高望みよりも分相応な作品をつくって欲しい…
盛り上がりを見せるのは、OPmovieの流れる序盤まで(Ep.BigininG)。
Ep.BABYLONに関しては、進めば進むほど余りにもチープでお粗末な展開になる。
メーカー側が、声優は有名どころを押さえて、珍しい原画家を登用した事、
OPに彩音氏を持ってきていることなどから力を入れようとした姿勢は感じるが、
肝心のシナリオが、中学生ぐらいが考えた "ぼくのつくったさいこうのせってい” を
取り合えず形にしたようにしかユーザー側には映らない。
以下、感想雑記(※中ネタバレ含む)
まず、ぶっちゃけると、パッケージでどうみてもメインにしか見えないミーナは、
ヒロインではない。
というか、雫以外がヒロインではなく一本道。
(舞&シャーロットはゲーム外のエクストラで夢落ちのエロシーンがあるだけ)
まあ、それは許そう。
問題なのは、ヒロインである雫に微塵も魅力がない点だ。
CV:桐谷華作品で、もっとも魅力のないキャラクターではないだろうか?
一言で言うと、非常に「鬱陶しい」
サスペンスノベルというスピード感が必要とされるジャンルでは、
完全に足引っ張り、かつ危機意識の欠片もない登場人物は読み手にとって
早く退場願いたいと思われてしまう対象だ。
それがよりにもよって正ヒロインだなんて…苦行すぎる…。
主人公が短期間でミーナから雫へ心変わりしたのも、読んでてそりゃねーわなと感じた。
あのさぁ…、セフレだって体交えればもう少し長い間情持つもんだぜ?
ましてエージェントという設定なのに冷静に物事を判断できない場面が目立ちすぎて、
お前の組織…駄目じゃね?ってユーザー側は思ってしまう。
ウィルス、人質と連続で迷惑をかけ続ける雫よりも、どこか暗い魅力があり、
いざという時に頼りになりそうなミーナのほうが絶対にヒロインとして魅力的だと思うんだけど…。
ミーナもああいう配役なら、もう少し丁寧かつ格好良く描いてくれ。
主人公も、「お前は何のために戦っているのか?」が見えてこない。
記憶喪失時はともかく、記憶を取り戻した後の彼の行動がサッパリ。
何のためのシャーロット嬢なのか。
お前は今まで何のために生きてきたのか。
これから何を成したいのか。
それがおざなりなまま、後半は、雫~、雫~状態。
付き合いきれねーわ…。
あと、こういう作風でミスリードや伏線をきちっと表現したいなら、
最低でもライターの方は、ユージュアル・サスペクツかアイデンティティーなどの映画で
少し勉強してくれないかな。
この作品に限った話じゃないんだけど、余りにもレベルが低すぎる。
エロゲーって、働いている人が限られた時間の中で、
癒しを求めてそれなりの時間を割いている娯楽なんだから、
最後までプレイして、驚きも、笑いも、エロスも、感動も、
何も得られるものがなかったっていうのは寂しすぎる。
登場人物の過剰な肩書きに反して、年齢層を学生に設定したのは何故なの?
一昔前の作品だと「G線上の魔王」、最近の作品だと「バタフライシーカー」もそうだけど、
登場人物の年齢層が下がるって事は、それだけ行動範囲や世界観が狭くなってしまう。
まして本作は各国の諜報機関の人間が集結している設定なわけでしょ?
10代の少年少女にそんな重要な任務が与えられる?
大人達は何やってるの?
あと、何でもかんでも「内調」の一言で都合よく片付けすぎ。
本来、情報ってのはモノにもよるんだけど、
例えば実際に日本の政府が隠している鉄道情報なんかは、
無数にある丸の内のビルのどっかのワンフロアに隠されていたりして、
定期的に場所を変えたりしているらしい(一応それっぽい筋からの情報だけど、信憑性は半々)。
機密の内容によっては、当然警察組織も介入できないよ?
ハッキングに関してもそうだけど、そんなに危険な情報がホイホイ奪われるほど、
警察組織の情報管理は甘くない。(と思いたい)
ちなみにブラジルW杯の時も、ブラジルに対してかなりの諜報機関からサイバー攻撃があったらしく、
割合的には露・北・中・米なんかがかなり多かった。
(ヨーロッパは意外に少ない…。隠蔽が上手いのかな)
ちなみに、これは興味本位で覗きにいった警察官募集のサイバー犯罪のプレゼン内容で、
実際に映像付きで見たから結構信憑性高かったりする。
東京オリンピックは本当の本当にサイバー攻撃が多くなるらしいから大変だね…。
他にも萎える点や突っ込み所は多々あるけど、
その辺は他のレビュアーさん達の感想を見たほうが早いから私は書かないよ?
総評
全てが中途半端にも達していないこの作品の評価は、駄作といえるだろう。
ぶっちゃけた話、面白ければ多少リアリティーが酷くても許容できるんだ。
ただ、この作品はクソつまらない。
面白くできそうな要素があったにも関わらず。
STEINS;GATEが何故面白いのか。
リアリティーがあるから?
とんでもない。
そんな訳ないだろう。
主人公である岡部 倫太郎をしっかりと描ききっているから面白いのだ。
確かに公式ジャンルは想定科学ADVだが、あれは人間ドラマだ。
ライターを販促に使うのであれば、そのライターの作品の何が大衆に受け入れられたのか、
ユーザー側がどういうところに魅力を感じていたのかをメーカー側はしっかり見極めなければならない。
いづれ酷評するつもりだが、原画家のねこにゃん氏を販促としてライター起用し、
文章を追うだけで読み手に多大なストレスを与えた戯画の「bitter smile.」も、
ユーザーの求めるものをメーカーが盛大に見誤った例の一つだと思う。