カッコつけねー人生なんてゴミだ
(ネタバレ含みます)
みんな大好きSAGA PLANETSさんの2017年発売タイトル
金色ラブリッチェがプレイし終わったので感想を書きます
本作は同ブランドでは「はつゆきさくら」以来の単独ライターで挑んだ、”勝負”の一作だったのかもしれません。私としては、そのチャレンジは見事功を奏したのではないかと本作をプレイして思いました
担当されたライターさんは、さかき傘さん。エロゲ業界では良いシナリオを書かれることで有名な方ですね。単独起用にすることで、さかき傘さんがやりたいことは十分できたのではないかと
では、内容について触れていきたいと思います
共通、個別に限らず全体的に「ゴールデンタイム」や「金色」といった言葉が頻出します
正直何度も聞いていると鬱陶しく感じるこのワードですが、それだけクリエイターさんが大切にしているワードだという裏付けにもなります。
「ゴールデンタイム」は”屋上から見る夕日が湖へ沈むシーン”や”人生で最も輝いている時間”と璃亜が作中で言っていますが、「金色」に関してはこれだっていう答えはなかったと思います(多分)
金色になりたい、とか世界は金色だ、とか抽象的だったかなと。
プレイ中、この「金色」が何を表しているのかって考えていたわけですが、これにはいくつか意味があるのではないかという結論に達しました
そのあたりに触れながらもうちょっと具体的に本編に触れていきます
玲奈→茜→エロイナ→シルヴィの順でプレイしたので感想もその順番になります
個別
玲奈ルート
このルートでは「金色になりたかった」央路の過去が明らかになります
個別ルートで一番主人公にスポットを当てたのはこのルートだったと思います
また、この作品の縁の下の力もちと言ってもいい玲奈にはたくさんの魅力があります。それだけに主人公メインの話が多かったこのルートはイチャラブ的な観点では物足りなかったかなぁというのが正直なところ
玲奈は99%の善意と1%の悪ふざけでできている、と央路が言うように人との距離感を大切にする女の子です。
央路のパーソナルスペースを侵害しない位の近すぎず遠くない距離にいてくれる存在で、言い方は悪いですが央路にとって一番都合が良いキャラっていうのはこの子だったんじゃないでしょうか。
央路が抱えている過去の悩みを上手く引き出して前を向かせてあげることで、央路が認めたくなかったカッコいい生き方と向き合わせます
「カッコつけること」と「カッコよくあること」の違いは後に大事なポイントになってきます
こんなこと言われちゃったら、男の子なら頑張るしかないですよね(白目)
央路にとっての玲奈がいい女であるように、玲奈にとっての央路がいい男になるために央路は幼馴染である縞と野球で勝負します。こうして「カッコいい央路」が出来上がってハッピーエンド
にしても、玲奈ちゃんほんといいヒロインですよねぇ…すこだw
茜ルート
茜ちゃんかわいい。
茜ちゃんかわいい・・・
茜ちゃんかわいい!!!!!!!!イメージ1618
サブヒロインということもあって、本筋にはあんまり関係ないと思う茜ルートですが
ぶっちゃけ個別ルートでは一番出来が良かったんじゃないかと思っております(キャラゲー的な意味合いで)
本筋に関係ないだけあって、ちゃんとイチャラブしてくれたし茜ちゃんはかわくていい子だし満足でした
エロイナルート
お堅いイメージのエロイナさんですが、そこにはより堅い姉妹の絆があったよ。というのがこのルート
ぼくと同じ順番でプレイすると、シルヴィアとエロイナが血縁関係にあるということがこのルートで初めて発覚します
シスア家との友好のために利用された側のシルヴィアと音楽の才能がないためにシルヴィアを利用させてしまった側のエロイナ。
そんなことは気にせず自分のおつきとしてではなくエロイナ個人として幸せになってほしいシルヴィアと、シルヴィアへの愛情と罪悪感からシルヴィアに強く忠誠を誓うエロイナのすれ違いをメインにしたシナリオでした
