人によって大きく評価が分かれるゲームである事は間違いない
以前からやりたいと思っていたが、なかなか機会がなかった。売ってないorz
しかしダウンロード販売されているのを知り迷わず購入。
童話を読んでいるような感覚になるゲーム。
故に、童話を読むのが好きな人、言葉遊びが好きな人には楽しめるのではないかと思う。
逆に、そうでない人にとっては、苦痛でしかないのではないか。
数学的な、明確な答えが出るような物語ではないので、それが嫌いな人にはオススメ出来ない。
読書が好きな私には合ったらしい。素晴らしいの一言に尽きる。
『これの元ネタは?』
知っていたら、相応に楽しめる事は間違いない。
けれど、知らずに雰囲気、会話、展開を追っていくだけでも楽しめる。
ちなみに、私は後者。さすがに、あれだけの物語の原作を読んではいないもので・・・(汗
オペラに例えるとわかりやすいかもしれないと思った。
それぞれ物語は進行しているし、それぞれのキャラクターは会話しているが、会話が言葉として聞き取りづらい。
何を喋っているのか?言語を理解すれば、物語を楽しむ事が出来る。
だが、何を喋っているのか?言語を理解していなくても、物語の感覚を楽しむ事が出来る。
主要キャラクターいずれも人間臭さがにじみ出ていて、なんというか『清潔感』がない。
「とりあえず造りました」というような感じが薄い。
いずれのキャラクターにも泥臭さがあり汚さがあり、それを必要に応じて隠し、適度に見せる。
どのキャラクターも、すぐに他人を信じない。
基本的に、物語の時間軸をプレイヤーに説明しない。
それぞれの葉に日付はあるので、ある程度は理解できるが、一体全体、何年の4/8なのか?
そして、誰と誰が会話をしているのか?それすらグラフィックを出さない事もあるのでわからない事がある。
声で判別していくしかないが、同じ声が必ず同一人物という確証もないから、考える必要性が出てくる。
そう、プレイヤーに考えさせる方向性で物語が進行しており、考えながら先に進まないと、何が何だかわからない。
ただ、考えなくても、感覚を楽しむだけでも楽しめるが、私は考えたかった(汗
4章の演劇のような韻を踏んだセリフ回しは、音楽と相まって非常に面白く、次の展開が楽しみで仕方がなかった。
しかし、反面続きを知りたくない。物語の続きは知りたいが、終わってしまうと困る。
そんな矛盾を感じながら、考えながら進めるので、心地よく頭の痛さを感じ続ける。
それぞれの登場人物の語る言葉の全てが文字として表示されないのは残念。
ただ、それはこの物語全体に見られるし、それこそがこの物語のテンポを良くしているようにも見受けられた。
森は幻想か?現実を犯して森と新宿とが同化していく?
けれど、それは現実なのか?明確な議題も答えも誰も語る事はない。
だから考える。
考える為に、自分の持ちうる想像力をフル回転して使う必要がある。
やはり頭が痛くなるが、嫌いになれない、ギブアップ出来ない。
インガノックを先にやったので、このゲーム特有というか、ライアー特有な感じの絵と背景もごくごく普通に馴染めた。
むしろ、こういう方が個人的にはセンスを感じてしまう。
各キャラクターの衣装も見ていて楽しめるものばかり。
『立ち絵や言葉のセンスがいい』『本を読んでいるようで楽しい』博学でないインテリでない私には、これ位しか言葉が見当たらない。
C†Cとはベクトルが異なるが、今までやってきたエロゲーの中でも屈指の作品。
訴える議題がないのに、これほどまでに楽しめる至高のエロゲー。
エロゲーである意味があったのか?とも思ったが、余程文才のある人か、あるいは詩人でもなければ、ある程度の年齢にでもないとこれは楽しめないのではないからいいかとも思う。
物語が終わっても、漠然と理解はするが、何もかも理解したとは言い難い。
語り手から読み手に委ねられる物語、詩、演劇。
読み手が伝え手になり綴られる物語、詩、演劇。
一番好きなキャラは九月。
バカやってても、何気にかなり頭がいい。ノリも非常にいい。そしてエロい(笑)
余談だが、4章のタイトル『夏至の夜の改賊』ではロビン・ウィリアムス主演の映画、『今を生きる』を思い出した。
あの作中で登場していた演劇『真夏の夜の夢』が頭にあったからだと思う。
いつも以上に思うままに書きなぐった為、自分でも何を書いているのやらわからないところが多いけれど、そこはごめんなさい(_ _;)
エンディング間際で鳥肌。
泣くような何かがあるわけでもないのに・・・。
終わった後、無性に童話等、読書したくなった。
星空めてお・・・凄すぎる。
最後に一言
≪至高の、エロゲーに出会った。おれたちはおしまいだ。≫