これが初ニトロなんですが、なんというか・・・すごい作品でした
善と悪というテーマを、18禁ゲームというフィールドでここまで描き切った作品は初めてではないでしょうか?
そして、人を殺してはならないという理想論を統さんに語らせているわけですが、それが最も理想的であるとしながらも、山賊の首領の死を通して、全てが理想論で解決するわけではないとしているところには、好感が持てました。そして、逆もまた然りであることを、義清の復讐を通じて伝えてもいますね。
殺人はいかなる場合も肯定されることはないが、それでも殺すしかない場合も存在する。その場合にも、結果のもたらす責任は持たなければならない。これこそが、この作品の伝えたかったことなのだと、自分は解釈しました。
では、シナリオ別の感想に移ります。
英雄編:正義を盲信する一条の姿を通じて、正義とは何か、英雄とは何かをテーマとしたシナリオです。
勧善懲悪が持て囃されなくなった近年ではそれほど珍しいテーマではありませんが、それでもここまで徹底して正義の孕む矛盾を描き切ったのは、賞賛されてしかるべきでしょう。義清が赤子の贓物をぶちまけたシーンは、見てて気分が悪くなりました。はたして、一条は答えを見つけることが出来たのか・・・
あと、シナリオとは全く関係ないのですが、大人一条は、体つきがけしからん具合に成長しすぎですw お前本編で18歳以上だったはずだろーが!と突っ込んでしまいましたよ。最終正義顕現後に、正宗が体つくりかえたのか?
復讐編:復讐という名の殺戮に狂った大鳥香奈枝の話です。復讐がテーマであり、湊斗さんは当然復讐される側、と思いきや、復讐をする側にもまわることになります。今までは何の疑念もはさまずに復讐を行っていた香奈枝が、初めて復讐を求める男に出会い、彼に惹かれていくことで、どうすればよいのかわからなくなる。ただ、それでも復讐を否定しきることはできず、最後は湊斗さんとともに死ぬ。自分の復讐を果たすと共に、湊斗さんにも復讐されることで。
復讐を肯定も否定もせず、復讐を志す人々の姿を描いた話であり、主要登場人物の大半が死亡する話ですが、エンディングは最も綺麗にまとまっていると思います。
ただ、タイトル場面に香奈枝さんの複眼アップを出すのはやめてください。起動するのが怖くて仕方ないわ!
魔王編・悪鬼編:善悪相殺の呪いを帯びた劔冑である村正のルートとその後日談なんですが、村正とのエロシーンがあるのは悪鬼編のみなので、魔王編は村正と、世界終焉を望む足利茶々丸、父を手に入れるためにこれまた全人類を滅ぼそうとする湊斗光の話であり、メインルートと呼ぶのべき話です。ストーリーは今までにない展開をみせ、神と呼ばれる金ぴかラミエルみたいのが出てきたり、2章で登場した右京さんがG化して現れたり、月を破壊したり、時空を移動したりとやりたい放題ですが、この話のテーマは、善悪相殺・愛憎相殺であり、闘争の真実です。
まあ、個人的には、絶対に人を殺してはならないという考えはあまり好きではありませんが、殺すことを肯定するのも好きではないので、殺すならばリスクを負えという村正の戒律は共感することも多かったです(もちろん、全てではありませんが)。
あと、このルートでは茶々丸が人気のようですが、自分は好きになれませんでした。だって、湊斗さんの意思を奪い、既に結縁している湊斗さんを村正から奪ったうえ、最終目的が世界終焉ですからねえ。PVであった「世界が他の何かを~」の台詞を聞いた時も、「いや、普通に許されないだろ」としか思いませんでしたし。
結論としては、間違いなく人を選ぶ作品ではありますが、少なくともじぶんにとっては傑作でした、他のニトロゲーもやってみたいと思わされるほどには。ただ、シュタゲがPCで出るまでは我慢かな。