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geek_agentさんのBALDR SKY Zero 2 -バルドスカイゼロツー-の長文感想

ユーザー
geek_agent
ゲーム
BALDR SKY Zero 2 -バルドスカイゼロツー-
ブランド
戯画
得点
92
参照数
947

一言コメント

「死に方を、選んだからよ!」

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

※自分の点数を改めて見た時、本当にヘルマン革命より下ぁあああ?
 それはありえないな、と思い点数を変更しました。
 深い意味は無いですよ…?w
 ちょっとずつ、推敲するでやんす…。



前作バルドスカイゼロのプレイ推奨。
共通ルートが同じなので必須ではない。

OPの出来は前作に及ばないものの、十分惹きつけられる魅力はある。
3D戦闘のバランス調整が大幅に改善され、
もはや前作のゼロとは比較にならないほど操作性が向上した。(完全に別ゲー)
個人的にはSKYの戦闘より熱中して楽しませてもらった。
ゼロの発狂するような強制終了もほとんどなくなったのは〇。(当たり前だが)


以下、ネタバレ注意!
































■登場人物(ゼロ&ゼロ2)
【エドワード】主人公
皮肉屋めいた口調の中に、非常にクレバーさを感じさせる青年。
自分の中に明確な善悪の基準があり、それがどんな場面でも、絶対にぶれることが無い。
唯一それを逆手に取ったマレルルートで、逆境に陥り自分を見失っている時の彼の言動や些細な変化は、
読み手にとって喉に棘が刺さってぬけないような、非常に気持ちの悪い違和感を感じさせる。
(そのぐらい、このライターの人物描写は優れている)
個として生き残ることに長け、それ故、心に大きな矛盾を内包しながら走り続ける彼の生き様は、
SKYの門倉甲よりも、遥かに深い造詣で描かれていると感じた。



【咲良】ゼロ・ヒロインA
可愛いというより美人というのが相応しい。
作中の言動や振る舞いも、一見粗野なように見えて実に気配りの出来る女性。
グッドマン中佐に可愛がられるのも納得である。
自身のルートでの暴走の仕方と他ルートでの抜群の冷静さ(安定感)に大きな隔たりがあるが、
全編を通して最も魅力的に映る女性。
大好き。
相棒として、常に背中を預けたい人物。

故に、故にだ。
何でゼロ2でヒロインにしなかったのぉおおおおおおおおおおっ!!??
何でぇえええええ!?
。・゜・(/Д`)・゜・。



【ケイ】ゼロ・ヒロインB
小動物系の見た目と声とは裏腹に、死生観はしっかりとしている娘。
バルドスカイゼロ、エロス部門のMVP。
エロい。
誰よりもエドワードを愛し、兄が幸せになることだけを望んでいるような健気さがある。
(自分の立ち位置に拘らず、幸せならばそれでいいというスタンス)
弟に対しても同様の思いを持ち、グッドマン中佐とはまたベクトルの異なる、
本編で一番家族への情が深い人物として描かれている。
ゼロ2のメイ相手にも、もう少しその描写を覗かせて欲しかった所。




【フラン】ゼロ・ヒロインC
戦場という過酷な世界に身を置きながら、実の父親から精神的に自立できていない少女。
自身のルートでは、状況がそれを待つことを許さず、ゼロ2のマレルルートでは、
対話に至る(フランが父親に正面から向かい合う)までに間に合ったという構図が面白かった。
特に最後の「彼」との対話は、声優の好演も光り、胸が熱くなる描写だった。




【シゼル】ゼロ2・ヒロインA
女である前に、戦場で生きる運命を強制された兵士。
自由奔放なスコールの面々に触発されて、兵士以外の女性らしさが表に出てくる。
これもまた、グッドマン中佐の教育なのだと思うとニヤニヤしてしまう。
本当に、ドミトリー以外(彼に対しては大人として扱っている)の面子は中佐の子供みたいだなと。
やはりヒロインというより、エドワードの人生の先輩として映る姿の方が格好良く、似合っている。




【マレル】ゼロ2・ヒロインB
正直、一番表現が難しい女性。
正体はわかったが、人格が極めて捉えにくい。
大人びた子供? 成熟した女性?彼女の本質がどこにあるのか、非常にわかりずらい。
というかわからない。
エドワードが彼女に惹かれるのは、何となくノインツェーンのくだりから、
生得的行動なのかなぁ…?と認識してみたり。
うーむ。




