個人的にはこれ以上ないFDでした。前作と合わせて大好きな作品です。
まず、ゲーム全体の概要について
(前作金色ラブリッチェを金恋無印、金色ラブリッチェGTを金恋GTと略します。ご容赦ください)
金恋GTの内容は
①追加ヒロインルート(ミナちゃんと絢華の二人)
②マリアルート(金恋無印理亜ルートのIFルート)
③金恋無印ヒロイン+金恋GT追加ヒロインにスポットを当てたアペンドシナリオ(全7人)
という構成になっております。
ゲーム全体のプレイ時間は30時間程度です。
ただし、③のアペンドシナリオに関しては1時間ちょっとで終わるため、
おまけ程度に思っておいた方がいいです。
新規CGは59枚(差分抜き)+SD18枚の計77枚、
新規Hシーンは追加ヒロインの2人にそれぞれ5つ+金恋無印ヒロインズにそれぞれ1つ(理亜のみ3つ)
の計17シーンとなります。
概要についてはこんなもんでしょうか。
価格はフルプライス帯ですが、それに見合ったボリュームだと個人的には感じました。
続いてネタバレにならない程度シナリオについて触れていきます。
金恋GTの共通ルートは、金恋無印共通ルートの延長線上にあります。
時期的には12月(年末付近)なので、金恋無印の共通ルートから半年後くらいになりますね。
そこからミナちゃんか絢華を選ぶことで各個別ルートに派生していく流れになります。
(マリアルートはルートロックがかかっており、上記の二人のヒロインの攻略後に開放されます)
ここからは、このゲームに関する自分の所感を少し書いていきたいと思います。
追加ヒロインルートに関しては、そのまんまなので置いおくとして、
マリアルートってなんぞやと、金恋無印のユーザーは思うのではないでしょうか。
上でも書いたように、簡単に言えば金恋無印理亜ルートのifルートです。
このマリアルートこそが金恋GTのキモとなるわけですが、
ここは好き嫌いが明確に分かれる部分だと思います。
金恋無印の結末に満足している人であればあるほど、
良くも悪くも、金恋GTに対する感情は強くなると思います。
金恋無印が大好きだっていうユーザーさんは、
それなりに覚悟してプレイされることをお勧めします。
それでは、これよりネタバレありで感想を書いていきたいと思います。
①ミナルート
ぶっちゃけるとこのルートは、ミナちゃん可愛い(小並感)に集約されているため、
あまりしゃべることがないです。
金恋無印では「カッコつける」というテーマを前面に押し出していましたが、
金恋GTのミナルートではそのテーマを薄めて、ミナちゃんの可愛さにスポットを当てていました。
皇族であるミナちゃんと釣り合う男になろうと男を磨く央路くんは、
金恋無印でシルヴィに釣り合うために「カッコつける」理亜とそっくりでしたね。
前作のテーマを残しつつ、ヒロインの魅力を前面に押し出していて
キャラゲーとしてのテイストをちゃんと感じました。
個別ルートとしての出来は良かったです。
その中でも、特に個人的にポイントが高い部分が千恵華との絡みが多かったことですかね。
あくまで央路にとっての妹は千恵華だけ、
千恵華と央路の兄妹観を感じる部分が多くて大変満足でした。
②絢華ルート
ぼくが、このゲームが好きだという一番の理由はこのルートの存在にあります。
というのも、金恋無印では絢華が理亜と仲良くしている描写があるものの、
その馴れ初めについてはほとんど触れられていなかったためです。
金恋無印では、誰に対しても素直じゃない絢華が理亜のことを「商品」という言葉で表現していますが、そんな理亜に対して「死なないでほしい」と涙ながらに訴えるシーンがあります。
理亜の「カッコつける自分を見守ってほしい」という願いを汲み取った結果、
自分の気持ちを押し隠して理亜を見守り続けたシルヴィと央路とは違い、
ただ、理亜の死という理不尽な運命に対して、自分の気持ちをぶつける絢華の姿に胸を打たれました。
また、理亜にとっても自身の病気のことを打ち明けられるくらいには、
絢華のことを信頼していたということにもなります。
金恋無印でそんな二人の「商品」と「プロデューサー」という利害関係の裏側にある、
培ってきた関係の過程が描かれていなかったことが本当に残念でした、