余談ですが、恋人ごっこ的展開が個人的には好きじゃなかったので正直あまり楽しめませんでした
シルヴィアルート
このルートでもエロイナルートと同じようにシルヴィアとエルが血縁関係になる下りが描かれます
王族として生きてきたシルヴィアの思い、天真爛漫なシルヴィアが実は「カッコよく」あろうとしてそのキャラクターを作っている側面があったということがわかります
ユーザーからするとバレバレですが、鈍感な央路がマリアビショップの正体を璃亜だと知ることになるのはこのルートが初めてだったような気がします(多分)
央路と過去に直接かかわってくるのは璃亜とシルヴィアの二人なので、過去の事にも多く触れられていましたね。(シルヴィアが髪を短くしたこと、など)
他にも色々と語りたいことはあるのですが、それはグランドルートである璃亜ルートと絡めながらにしたいと思います
GOLDEN TIME(璃亜ルート)
ここまでに散りばめられてきたたくさんの伏線を回収していくのがこのルート
生まれながらにして難病を患っている璃亜が、慰問会にて央路やシルヴィと出会う
璃亜は色素を上手く認識できないず、自分が唯一認識できる”金色”に対して憧れを抱いている
実は稀代の歌姫マリアビショップの正体であり、絶対音感を持つ
自毛はほぼなく、被っているウィッグは10年前にシルヴィがプレゼントしたものから作ったなど
まぁ伏線回収は上手く進められていくわけですが、大事なのはそこではないでしょう
璃亜が10年間抱えてきたもの、央路に抱いていた気持ちなどを考えていきたいと思います
ここまでに「金色」というワードを多用していたのは、璃亜にとって金色が世界で(実質)唯一認識できる色で璃亜にとって生きていることそのものを表しているからだと思います
他にも璃亜にとって大切な存在であるシルヴィアの髪の色であり自身が「カッコつけている」証でもある金髪(玲奈や璃亜は自分の髪が金髪にする理由をカッコつけていると言っている)。
生まれたときに盲目だった璃亜が初めて色を認識したのはシルヴィアと央路と出会った慰問会、2人と過ごした時間は「金色」だった。そんな意味合いもあると思います
先ほど少し話題に挙げた、「カッコつける」こと「カッコよくある」ことの違いですが
璃亜が大切にしていたこと。それが「カッコよくある」ことではなく「カッコよくいたい」っていうことなのです
央路を例に出すと、過去に央路が千恵華のために監督に抗議したこと。
央路としては千恵華のために「カッコいい」ことをしたわけですが、結果的に部員や監督からはそれが「カッコ悪い」行為だという烙印を押されてしまい央路は退学に追い込まれてしまうわけです。
はたから見れば「カッコよくない」央路だったわけですが、間違いなく央路は千恵華のために「カッコよくあろう」としたわけです。他の誰がどう見ようとも少なくとも千恵華にとっては央路が千恵華ために頑張ったその行為は「カッコよく」映っていたっていうことですね
そしてこれは、どう思われたかという「結果」ではなくどうしたかという「過程」が大事だということに繋がると思います
璃亜ルートでは央路が過去に千恵華のためにしたことをそのまま、璃亜がシルヴィ(と央路)にします
シルヴィがピアノを弾けるようになったら一緒に音楽をやろう。という璃亜とシルヴィの10年来の約束
をクリスマスでかなえることになる璃亜ですが
璃亜の体は病気により限界が近く、練習をするのにも苦労を強いられます
ですが璃亜はシルヴィにそれを悟られないように、懸命に練習をします。寿命を賭して
央路はそれをただ応援し続けました、璃亜の体が悲鳴を上げていることに気付きながら
そして演奏が終わったあとの璃亜のセリフと、璃亜が倒れてしまった後に璃亜の事を止めなかったことを嘆く央路に対するシルヴィのセリフです
璃亜はシルヴィと央路のために「カッコよく」ありたかったから見守ってほしかったのだと
結果的にそこに意味が生じるかどうかっていうのは関係なく、「カッコよく」あろうとしたことに意味があったってことが言いたいのだと私は思いました
