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geek_agentさんのお嬢様はご機嫌ナナメの長文感想

ユーザー
geek_agent
ゲーム
お嬢様はご機嫌ナナメ
ブランド
ensemble
得点
65
参照数
806

一言コメント

七波お嬢様がナナメ上

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想


普通のお嬢様ゲーとは毛色の異なる作品。
常時テンションの低い(?)七波お嬢様がとっても面白い。

逆に言えば、七波に魅力を感じなければ作品としての面白味が全くないので、体験版プレイ推奨。



以下、感想雑記












シナリオの出来自体は、ルートによる「格差」があるが、全体としてはまずまず。
意外にボリュームもあり、キャラゲーで前後半に2分割されるのは珍しい。
(※ensemble作品では一番まともでは?)

第1部は、財閥関係のドタバタ劇。
七波お嬢様の懐の深さと主人公への愛情が良くわかる。
経済話の整合性に目をつぶれば、いい出来だったと思う。
(※株式も誤った知識・解釈が多いので、雑学としては絶対鵜呑みにしちゃダメ)

この後、サクッと個別に入ってエロシーンで終わりではなく、
ルートごとに話を制作している姿勢は、非常に褒められるべき点だと感じた。



第2部は、七波お嬢様・変態・妹の財閥ルートと、貧乏娘・道場娘のアイドルルートに大きく分かれる。
ちなみに前述の「格差」は、 財閥ルート>>アイドルルートという構図。


財閥ルートは、
七波お嬢様→主従
変態→ギャグ
妹→鶴美さん
とそれぞれ焦点の異なる話に展開する。

七波ルート
個別に入ってからデレデレになると思っていたが、そんなことはなかったw
お互いの信頼感が伝わるいいルートだったと思う。

経済部分は茶番だから目をつぶれ。
もしくはファンタジーだと思って割り切れw


詩綾ルート
共通の時は唯の恥ずかしがり屋だと思われてたのが、個別ルートに入ってから豹変。
雪小路パパがいい味を出しており、全体的にギャグ風味。まあ、悪くない。


花ルート
鶴美さん若すぎねぇ?
犯罪の香りが…。
もうちょっと主人公の心情を丁寧に書いてほしかった。




アイドルルート(音羽・透夏ルート)
唐突かつ展開がイミフで、なんでこの作品でこんな展開にする必要があったのか
ライターに小一時間問い詰めたい衝動に駆られる。
つーか、七波お嬢様放置すんなやw

特に貧乏属性の音羽は、アイドル目指すなんていうイミフな設定つけないで、
心の交流をもっと深く表現した、丁寧な物語にしてほしかった。
「お金が無くても、幸福になれる」を根幹に、堅実に日常を描いていれば、
財閥ルートの対抗馬になれたのに…。


余談だが、自己中さを酷評されている音羽さん、後作の「恋する気持ちのかさねかた」の登場人物、
デュエリスト・痴女・DQN・ギガロマニアックス に比べれば、
このまんまの性格でも、わりとまともな分類なんじゃないか?


えっ?


比較対象が悪い?


いやぁ、スイマセーン。





総評
パンチ力不足で、キャラゲーの枠を超えられない作品。
所々良いところはあるんだけど、決定力に欠ける。
どのルートでも基本的にブレない(ちょっとズレている)、七波お嬢様が一番魅力的かな。

経済学部or株式や金融の知識が深い人は、回避推奨かも…