だからこそFDではそこをぜひとも描いてほしかったんですが、
まさに自分が一番欲していた補完がされたため、大変満足でありました。
ぶっちゃけた話、金恋無印が終わった時点では「家柄に縛られた高慢ちきな女」という印象であった、絢華というキャラクター自体があまり好きではありませんでした。
(だからこそ理亜に「死なないで」と訴えかけるシーンで胸を打たれたわけですがそれはまた別の話ということで)
ですが、金恋GTでは絢華が「家柄」自体を大切にしているのではなく、
自分のことを救ってくれた家族のために「家柄」を大切にしているのだとわかります。
絢華にとって、大切なのは「家柄」ではなく「家族」なんですよね。
ここに気付いてから、家族を大切にする女に悪い奴はいないという僕の信条がありますので、
絢華に対する印象が変わりましたね。
また、絢華にとって家族以外にも大切にしているものがあります。
これは絢華がテレビについて語るシーンなのですが、
ここで絢華が「時間」という価値観を大切にしていることがわかります。
(最も、本人は無意識なんでしょうが)
彼女が他人に対して素直じゃないのは、一緒に積み重ねてきた「時間」がないと
心を開くことができないからなんですね。
その証拠に、絢華は恋人になった央路相手ですら、すぐには心を開くことができませんでした。
絢華の祖父、玲奈、理亜の三人はそんな絢華の価値観に気づいているため
それをほのめかすような発言がいくつかありました。
この「時間」に対しての価値観こそが絢華と理亜が培ってきた関係の深さを証明します。
二人の関係は、長い「時間」を共に過ごしてきたという前提がなければ成立しないわけです。
シルヴィ理亜央路の幼馴染トリオも魅力的な距離感の関係ではありますが、
絢華と理亜の幼馴染タッグもそれに負けない位に魅力的な関係だとぼくは思います。
また、絢華ルートの終盤にあります、理亜が絢華と央路の子供の名付親となるシーンですが、
もう最高でした。(語彙力崩壊)
理亜にとって最も大切な願いであった、
「シルヴィと央路が結ばれてその子供の名付け親になりたい」という想いを
絢華に託したわけです。
それは理亜にとって、何よりも大事であるシルヴィと同じくらいに、
絢華のことを大切にしている思いの表れでもあったわけですね。
以上のことから、自分は城ケ崎絢華というキャラクターのことが好きになりました。
これだけでも、このゲームをプレイした価値が十二分にあったと言えます。
これは余談ですが、絢華が「時間」を大切にしていたということについて、
付き合いの長い絢華のじいさんや理亜が知っているのはともかく、玲奈まで気づいているとは…
ホントこの女侮りがたし、お前そういうとこやぞ妃玲奈
それと、アペンドについては割愛します
玲奈とエルがエロかったです。あと茜ちゃん可愛い(完)
と、ここまでは特に大きな不満もなく(強いて言うなら、クソ寒いパロディギャグを延々と見せられて辟易としていたことくらい)
むしろ大変満足のできるFDだったのですが、それで終わらせてくれないのが本作品なんですよねぇ…
というわけで最後にマリアルートについての自分の所感を述べていきます。
その前に前置きを入れさせてください。
ぼくは本作金恋GTおよび金恋本編について、
メタ的な要素が非常に強い作品だと捉えていまして、
これから書くことは、それを前提とした所感となっております。
だから「お前何言ってんだ」と思っても生暖かい目で見守ってください。
あくまで、個人の感想としてとらえていただくようにお願いします。
それと、マリアルートに関しての所感は、
金恋無印における自分の所感とリンクさせながら述べていきます。
よろしくお願いします。
①マリアルート
まずプレイし終わってみての第一印象ですが、
「金恋無印のゴールデンタイムを正史とした場合のIFルート」だと感じました。
理由としては、例えば「色」について
本作金恋GTでは「金色」以外の色が非常に強く強調されています。
1.マリアビショップのウィッグ
マリアルートに入ってすぐ、
金恋本編で「金色」の象徴でもあるシルヴィのウィッグから、
「黒」であるマリアのウィッグへと付け替えます。
2.グリーンフラッシュ
金恋無印でしつこいくらいに「金色」を連呼していたのに対し、