また「カッコつける」ということは仮面を被ることでもありまして、
思ってもないことを見せることもまた「カッコつける」ことなのではないかと思いました
例えば、絢華が本当は璃亜のことを大切な友達だと思っているのに「商品」としてマリアを扱っていたこと。
璃亜に直接生きてほしい、っていうのはカッコ悪いから。敢えて憎まれ口をたたき、自分の本当の気持ちを隠して璃亜にエールを送っているのだと
璃亜が病気のことを央路に隠そうとしたのもその一環だと思います
璃亜の両親は璃亜の病気が原因で辛い思いをしました、そして璃亜自身も
だったら元気な自分を演じることで、央路に心配をかけたくなかった。
央路の事が好きなんですから、本心では気づいてほしいに決まっている
でもそれを隠す。そこに璃亜の美学があるのだと思いました
璃亜は10年も前から死のすぐ後ろに生きています
明日にでも死んでしまうかもしれない。死んでしまえば、残るものは「死」という結果だけ
ならその過程を大事にしてやろうじゃねえかという、今を一生懸命生きる。それが璃亜の在り方だったとそういうことなのだと思います
また、璃亜は作中で何度か「人が死んで感動を誘う」ような作品が嫌いだといっています。
これも「死」という結果ではなく、生きてきたことを大事にしたいということの裏付けなんじゃないかと思いました。
ゴールデンタイムについて
璃亜にとってのゴールデンタイムとはマリアとして懸命に頑張っている期間でありマリアとして歌えなくなるということは夕日が湖へ沈む(黄昏時の前に訪れるもの)ように死へと向かっていく認識でしたが、央路と二人で朝日が湖から浮かんでくる(黄昏時の前に訪れるもの)をみることで生きている時間すべてをゴールデンタイムとしてとらえることができたのではないかと思いました
ここまで述べたことをすべて踏まえて、追加エピローグとクリア後のEXTRAの演出について考察してみました
まず追加エピローグがシルヴィルートのラストに付け加えられたこと
シルヴィルートの先にこそ璃亜が望んだものがあったから
シルヴィと央路が結婚すること。その光景のために璃亜は央路とシルヴィの前で央路が好きだという自分の気持ちを隠しカッコよくあり続けた
つまり、このシルヴィルート+追加エピローグこそがTRUEEND。璃亜がこうしたかった。こうあるべきだったというEND
だと、ぼくは捉えました
EXTRAの演出について
璃亜には央路とシルヴィが愛し合って結婚してほしいという気持ちとは別に、自分と央路が結ばれたいという気持ちがあります。でもそれは、央路とシルヴィが結婚するということと同時には成り立ちません。そのために自分の気持ちを隠そうと璃亜は「カッコよく」あろうとしたわけですから。
だからこそ「カッコよく」している璃亜としては在りえないはずの央路との未来ですが、せめてEXTRAという本編外の部分では「カッコよく」の裏側にある璃亜と央路の未来を描いてあげようというクリエイターの親心のようなものなのだとぼくは思いました。メタ的な視点になってしまいますがね
とまぁ色々語ってきましたが、途中感想というよりあらすじみたいな感じになっていたりと微妙な感じになってような気がします。
ただ、二週目をやっている最中に自然と涙が出てきて
この作品はじわじわ好きになっていくタイプの心に残る名作だなぁと改めて感じました
さかき傘先生の尽力によるところが大きいとはいえ、ここまでの作品をSAGAPLANETSさんが作り出せるとは正直予想外で次回作にもめっちゃ期待しております
あとですね
本作めちゃくちゃえっちが強かったんですがその点に関しては全く触れませんでしたね。
3Pとかアナル多めとか、アクが強いえっちが多々ありましたが
それを差し引いてもめっちゃしこれたんでこの点でもかなりのプラスポイントです
今までのエロ薄は何だったのか…
というわけで、
くぅ~疲れましたw
これにて終了です。
かなり気合入れて書いたので疲れました…
次は頭空っぽでできるエロゲでもやりたいと思います
ご拝読ありがとうございました