロンド」からは、方向性を転換したのか、そうした敵意を持ったり、不快な性格のキャラは出てこなくなります。
それには、「お嬢様学校」というもはや二次元にしか存在しないファタジー世界を、よりネバーランド的な雰囲気にすることで、苛立つことなくプレイできる反面、クセの強いキャラを消したことで物語の起伏を作れなくなる、または作りづらくなるというマイナス面も出ています。
実際、この「桜舞う乙女のロンド」の評価は低いです。展開が同じ、または盛り上がりがない、などが主な理由でしょうか。
しかし、物事にはプラスの側面とマイナスの側面があるため、プラスの面をうまく活用すればなかなかの好手となるのです。
「桜舞う乙女のロンド」は、これまでの作品に比べて塗の美麗さが上がり、キャラに合った声優さんを起用しています(これは前作でもそうですが)、キャラクターも前述したように不快なところがなく、可愛らしい善人ばかりです。
私のような仕事に疲れたおっさんは、心の綺麗なキャラクターの上品な触れ合いを見るだけで癒しとなるのです。ストレス社会と言われるこの世情、重いテーマの作品を何作もやる気力がない情けないおっさんにしてみれば、これくらいが「ちょうどよい」場合もあります。
また、女装モノにはnavelの乙女シリーズもあります。あれはシナリオもしっかり作られ、かつ奇人変人のオンパレード、そして軽快なテキストと、知名度はこちらの方が上でしょう。2012年に発売されたあの作品に対し、ensembleは「軽め」の作品をコンスタントに提供する方針をとったのでは、と思わせます。
「桜舞う乙女のロンド」の発売時点では見えなかったこの作戦は、4作目。5作目と続き歴代女装主人公を一合に会す、という発想の「主人公パッチ」という形で実を結んでると思います。
なんだかんだで5作目まで出てるのだから、継続は力なり、とは言ったものですね。