金恋GTでは緑色のグリーンフラッシュという単語が何度も出てきます。
3.理亜の色覚(「金色」以外の色が見える)
この部分が一番分かりやすいと思います。
そもそも理亜にとって「金色」とは、
これから先、いつ死んでもおかしくない自分が生きていられる今を精一杯輝かせたい
(別の言い方をするならカッコつけて生きる)ということでした。
つまり、金恋無印にて理亜に「金色」以外の色が見えないということは、
理亜の人生に「金色」以外が存在しない=理亜にとって今が全てである
ことを指し示しているのかなーと思います。
もうちょっとざっくり言えば、金恋無印では理亜が未来を捨てているっていうことですね。
これは、理亜の人生観そのものです。
金恋GTでは、そんな理亜に「金色」以外の色が見えるようになります。
それは、今を刹那的に生きる理亜にも未来がある。
ことを印象付けているのかと思いました。
メインテーマに「金色」を掲げている金恋無印と、
金恋GTでは根本的にコンセプトが異なるわけですね。
そこで、じゃあこの金恋GTのマリアルートがやりたいことってなんだろう
という疑問が思い浮かぶわけです。
金恋本編とは違いますよっていうメッセージをばらまきつつも、
わざわざIFルートを作っているわけです。
裏を返せば金恋GTでは金恋無印とは別のメッセージ性を持っていますよってことじゃないですか。
これについて自分の考察を述べることを目的として、
感想を書き連ねていこうと思います。
ではまず、金恋無印がどんなメッセージ性を持っていたかという点について。
ぼくが金恋無印のメインヒロインとしてスポットが当てられたのが誰か、
という問いに答えるとすれば、迷わずにシルヴィだと答えます。
なぜなら、他ならぬ理亜がシルヴィと央路が結ばれることを望んでいるからです。
理亜が「金色」の人生を全うするためには、未来が存在できない。
だからこそ、理亜にとっての一番の願いは
「シルヴィと央路の子供の名付け親になりたい」
だったんです。
自分が央路のとなりにいることはできないから、シルヴィに央路との未来を託しているんですよね。
金恋無印のゴールデンタイムをクリアした後に、
シルヴィルートのラストにエピローグが追加される演出があります。
あれこそが金恋本編のグランドエンドであって、
言い方を変えれば金恋無印がやりたかったことは、
「理亜がシルヴィと央路のために物語のお膳立てをすること」と捉えられると思います。
金恋無印クリア後のEXTRAに理亜がウェディングドレスを着ているCGが出てくる演出があります。
こちらは金恋GTのエピローグで、央路がこの写真を持っていることから、
理亜と央路が結ばれた場合のIFストーリーだとわかります。
裏を返せば、理亜が「金色」を追い求め続ける限りはたどり着けない未来の話でもあります。
では、次に金恋GTについて触れていきます。
ぶっちゃけたことを言うと、マリアルートを終えた時点では
結局何がしたかったのかわかりませんでした。
金恋本編で理亜が自分の生き方を貫き通したのに、
わざわざ違う結末のIFルートを作るなんて無粋じゃないですか。
と、まぁすごいモヤモヤしていたんですよ
金恋GTのEXTRAの演出を見るまでは
この瞬間に金恋GTが何をしたかったのか、しっくりくる答えを得ましたね。
この、シルヴィが語り掛けてくる演出。
(マジで鳥肌が立ちました)
そう、髪の短いシルヴィがEXTRAで語り掛けてくる演出なんですよ。
(ここめっちゃ大事)
ただ「涙なんていらなかったでしょう?」というセリフだけなら、
金恋GT共通ルートので、シルヴィが不意に涙するシーンや以下のシーンなどから
「金恋GTはハッピーエンドを迎える作品ですよ」
というプレイヤーに贈るメッセージにも捉えることができます。
ですが、語り掛けてくるのが、髪の短いシルヴィだということに大きな意味があるんです。
髪を短くしたシルヴィ、つまりは金恋無印で理亜が「金色」の人生を全うした後のシルヴィです。
先ほど話した、金恋無印のやりたかったことを踏まえて、別の言い方をすれば
「理亜に物語のお膳立をしてもらったシルヴィ」
なんですよ。
その前提があることによって、
