壮大に何も始まんねぇ…!!
※終末論までプレイ済、あくまで1作目単独の感想であることに留意してね?
個人的には好きなんだけど、言いたいことはいっぱいある作品。
シナリオゲーではなく、完全にキャラゲーなので注意。
訳アリの主人公が、成り行きで助けた資産家のお嬢様のボディーガードになるお話。(完)
いやいや、「暁の護衛」なんだからもっと護衛しろよ…。
公式ジャンル「お嬢様お守りADV」とは何だったのか…。
結局、撃退したの最初に襲ってきた男達だけかい…。
テキストは軽快で面白いんだ。
登場人物もいい味出してるし、雰囲気も悪くない。
このライター、いっつも話の「起承」で終わっちゃう悪癖は何とかならないのか?
話が膨らんできて、読み手が “お、これからどうなる?” と続きを期待した矢先に、
ポイっと投げてEND。
俺TUEEE系主人公に対して、真っ当な敵役が居なくて戦闘が全然盛り上がらないのも問題。
せめて佐竹は、パパンと同じぐらいの最強設定にして物語を盛り上げて欲しかった。
せっかく渋くていい声しているのに、殴り合いすらないとか…。
そもそも「お守りADV」なのに戦闘描写が足りなさ過ぎる。
歴史小説なんかを参考に、もう少し質の高い戦いを見(魅)せてほしい。
せっかくの特区の設定が泣いているよ?
というか、日常会話をこれだけ面白く展開できる稀有なライターなんだから、
描けないシリアスを無理にねじ込む必要ないんじゃないか?
結局本作も、中々の舞台設定の割には、唯の学園ラブコメ止まりだし…。
ボディーガードの学校なのに実践的な授業の描写が薄く、
唯のペーパーテストと食事シーンが多すぎるのも気になる。
CGは問題ないが、立ち絵の服装や背景のグラフィックが少ないのはフルプライスでは完全に手抜きだよね?
反面、作中のBGMはいい仕事していると思った。
声優のキャスティングについては素直に褒めたい。素晴らしい。
以下、感想雑記(ネタバレ含む)
■登場人物
【海斗】主人公
掛け合いの面白さは一級品。
頭も良く、俺TUEEEがよく似合う主人公だが、(続編含め)相対する敵がしょぼすぎてシリアス面はイマイチ。
読書好きという設定も、もう少し活かして欲しかったかな。
【麗華】ヒロインA
ちっちゃ可愛い。
ヒロインとして一番自然な感じ。
掛け合いだけではなく、もう少し海斗との心の交流を丁寧に描いていたなら、
シナリオゲーまで持っていくポテンシャルがあったのに、本編が短すぎて好意の振れ幅が突然すぎた。
他のシナリオを削ってでも、しっかりメインのシナリオに据えて纏めきって欲しかった。
【彩】ヒロインB
シナリオが弱すぎて個別が記憶に残らないヒロイン。
過去絵もあるのに、ライターの力量不足で映えなかった印象が強い。
せっかく用意した身分違いの格差が、全く機能していない。
どうせならコミカルに振り切って、尊徳をドSに攻め立てて欲しかった…w
(ギャグで)ヤンデレ化しても面白かったのに…。
【妙】ヒロインC
お馬鹿系ヒロイン。
こういう娘が一人居て良かったと思う反面、やっぱりシナリオが頭に残らない薄さ。
魅力という点で、中の人の演技力にかなり助けられている印象が強いかな。
実は妙の方がロボットでしたっていう設定なら、凄く面白そうだったんだけどなぁ…。
【ツキ】ヒロインD
何系なんだこの娘?w
掛け合いが非常に面白く、中の人のあっさりとした演技がとても素晴らしい。
設定的に完全に裏ヒロインの立ち位置で、初体験で海斗が首を絞めるシーンは今後の展開を非常に期待させたのに、
サクッとENDいってエロシーンで終了したのには目が点になった。
自分のルートでは麗華を一人で行動させることについて海斗を咎めるのに、
麗華ルートで一層危険な特区に麗華を単独で送り出すのは流石におかしいんじゃないか?
【萌】ヒロインE
ぶっちゃけこの娘、ヒロインとして必要?
他のヒロインとの絡みも少なく、ルートそのものに違和感が伴う。
この娘にシナリオを割くなら、麗華やツキのシナリオをもっとしっかり描いて欲しかった。
【源蔵】
いい声だ。
本好きの設定といい結構好きなキャラだったので、もっと出番が欲しかったな。
そういえば、スズメってから揚げにしてもゴムみたいに弾力性が強すぎて全然美味しくないらしいよ?
焼いて日本酒につけて飲むのが一番美味しいんだって。
ただし山にいる野鳥は、血抜きして鍋にして食べるととっても美味しかったって、
私のスーパーじいちゃんが生前に話してたのを思い出した。
【佐竹】
いい声だ。
前述したが、作中最強キャラにして海斗と殺しあうか無双して欲しかった人物。
海坊主(伊集院隼人)のような恵まれたビジュアルがありながら、
源蔵に説得されてあっさりと改心したのにはガクッときた。
頭ナデナデしたい…。可愛い…。
【尊徳】
声が素晴らしい。
彼の優秀さを際立たせる描写があれば、もっと掛け合いが映えるのに…。
本作の面白さを膨らませてくれる良いキャラ。
【侑祈】
やはり声が良い。
本作の男性キャラは本当に声がいいな。
ロボットという設定を活かして、死闘を見せて欲しかったかな。
【薫】
男装キャラという持ち味をもっと活かして欲しかった。
イマイチ魅力を感じなかったかな。
【雷太】
デュフフ…。
【杏子】
読みづらい。
そのおっぱい、もう少し誰かに分けてやれ…。
【鏡花】
えっ?
キンタお嬢様役、上手いやん…?
■シナリオ
この作品にあるのは「起承転結」の「起」と「承」だけ。
終始、キャラの掛け合いと声優の技量で押し切っている印象を受けた。
ミドルプライスなら許せるが、当時フルプライスで購入した側から言わせて貰えば、
「コスパは悪く」「内容が薄い」。
物語というのは、骨組みから組み立てて肉付けしていくものだが、
納期の関係なのか最後に必要なものまでごっそり削っていった感じがある。
一人ぐらい悪の巨大組織に雇われた特区出身のボディーガードみたいな、
海斗に匹敵する相手を用意しておけばもう少し盛り上がりがあったんだけどなぁ…。
総評
佳作。
雰囲気作りや軽快なテキストには秀でているが、全体の構成力と消化しきれない世界観の構築が下手糞。
これは後作の「レミニセンス」にもそのまま当てはまる。
面白いかと問われれば面白いと答えるが、結果的にはあまり印象に残らない作品。