【グッドマン中佐】
非常に完成された大人像。
彼の言葉の節々から、作中のエドワードだけではなく、読み手が何を感じ取れたかでこの作品の評価が大きく分かれる。
厳密に言えば、彼が発する言葉の意味の理解度によって、この作品を非常に優れた名作と捉えるか、
世に溢れる凡作と判断するか、読み手の頭の良さを試されているとも言える。
くだらないスラング一つとっても、隠された意図が多分に含まれていて面白い。
エドワードへの彼の一つ一つの言動や行動が、まるで息子に成長を促す父親のように映るのは私だけでは無いだろう。





【ラサーヤナ】ゼロ2
「ランナー」に憧れながらも、最後まで自分の生き方を貫いたもう一人の主人公。
「君は、君のままでいい……それがおれの頼みだ」
そう語りながら、「俺は俺のままでいい」そんな思いをおそらく抱きながら消えていく彼は、
エドワードの一部となって、彼の体だけではなく、その心をも補いながら走り続けるのだろう。
本当に深く、よく考えられた構成だと思う。






















■不満点
・ヒロインのチョイス
 あの! 何で! シゼルさんがヒロインなんですか!!
 いや、キャラとしては好きだけども、それはあまりにもちがうだろぉ!!
 製作者の趣味なのか?
 褐色年上好きなのか?
 
 絶対的に、前作ヒロイン(咲良、ケイ、フラン)のほうが魅力的だろ?
 エロシーンだって、間違いなく前作のほうがいいだろ?
 ゆ゛る゛さ゛ん゛!! 

・カンヤラットさん
 おい!
 エロシーンカットとか嘘だろ!
 どう考えてもおかしいだろそれは!
 一番需要あるだろ!
 ゆ゛る゛さ゛ん゛!! 

・マクシーム大佐
 なんで最後に美人のママンの立ち絵(もしくはCG)がないのか。
 何でだよ?
 おかしいだろ!
 ゆ゛る゛さ゛ん゛!!

・チャーリー
 見た目が美人過ぎて、全くババア扱いが合わないのですが…。
 エロシーンください。マジで。

・その他キャラ達
 見返り美人気になるじゃーん。
 何で立ち絵ないんすかねぇ…。

・BGM
 相変わらずSKYからの流用(手抜き)が多い。
 オリジナルBGMのレベルは決して悪くないんだから、もっと頑張れよと言いたくなる。


・シナリオ
 前作の甲さん洗脳設定どこいった(笑)
 ほーら、やっぱり無理があったんじゃないか。
 そもそもゼロの甲と完全に別人じゃねぇか。(いいことだが)
 グッドマン中佐とのやり取りを見ていても、
 非情になり切れない優柔不断さを内包している今作の門倉甲のほうが、
 間違いなくSKYの門倉甲の人格に近く魅力的だ。


・サバイバル&ミッションモード
 デフォルトで実装してください。
 過去作品で行なっていたことを劣化させないでください。









■良かった点
・シゼルルートとマレルルートの対比
 シゼルルートで死んでしまった人間をマレルルートで救えたのは、純粋に上手いと思った。
 その他にも、手が届きそうで救えなかった各悲劇の展開が、最終ルートで逆転するのは、
 SKYへのオマージュのようでいい纏め方だと感じられた。

・個性のある敵シュミクラム
 ラサーヤナ、ネーベル&ナハトガイスト、メイちゅわん等、
 前作ではお目にかかれない強敵たちが登場したことは大きなプラス。
 文章だけで、実際には登場しなかった他のマットドガーのシュミクラムが用意されていれば
 なおのことよかったのだが。

・キャラクター
 主人公はもちろんのこと、主要メンバーに捨てキャラがいない。
 日常会話も楽しいものが多く、私個人の登場キャラクターに対しての好感度は、
 SKYの登場人物達よりはるか上に位置する。
 特にグッドマン中佐と咲良が好き。


・ラサーヤナ
 かっこいい。
 奇形めいたビジュアルとは裏腹に、正にもう一人の主人公。
 こんなにかっこいい敵役は、今までのバルドにはいなかった。
 後作のブリンガーまでクリアした今でも、生き様も散り様もぶっちぎりで一番魅力的な登場人物。







最後に

体験版に触れてみて、中佐とユニークな仲間達に魅力を感じたならプレイしてみればいいし、
文章が合わなければやらなければいい。

250時間以上プレイした私個人の感想としては、決してSKYに劣る作品ではなかったと言い切っておく。
 
 
















超ネタバレ・気になった点


























































最終ルートの仲間の死亡&復活→ハッピーエンドの流れは、流石に安直すぎる。
ゼロで見せたスコールの死生観が、一気にチープになってしまう。
そもそも、今までの経緯や経験から、エドワードとムーシュがくっつく展開がご都合主義すぎる。
まあ、最後の中佐に笑わせてもらったから、嫌いではないんだけどね。