金恋GTにて「涙なんていらなかったでしょう」とシルヴィが語り掛けてくるセリフが色づきます。
ぼくはこのセリフを「シルヴィが金色を追い求める理亜に向けて送った言葉」
なのではないかと思いました。
捕捉すると
「きっともう(あなたと央路の未来に)涙なんていらないわ」
「ね?(あなたと央路の未来に)涙なんていらなかったでしょう」
先に結論から言います、
金恋無印がやりたかったことが
「理亜がシルヴィと央路のために物語のお膳立てをすること」
だとするならば、
金恋GTがやりたかったことは
「シルヴィが理亜と央路のために物語のお膳立てをすること」
になるのかなと思いました。
金恋無印のシルヴィアフターが理亜が望んだ結末なのだとしたら、
金恋GTのマリアルートはシルヴィが望んだ結末なんじゃないかなとそう思ったわけです。
仮にマリアルート自体がシルヴィの望んだ物語だとすると
色々違った角度で見えてくるものがありました。
例えばマリアルートで示唆されている「未来」について。
最後のラブリッチェマークが金色ではなく銀色に変わっている件について、
これは銀色のラブリッチェマークを残り4枚集めないといけない=続きがある
という風に捉えられます。、
他にも金恋GTのEDとして、金恋無印のOPが使われている演出なんかも
ここから始まっていくのだという「未来」を示唆しているように捉えられます。
これ全てが、理亜の未来が訪れてほしいというシルヴィの願いを表しているのではないかと思いました
実際に金恋GTのシルヴィの行動にそう感じられる部分がありまして、
例えば金恋GTシルヴィがマリアに対して
「もう一度一緒に演奏会がしたい」といった願いを口にする場面があります。
これは金恋無印にはない台詞なのですが、
これはきっと、シルヴィの本心で
金恋本編の時には「金色」であり続けたいと願う理亜と、
それを我慢して見守り続ける央路の気持ちに水を差すことになるから、
言えなかった言葉なんじゃないでしょうか。
他にも、マリアルートにて、
無理を押して出産を決意した理亜を、ソルティレージュへと理亜を迎えたシルヴィが、
自分のしたことは間違っていたんじゃないか、と涙を流しながら嘆くシーンがあります。
これは、金恋無印から通じてシルヴィが唯一弱音を吐くシーンなのですが、
自分が望んだ未来が理亜を苦しめている
事に対する、嘆きなのかなーと見えました(若干こじつけ気味ですね)
少し長く書きすぎたので、まとめます。
金恋無印がやりたかったこと
→「理亜によるシルヴィのための物語」
金恋GT がやりたかったこと
→「シルヴィによる理亜のための物語」
金恋無印のEXTRAの演出が意味するもの
→「今を生きる理亜にはたどり着けない、央路と理亜との未来」
金恋GTのEXTRAの演出が意味するもの
→「金恋無印で未来を捨てた理亜に対して、シルヴィが見せたかった未来」
こんなところでしょうか。
つまるところ、シルヴィ的には
「私と央路のためにお膳立てしてくれたんだから、今度は理亜と央路のためにお膳立てするね」
と、金恋GT自体がシルヴィから理亜への贈り物だったんじゃないかなって思います。
こういった視点で見ると、
なんていうか、悪戯好きで優しいシルヴィらしいなって思います。
ただ、金恋無印を否定するようなハッピーエンドはぼくは求めていませんでしたが、
他ではない誰よりも理亜のことを思っているシルヴィが望んだ結末なのでしたら、
ぼくは何も言えません。
金恋本編、そして金恋GTでシルヴィと理亜の二人が
二重の意味で願いをかなえた。
そんな真の意味でのハッピーエンドの在り方がとても面白いなって感じました。
まとめ
ここまでつらつらと長いこと述べてきましたが
結局のところ、こんなんぼくがこうだったらいいな。
この物語がしっくりくるなという「願望」をもとに肉付けした所感となるので
もうただのオタクの妄想です、これ。あんまり真に受けないでください
先ほども述べましたが、
絢華ルートは純粋に好きだったためこれだけでも満足なんです。
その上で、マリアルートも自分の中でしっくりくる答えが得られたので満足です。
サガプラの次回作も楽しみですね。
駄文、長文、ではありましたが
お付き合いいただいた方ありがとうございました。