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futami-fさんの5 -ファイブ-の長文感想

ユーザー
futami-f
ゲーム
5 -ファイブ-
ブランド
RaM
得点
91
参照数
1082

一言コメント

5人のヒロインによる雪国の悲しいお話。どのヒロインも魅力的で音楽も文句なく鬱展開でも問題なく楽しめるなら名作レベルとなりうる作品だと思います。あえて私はこの作品を推薦します。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

結果的にすべてのルートで泣いてしまった・・・

key作品ほどの深みと奇跡はありません。(とくにほのかというヒロインはいかにもkey作品に出そうなキャラに思えたw独特のしゃべり方など)ですがとても良い作品です。どのルートもヒロインもしくは主人公が犠牲になりいわゆるハッピー要素なんて全く無いです。

そのような負の連鎖の原因と解明が最終ルートで行われます。
各ヒロインの話は確かに痛みが伴いますが、必ず最後までプレイしてください。

ウエンカムイ=悪霊という存在がどのルートでも話の大事なところに関わっていきます。人の悪意、失望にひきよせられとりつく。それゆえに許さなければならない。でなければ自分がとりこまれるから・・・
大事なものが奪われれば怒る、復讐する。その悲しみの連鎖を断ち切るがためには許さなければならない。とても難しいことですがそれゆえに使い方がとてもうまく感じた。

<音楽>
さすが麻枝准というべきでしょうか?タイトルの時点で、あぁ~麻枝音楽だなぁと感じ。オープニングで見事に心奪われましたwオープニングは必聴ですよ。

そして、非常に綺麗で美しいBGMの数々。北国の厳しさ、雄大さ、人の温かさ、残忍さ、雪の美しさ、悲しさなどなど見事にその時の表情をあらわしたすばらしい音楽だと思います。音楽だけでもプレイする価値のある作品はめずらしいですよ。

<不満点>
強いていうなら、最終ルートがほのかルートを完全になぞった形で進行したことでしょう。千歳をメインにだしてほのかの話を場面場面に小出ししたほうがよかったのでは?と思った。あくまで私個人が2度3度も全く同じ文章を読むことを好まないことによることですが・・・


本当ならもっと知名度あって、評価されてもおかしくない作品だったと思います。
真冬の舞台設定なのに、なぜ8月前という真夏に発売したのかが不思議でしょうがない。